1月20日、環境省は神栖町の保健・福祉会館で「汚染源掘削調査に関する説明会」を開催しました。この説明会では、環境省環境リスク評価室の三宅智室長(毒ガス情報センター長兼任)を中心に、1月7日に発見されたヒ素成分(ジフェニルアルシン酸)を含むコンクリート塊について、事実関係と今後の方針について説明がありました。
 説明の後、参加した住民より質疑応答がもたれ、掘削した土壌や地下水の処理方法、B地点との掘削調査現場との関係性、健康被害対策の迅速化など活発な質問、意見が寄せられました。
 井手よしひろ県議もこの説明会に出席し、「検出されたジフェニルアルシン酸は毒ガスからの生成物ではなく、その原料と断定して良いのか」「掘削現場に湧出する地下水のジフェニルアルシン酸の濃度はどの程度か」と質問しました。三宅室長は、「現時点では毒ガスの成分は全く発見されておらず、その原料物質と見られる」「地下水のジフェニルアルシン酸濃度は最大34ppmである」と回答しました。
神栖町において発見されたヒ素含有コンクリート様の塊に対する対応について
(2005/1/20住民説明会で配布された環境省の資料)
1.事実関係
○神栖町における有機ヒ素汚染源調査現場において、最も汚染濃度が濃い部分(いわゆるトレンチ掘削部分)の深さ約2m地点で、コンクリー卜様の塊(東西4m以上×南北2m。厚さ1・Ocm以上)を発見。当該コンクリー卜様の塊とその内部に点在する白色結晶様の物質及びその周囲の土壌を詳細に分析した結果、1月14日(金)に次の分析結果を得た。
・白色結晶様の物質:ジフェニルアルシン酸(DPAA)を約10,000ppm(1%)の濃度で検出。DPAA関連物質以外の毒ガス成分は検出されず。
・コンクリート様の塊及び周辺土壌:DPAAをコンクリー卜様の塊では約600ppm、周辺土壌では最大で約1,000ppmの濃度で検出。DPAA関連物質以外の毒ガス成分は検出されず。
○その後、コンクリート様の塊の周辺部分について慎重に掘削したところ、コンクリート様の塊は東西10mX南北8mX厚さ1m以上にまで広がっていることが確認された。
2.今後の対応方針
○コンクリート様の塊の内部・下部の状況等が不明である現時点では、当該コンクリート様の塊自体が汚染源と特定することはできない。したがって、今後は、更に、当該コンクリート様の塊の周辺及びその下部を重点的に調査する必要がある。
○こうした点を踏まえ、トレンチ掘削部分についての今後の調査は、次の方針で実施することとする。
・確認されたコンクリート様の塊の周辺土壌、地下水についての分析を進める。
・コンクリート様の塊内部及び下部の状況について、連続したコアサンプルを安全に採取して分析をする等により把握する。
・その後、コンクリート様の塊の下部の状況を詳細に調査するため、当該コンクリート様の塊を安全に除去する。
・突き出ている杭の劣化状況等を解析することで、可能な限りコンクリー卜様の塊ができた時期を推定する。
○なお、上記作業と並行して、コンクリー卜様の塊の周辺部分については、可能な範囲で、掘削作業を続ける。その際には、コンクリート様の塊に混入していた杭の腐食から最近埋められた可能性が高いことや、現在までの掘削調査結果で旧軍に由来するもの・毒ガス成分は認められておらず、砲弾等が埋設されているとは考えられないことから、深さ1mごとの物理探査は不要とする。
○これと並行して、地歴情報を引き続き収集し、掘削調査結果との整合性の検証等を行うこととする。