県の包括外部監査人(平成15年度監査は、安四郎税理士と契約)は2月25日、県が平成14年度に行った商工労働部所管の補助金事業50件を監査した結果を公表しました。
 企業への補助金約3億円を返還させるべきとしたほか、3件を廃止、7件で減額を求めるなど、厳しい内容となりました。
 毎年の外部監査報告は、民間の経営感覚をもとに事業推進に対する的確な指摘が得られています。今回の監査報告にも、大変貴重な指摘が多く含まれています。
 個人的には納得のいかない内容もありますが、私ども県議会はこの安監査人の報告をもとに、正すべき所は早急に改善し、県民の負託に応えなくてはなりません。
 新製品開発支援事業費補助金」では、県側の審査や監督を厳しく指摘する内容となりました。
1.茨城県新製品開発等支援事業費補助金(指摘)
ヾ覿伐従況報告書の未提出企業(交付要項違反)に対する補助金の返還命令について
平成14年度分の「企業化状況報告書」を未提出の企業に対し、交付要項違反として、期限を付して既に交付した補助金2億9800万円の全部又は一部の返還を求めるべきである。
「企業化状況報告書」を未提出の補助事業者が、今後何らかの補助金交付申請を行った場合は、選定考査上重いマイナス点を付すなどの厳しいペナルティを課せるように規定化を急ぐべきである。
∪宿焚修任ずに短年月で倒産した企業について
事業アイディアを製品化できずに、短年月で倒産した企業があり、税金の無駄遣いとなった金額が5年間で2,105万円ある。事業アイディアの新規性のみでなく、財務力を含む総合経営力の存否についても厳しく審査すべきである。
製品化の成功率について
補助金交付後製品化を見ないまま、既に数年経過している企業が多く、「アイディア倒れ」に終る公算も強い。
製品化への成功率が上昇し、補助金の有効性が高まるよう交付決定時の審査を厳格適正に行うべきである。
ぜ益納付が行われなかった事例について
収益納付額があるにもかかわらず、これを0円として申告した補助対象事業者がいた。
「正直者が損をしない」ように、遡及可能なすべての「企業化状況報告書」を再チェックして、収益納付すべきものについてはその全部又は一部に相当する金額を納付させるべきである。
ゴ覿伐従況報告書の様式等について
収益納付が正しく行われるように、企業化状況報告書の様式等を整備すべきである。

 監査の指摘は理解できますが、新製品の開発自体リスクが伴うものであり、「事業アイディアを製品化できずに、短年月で倒産した企業があり、税金の無駄遣いとなった金額が5年間で2,105万円ある。事業アイディアの新規性のみでなく、財務力を含む総合経営力の存否についても厳しく審査すべきである」との指摘は、制度自体の存続を問うものでもあります。事業化しても失敗するかもしれないというリスクを犯しても、行政が後押しがすることで産業の活性化を図ろうとすることに事業の目的があったはずです。財務力が伴う企業であれば、銀行などから潤沢な支援が得られるはずです。
 今後、議会でも議論の焦点となると思われます。
 また、補助金自体を早急に廃止すべきとしたのは、「鹿島ハイツ」、「労務管理リフレッシュ事業費」、「県労働者信用基金協会補助金」の三つの補助金です。
 雇用・能力開発機構の勤労者福祉施設「鹿島ハイツ」(鹿嶋市)に対する補助金1475万円は、「単なる旅館経営になっている。県としては、労働政策としての補助金は早急に打ち切り、経営を民間か鹿嶋市に移管すべきである」と指摘しています。
 中小企業団体対象の「労務管理リフレッシュ事業費」(210万円)は「ア.団体の運営費である経費が含まれている。イ.実績報告書に掲載がない経費が含まれている。ウ.宴会費用が含まれている。エ.視察研修時に役員日当が含まれている」などとして、支出が不適正であり、公益性・効果の面から廃止すべきであるとしました。
 「県労働者信用基金協会補助金」(180万円)についても、「自己資本比率、当期収支差額、補償限度率率とも申し分ない数字である。十分に自立可能であるので、補助金は廃止すべきである」としました。
 また、県トラック協会への補助金については、県議会での「ディーゼル車の排出ガス対策費の支援・救済に対する請願」採択に関連して、追加の補助制度について慎重な意見が述べられています。
18.運輸事業振興助成補助金(意見)
^饐觚トラック協会が保有する基金について
社団法人茨城県トラック協会は多額の金融資産を保有している。
基金のなかには、積み立て、取崩しの根拠が具体的でないものもあった。
県議会本会議において「ディーゼル車の排出ガス対策費の支援・救済に対する請願」が採択されているが、県の厳しい財政状況のなか、この対応について、トラック協会会員の対象車両については、上記各種基金を取崩し装置装着のための原資とすべきであり、追加的な措置は講ずべきではない。またトラック協会会員でない事業者の装置装着はそれぞれの企業努力で行うべきであり、新たな補助制度の創設については慎重に検討し、真に政策上必要なものにとどめるべきである。
茨城県トラック協会が保有する不動産について
社団法人茨城県トラック協会は多額の不動産を保有している。トラック協会総合会館は、十分な利用がされているとはいえない。また、非公式の利用が多く会館等の管理運営体制も問題となる。トラック協会県西地区研修会館は、会議室と研修室を備えているが、きわめて利用状況が少ない。
当研修会館の処分もしくは有効利用の手立てを早急に検討すべきである。
 この意見に対しては、私個人としては承伏できません。補助金の使途についての意見・指摘であれば安監査人の意見・指摘は十分に尊重されるべきです。しかし、県とは別法人格の社団法人茨城県トラック協会にたいして、その基金のあり方や不動産の管理運営体制まで、意見を述べ、報告書に盛り込むことには違和感を感じます。監査人が、議会の請願審議へも意見を述べることは、正直なところ少し抵抗感があります。
 いずれにせよ、私ども県議会はこの安監査人の報告をもとに、正すべき所は早急に改善し、県民の負託に応えなくてはなりません。