1996年11月

12月県議会提出議案の速報

12月4日より開会される県議会に提出される予定の議案の概要を,速報いたします。
今回の定例議会は、補正予算の提出がないため12月4日より18日程度までになる見込みです。

平成8年第4回県議会定例会提出議案等一覧

(条例その他)

1. 茨城県資金積立基金条例の一部を改正する条例
2.茨城県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
3.茨城県立国民宿舎「鵜の岬」及び茨城県立カントリープラザ「鵜の岬」の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例
4.茨城県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
5.村を町とすることについて
6.笠間市と友部町の境界変更について
7.県有財産の取得について
8.県有財産の取得について
9.調停の申立て等について
10.工事請負契約の締結について
11.工事請負契約の締結について
12.工事請負契約の締結について
13.工事請負契約の締結について
14.工事請負契約の締結について
15.工事請負契約の締結について
16.工事委託契約の締結について

(認定)

1.平成7年度茨城県一般会計及び同特別会計歳入歳出決算の認定について

(報告)

1.地方自治法第179条第1項の規定に基づく専決処分について
2.地方自治法第180条第1項の規定に基づく専決処分について



茨城県資金積立基金条例の一部を改正する条例国の要綱及び要領の改正に伴い,別表の「茨城県中山間地域水と土保全基金」を「茨城県ふるさと水と土基金」に改称する等の所要の改正をしようとするものである。
茨城県病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例医療法施行令の一部改正に伴い,県立中央病院の診療科目のうち「理学診療科」を「リハビリテーソョン科」に改めようとするものである。
茨城県立国民宿舎「鵜の岬」及び茨城県立カントリープラザ「鵜の岬」の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例宿舎の改築に伴い,宿泊利用料等を定めようとするものである。
茨城県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例県西広域工業用水道事業の給水区域に新治村を加えようとするものである。
村を町とすることについて地方自治法第8条第3項の規定に基づき,出島村を霞ケ浦町としようとするものである。笠間市と友部町の境界変更について土地改良事業施行の結果,笠間市と友部町の境界を変更しようとするものである。
県有財産の取得について総合流通センター(仮称)整備事業用地として,西茨城郡友部町大字長兎略字久保987番ほか477筆の土地1,034,315平方メートルを予定価格191億4,000万円で取得しようとするものである。
県有財産の取得について小林古径の壷
茨城県近代美術館の資料とするため,東京都港区赤坂2丁目16番19号株式会社秩父商会代表取締役竹沢智治の所有する小林古径作品日本画「壷」予定価格1億1,000万円で取得しようとするものである。
調停の申立て等について相手方が所有する土地に存する県の財産を撤去するに当たり,当該土地に立ち入りすることができるよう、裁判所へ調停の申立てをし、この調停において目的を達成することができない場合には裁判所へ訴えの提起をしようとするものである。
工事請負契約の締結について茨城県庁舎西駐車場棟新築工事外3件について,東京都千代田区神田司町2丁目3番地大林・五洋・大久保・鈴木良特定建設工事共同企業体 代表者 株式会社大林組 取締役社長 津室 隆夫 代理人 東京本社 代表取締役副社長 向笠慎二 外3名と72億5,025万円をもって請負契約を締結しようとするものである。
工事請負契約の締結について8国補道改「新三国橋」橋梁整備工事外1件について,東京都港区芝浦四丁目18番32号東骨・横河特定建設工事共同企業体 代表者 株式会社東京鐵骨橋梁製作所 取締役社長 齋藤岩雄 外1名と19億7,925万円もって請負契約を締結しようとするものである。
工事請負契約の締結について藤井川総合開発事業貯水池掘削工事外1件について,東京都新宿区西新宿一丁目25番1号 大成・武藤特定建設工事共同企業体 代表者 大成建設株式会社 代表取締役社長 山本兵蔵 代理人 東京支店専務取締役支店長 西澤節男 外1名と16億9,890万円をもって請負契約を締結しようとするものである。
工事請負契約の締結について大子広域公園多目的温泉プール新築工事について,日立市多賀町2丁目10番7号 岡部・武藤特定建設工事共同企業体 代表者 株式会社岡部工務店 代表取締役 飯島信章 と12億6,525万円をもって請負契約を締結しようとするものである。
工事請負契約の締結について 霞ケ浦常南流域下水道汚泥焼却施設機械設備工事外1件について,東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号 日本碍子株式会社 環境装置事業部第1営業部東京第2営業所 営業所長 鶴田栄一 外1名と37億965万円をもって請負契約を締結しようとするものである。
工事請負契約の締結について県立太田第二高等学校体育館改築工事について,常陸太田市西三町2123武藤建設株式会社 代表取締役社長 武藤均と7億4,025万円をもって請負契約を締結しよつとするものである。
工事委託契約の締結について主要地方道常陸那珂港南線ひたちなか市阿字ケ浦地内道路改良工事について,水戸市大町1丁目2番14号 茨城県道


日立パークアンドバスライド試行実験

961125park_1  日立市の朝夕の慢性的な交通渋滞を解消するため、96年11月25日から29日までの5日間、常磐高速道路を活用して、自動車による通勤を公共のバス通勤に転換しようとする試み「日立パークアンドバスライド試行実験」が行われた。

 日立南インター付近に2カ所の駐車場を用意し、参加者はその駐車場でマイカーからバスに乗り換える。

 バスは、常磐高速の日立中央インターを経由して、市内の中心部を結ぶ。

 高速道路をバスで利用することで、通勤時間は最大で20分間程度縮小される見込みである。

 また、市内へのマイカーの流入が減り、交通量が5%程度減少するため、交通渋滞の緩和にもつながるといわれている。

 「日立パークアンドバスライド試行実験」は、日立市と茨城県、建設省が参加している日立パークアンドバスライド試行実験推進協議会が実施したものである。建設省の常陸工事事務所によると、パークアンドバスライドのようなシステムは、交通重要管理施策(T・D・M)と呼ばれ、1992年より同省の政策として打ち出された。現在、豊田市や、金沢市など全国で10カ所で実験が行われている。

 日立市は、南北に長い、大きな企業への通勤者が多い、高速道を活用できるなど、その実験成果が期待できる環境にあり、その成果が期待されている。

 井手県議は、実験の初日、午前7:00から大和田の駐車場に立ち、実験を見守った。当日の実験参加は300名弱。早い時間帯では、予定時間を15分から20分も短縮して目的地に到着した。

 8:00の最終便に同乗して、日立駅に向かった。市役所前をほぼ定刻の8:25分に通過。中心街を一周して駅には8:50に到着した。大和田の駐車場を7:40に出発して、245号線を経由して日立駅まで向かった愚妻の車は50分かけて駅に到着したことと比較しても、時間的には全く問題のない結果となった。

 実験には観光バスを使用したため、乗り心地は申し分なかった。

 実験に参加した人の感想は、「料金がいくらになるかが問題」「駐車場が確保できるのだろうか」といった内容が聞かれたが、おおむね好評だった。

 協議会としては、今回の試行実験の結果やアンケート調査を分析し、実用化に向けて検討を進めるという。
961125park_3

このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。




このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。

Windows internet 12月号に掲載「インターネットは政治を変えるか」井手よしひろのアンケートの回答文

 以下のページは、Mainichi Communications Inc.が発行しておりました「ウィンドウズ・インターネット第3号」に掲載された内容を、同誌のオンライン版より転載させていただいております。
 「ウィンドウズ・インターネット」誌は、現在休刊となっており、オンライン版も、毎日コミュニケーションズのホームページ上からも削除されております。
 このページは、福冨忠和氏の本文と井手県議のアンケートの回答を掲載いたしました。
 ご意見、ご質問等はWeb管理者の井手までよろしくお願いいたします。



【特別企画】
ネットワークデモクラシー!?
インターネットは政治を変えるか?



茨城県議会議員 井手よしひろ




《ご質問事項》
1)インターネットのホームページを公開していますか? 党、議員個人、後援会など、ど のレベルでもかまいません。もし公開している場合は、そのURLを教えてください。
2)選挙公示以前に電子メールなどインターネットやパソコン通信を活用した政治活動を行っていましたか。もし行っていれば、その具体的な内容について教えてください。
3)選挙公示後と公示前ではホームページの内容に変更がありましたか? もしありましたら、その具体的な箇所と理由について教えてください。
4)インターネットやパソコン通信を利用した選挙活動、政治活動などについてご持論や政策、そのほかのご意見がありましたら、お聞かせください(党レベルでも個人レベルでもかまいません)。
5)ネットワークデモクラシーという言葉について定義してください。
6)電子ネットワークを利用した国民の政治参加や、直接民主制の可能性について、是非を含めたご意見をお聞 かせください。
7)以下の項目につきまして、ご意見がおありでしたらお答えください。
‥纏劵優奪肇錙璽を利用した在外者投票について
▲▲札▲鷭国をはじめとして、インターネットの送受信内容に関する政治的な規制が進行していることにつ いて
▲ぅ鵐拭璽優奪箸覆匹療纏劵優奪肇錙璽が国家や社会に及ぼす影響について
8)その他、特にご意見がありましたら、お書きください。


1)HP名称:ホットラインfromひたち http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/index.htm

2)県議会議員のため、今回の選挙には直接関係がない。政治活動にHPは大いに活用するが、選挙活動にHPを使う考えは全くない。あくまでも、HPは議員の情報公開のツールであり、宣伝の媒体ではないと思う。

3)いっさい変更はない。ただし、総選挙の焦点となった「消費税」に関しては、特集のページをアップした。現在50通以上のmailをいただき、消費税の引き上げについて様々な方と論戦? を交わしている。 http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/syo_presen.htm

4)公職選挙法とインターネット情報についての私見(1996/4発表)
 インターネット利用が、政治の世界でも急ピッチで進んでいる。私のようにホームページを持って、意見や情報の発信をしている議員も多い。政党のホームページが次々と公開されている。
 しかし、公職選挙法との関連で大きな課題があることを見逃してはならない。わが国の公選法が、インターネットを選挙運動に利用することを禁止しているためだ。公選法142条は、選挙運動に利用できる「文書図画」としてポスターやハガキ、ビラ、選挙広報などを列挙し、それ以外を禁止している。
 自治省選挙課は「選挙期間中であるかどうかに関わらず、インターネットで選挙運動や立候補予定者のPRはできない」という公式見解にたっている。
 新聞や政党機関誌など定期刊行物なら可能な公認候補の紹介も「ホームページは定期刊行物ではないので、法律違反の可能性がある」ともいわれている。
 その反面、「政治活動にインターネットを使うのなら、選挙期間中でも問題ない」という自治省の見解もある。
 どこまでが政治活動で、どこまでが選挙運動なのか、厳密に区分けするのは容易ではない。自治省は、明確なガイドラインを示す必要がある。
 さて、諸外国の状況はいかがなものであろうか。
 わが国で禁止されているインターネットを利用した選挙運動は、海外主要国では原則自由で規制は見られない。
 アメリカでは、11月の大統領選に向け各陣営が盛んにホームページを利用。「史上初のインターネット選挙」といわれるほどの過熱ぶりだ。
 イギリスでは、野党の自民党がマルチメディア利用に最も熱心であり、パディ・アッシュダウン党首自身が、市民との電子メール交信に励んでいるといわれている。
 ドイツも、3月の州議会選挙で選挙運動に利用され、各政党がホームページを開設している。同じく、3月に総選挙があったオーストラリアでは各党がホームページで火花を散らした。このように、インターネットを利用した選挙運動は、何の規制も加えない、自由が大原則なのである。
 私は、日本でもこの原則を定着させるべきだと主張する。
 従来の選挙運動に利用できる「文書図画」、つまりポスターやハガキ、ビラ、選挙広報は、その情報を必要としない人にも送りつけられる可能性がある。テレビやラジオ、新聞等のマスコミも同じ性質がある。こうしたメディアは、公選法での規制の枠がはめられてもいたしかたないと感じる。
 しかし、インターネットというメディアは、その情報を得る人は積極的、能動的アクションを起こして、初めてその情報が得られるわけである。インターネット上の情報は、ほしい人が、ほしい時にアクセスしてくるのである。こうした、インターネットの本質を無視した、規制論には大きな矛盾を感ずるのである。
 日本でもホームページ上の活発な政策論争を期待するものである。

5)ネットワークデモクラシーという特別なものがあるとの感覚は持ち合わせていない。政治家にとって自らの主張を、有権者に伝えることは、権利と言うよりも義務である。政治家が自らの職能で得られた情報を独占することは許されない。その情報の所有者は、本来国民(県民)であるはずだから、あらゆる媒体を使ってその情報を公開する義務が発生すると考えている。そしてその媒体のうち、私にとって、最も有効な媒体がインターネットであったと言うことだ。

6)電子投票のような電子ネットワークを利用した政治参加への道は今後検討されるかもしれないが、当面は無理があると思う。

7)
‥纏劵優奪肇錙璽を利用した在外者投票について
電子投票が最初に利用されるとしたならば、外国在住者の投票であると思う。電子マネーの技術を応用した本人確認のシステムが一般化すれば、いち早く実用化されると思う。しかし、公職選挙法の改正などの環境整備の方が時間がかかるかもしれない。

8)私は、地方議員では数少ないHPを開設している県議会議員です。一昨年の12月に初当選した一年生議員ですが、地域での情報基盤整備に全力投球をしています。

 私が、インターネットを中核とする地域情報システム整備の重要性を強く訴える理由は、以下の5点に要約される。

その第1は、情報公開の推進である。
地方における民主主義とは、住民のより多くが納得できる行政を進めることである。そして、その前提条件として、住民ひとり一人に充分な情報の提供がなされていることが不可欠である。
しかし、その地域の情報は、あまねく住民に知らされているであろうか?
いわゆるマスコミの発する情報は、国民の大多数に普遍的な内容に偏っている(偏っているという表現は不適切かもしれないが)。国際状況や、国会の審議の内容は、新聞の一面を飾り、テレビのニュースで広く紹介されるが、我が町内の下水道の改修計画を教えてくれるメディアはまずないだろう。新聞の地方版は、多くて2ページ、通常は1ページである。よく漫才のネタにされるが、犬が人に噛みついても記事に取り上げられることはなく、人が犬に噛みつくような非日常的な記事しか掲載されないのである。地域に住む住民にとって、当たり前の情報を知らせてくれる機会は余りにも少ない。
そういった意味では、地方行政にあっては、その情報公開の度合いはここ50年来余り変わっていないといっても過言ではないだろう。
 地域のローカル紙や県域ラジオ・県域テレビ・ケーブルテレビにその役割を求める声があった。特に、県域テレビの可能性を主張する方も多い。現に、私も県会議員選挙に立候補するときの公約に、県域テレビの実現を考えたこともあった。
 しかし、冷静になって考えてみると、県域テレビやケーブルテレビが一日に流す報道番組の時間はどのくらいの長さになるであろうか? ケーブルテレビの多チャンネル形式は別として、最大でも5時間程度であろう。その中で、知りたい情報を全て流すことができるであろうか。
 また、最大の悩みがある。地域の問題は、ある地域の人には生計をも左右する重要問題であるが、その他大勢の人にとっては、全く価値のない話題なのである。
 先ほどの下水工事のニュースなど隣の町内の人にはまず関心がない問題である。そうなれば、たとえ県域テレビ、ケーブルテレビといっても取材し、報道するニュース価値は余りにも低いものになってしまう。
 その上、そんな小さな情報、または専門的で個人的な情報を報道されても、受け手である住民も困るのである。
 オン・デマンド(ON DEMAND)という言葉があるが、このての情報は、まさにオン・デマンド「必要な人が、必要な時に、自由に入手できる情報」でなくてわならない。この意味で、インターネットはまさにオン・デマンドを実現する媒体である。Aさんの母親が突然倒れ、在宅の福祉サービスを受けたいとする。家庭で、役所の窓口で、プライベートに使用しては上司に注意されるかもしれないが、職場のパソコンで、サーチエンジンに「在宅福祉」と入力する。自分が住む町の名前も合わせて入力しよう。すると、在宅福祉サービスのメニューが表示される。「昼食の配達サービス」の項目を選び、クリックする。曜日や、内容を選択し、登録をする。もちろんパソコン上で、サービスの申し込みを市役所にすることができる。しばらくすると、電子メールが市役所から届く。「何月何日から昼食の宅配サービスを開始します」。といった具合である。
 この二つの例は夢物語ではない。少なくても、ここ10年で構築しなくてはならないシステムである。
 いつでも、誰でも、どのような情報でも、引き出せてこそ、真の情報公開である。 官僚や行政担当者、そして一部の議員が情報を独占する時代は代えなくてはならない。地方自治体の情報開示の方策としての、インターネット活用システムを作ることにより、真の地方民主主義、地方分権を育てることができる思う。

その第2点は、行政改革の推進である。

 インターネットとイントラネットの項で述べたように、イントラネットをインターネット対応で整備することのメリットは多い。ここでは、行政改革の立場からそれを検証してみたい。
 まず、縦割り行政の弊害を是正することができるという利点がある。
 現在、茨城県では、いくつものデータベースが各部署毎に稼働している。衛生部の管轄では、健康科学センターが健康データベースや統計案内データベース。福祉部は、福祉施設データベースやボランティアデータベース・福祉制度データベースを福祉情報センターが統括している。農業総合センターでは、文献・統計・気象情報のデータベースを有している。
 工業技術は、工業技術センターのデータベースに蓄えられ、生涯学習センターでは、生涯学習ボランティアの情報が集められている。
 こうしたデータベースを一カ所で検索することは、現状では県庁内でもできない。その操作方法も、一つづつ違い、全てのデータベースを操作することができる職員は果たしているだろうか。
 一つの端末から全ての情報が得られるメリット、統一された操作環境から得られるメリット。こうしたメリットは縦割り行政の敷居を次第に低くしていくのである。行政改革に果たす役割の2つ目は、その投資額の低さである。
 専用のLANを構築することなくネットワークを構成できるイントラネットは、投資額が飛躍的に少ないといわれている。昨年来、話題となっているウィンドウズ95対応のパソコンであれば、電話回線を利用すればモデムを接続するだけで、ほとんど追加投資なしで端末機としては活用できる。ネットワークを整備する費用が大幅に圧縮できるのである。
 更に、インターネット対応型イントラネットには大きなメリットがある。それは、設備を漸進的に整備できるという事である。専用LANの環境では、原則的にその設備は一挙に立ち上げる必要がある。こうしたシステムを全庁的に整備するとするならば、その投資額は莫大なものになろう。しかし、インターネット対応システムの場合は、できたところから、少しずつ進めていけばよいのである。WWWという統一方式で運用されたシステムであるから、その基本さえ忠実に再現していけば、臨機応変にシステムの拡張が可能となる。 現状の各部署毎のシステムは約5年周期で更新されている。したがって、各システムが更新時期に至ったときに、インターネット対応型に改変すればよい、単年度主義の自治体にとって、このメリットは大きいのである。
 こうした、メリットにより行政改革の切り札としてのインターネットシステムの導入は是非とも実現させなくてはならない。

インターネットを中核とする地域情報基盤整備の第3の目的は、新たな産業基盤の創出である。

 県が有する既存の情報ネットワーク上のデータを、より多くの県内企業が利用できるようにすることで、技術力、経営ノウハウ、人材紹介などの支援が可能となる。
 また、県内企業の優れた商品、技術などを全世界に紹介するとができる。反対に、全世界からの情報を容易に入手することができるようになる。
 様々な行政官庁への許認可申請や報告資料提出などをインターネット上で可能とすれば、民間企業の事務効率を飛躍的に向上させることになる。
 また、こうした間接的なメッリトとともに、これから大いに発展が期待されるインターネット関連のプロバイダー事業者・ソフト業者への直接的なメリットも大きい。
 とにかく著しい国際化の波は、規制緩和の大きな追い風を受けて茨城の地域経済に打ち寄せるであろうことは確実である。アメリカのメーカーが、EUの国の設計の商品を、中国の原材料を使って、製品を東南アジアで作り、最終的に茨城で販売する。といった国際的分業は日常茶飯事となる。
 逆をいうなら、東京という今までの一極集中の都会から離れた地域であっても、世界という視野から見るならば、デジタル化された情報の距離で見るならば、世界の中心となっても何ら不思議ではない時代の到来である。

第4は、次代を担う青少年の教育に関する必要性である。

 インターネットは、瞬時にして全世界の情報に接することができる。もし、子どもたちがその情報に触れれば、より深く、広い情報を自らの手で収集できる感激を知ることとなる。
 まさに、教室は世界の窓口となるわけである。
 更に、そうした情報の多くは英語を使ってやりとりされる。生きた英語教育がそこでは行われるだろう。インターネットでは、チャットと呼ばれる即時性のある電子メールのやりとりも可能である。
「こんにちは、日本の茨城県から発信しています」と、送信すれば、相手は「今晩は、ここアメリカのコロラド州では、深夜1時です」と返信してくる。こうした会話を楽しむこともできる。もちろん、英語で行われるわけであるが。更に、インターネットテレフォンは、インターネットを介しての音声電話や、テレビ画像電話をも可能にしようとしている(もちろん国際電話のような料金は必要としない、インターネットの接続のための市内通話料金とプロバイダー費用だけで通話できる)。英語の専任教師を教室に迎えることになる。
 インターネットは、遠隔地の授業にも役立つであろうし、その双方向性は、教室から全世界に情報を発信することもできるようにする。
 教室で拾得するであろう、インターネットに使用する言語(HTML言語)は、パソコンの機種に依存しない、インターネット対応型データベースが世界標準となれば、学校での授業の成果が、そのまま社会で通用する。学校で使っていたワープロが、社会に出たら全く役立たないといった時間と習得の労力の無駄遣いは限りなく解消されるであろう。
 まさに、インターネットは青少年の世界への眼を広げる大きな武器となるに違いない。

そして、第5のポイントは、地域コミュニケーションのツールとしての活用である。
 インターネットの優れた特性に、誰もが簡単に情報の発信者となれるということが挙げられる。
 私は、あくまでも自分の住む郷土茨城、その中でも日立という地域にこだわっての情報をインターネットを使って発信しはじめた。日立に新しくできたインターネット接続業者(プロバイダー)と契約をし、「井手よしひろのホームページ」を開設したのだ。そのURL(インターネット上の住所にあたるもの)は「http://www/jsdi.or.jp/y~ide/index.htm」。これを入力すれば、全世界から私のホームページにアクセスできる。
 このホームページを作るためのことばが「HTML」と呼ばれる。作り方は、そんなに難しくはない、ゴールデンウィークを挟んだ一週間で全くゼロの状態から、本を読みながらホームページを開設することができた。まさに、家庭から全世界への窓口を開くことができたのである。
 永年こつこつと調べ上げた郷土史の研究を発表するホームページを作る人もいるであろう。趣味の短歌や和歌を全世界に紹介することもできる。ボランティアの情報も載せられる。就職活動もすでに個人のホームページ上で行っている学生もあると聞く。高齢社会の中で自分史の作成が静かなブームと聞く。せっかくの自分史である、インターネット上で発表してみたらどうだろうか。出版の費用は、ずっと少なくて済むし、ずっと多くの人に読んでもらえるかもしれない。
 町内会の回覧板も変わるかもしれない、生活リズムの多様化から隣近所ともなかなか意志の疎通ができない場合も多い。回覧板が、電子メール化されれば、一瞬にして水戸市全体であろうとも、茨城全県であろうとも、大事な情報をもれなく伝えることが可能となる。
 インターネットは、その誕生当初から、情報を流す人の実名が明示されてきたという特徴がある。新聞でのペンネーム、匿名記事や、パソコン通信でのハンドルネームでのやりとり、といったものは原則あり得ないのである。こうした、実名主義は、地域のネットワーク形成において、その責任を明確にし、健全なコミュニケーションづくりに貢献すると確信する。
 インターネットは、まさに高度情報時代に対応した地域のコミュニケーションツールである。インターネットを中心に、新たな地域コミュニティーづくりが始まる可能性は高い。
 また、非常時の利用も先の阪神大震災のその有効性が実証された。そもそも、インターネットの誕生の歴史を見ると、戦争という非常事態で、ある情報のラインが途絶しても、情報の流れを止めないですむシステムとして考案され、発展してきた経緯がある。
 地震等の巨大災害に対して、被災者の状況や避難場所の紹介、緊急物資の状況等、時々刻々と情報を送ることができる非常時のコミュニケーション方法としても不可欠な存在である。

●井手よしひろの具体的提案

 インターネットの活用のメリットを「情報公開」「行政改革」「産業振興」「教育振興」「新たなコミュニケーションツール」の5つのポイントから概観してきた。茨城県の地域情報基盤整備の基本は、インターネットを中核においた県並びに関連機関、そして市町村のイントラネットの整備であることを、理解していただけると思う。

 それでは、その整備をどのように進めるべきか、以下8点にわたり、具体的な提案をさせていただきたい。

提案その1:県民が等しくインターネットにアクセスできるよう、一刻も早く公共のプロバイダーを設立すること。

 本年3月に、県が委嘱した「茨城インターネット研究会」の提言がまとめられた。これによると、県民が、安価で定額のアクセス料で、県内どこからでもアクセスできるインターネット網の整備が提案されている。そしてその母体として、「茨城県高度情報推進協議会(仮称)」の設立を求めている。具体的には、
1.サービスの早期開始
2.接続形態としては、専用線によるIP接続、電話線やISDNによるダイアルアップ接続
3.電子メール、ネットニューズ、FTP、Telnet、WWWによるインターネットの基本的サービスの提供。
4.ホームページ提供サービスの検討
5.ネットワークの保守・運用・共用サーバーの設置されるネットワークオペレーションセンターの開設。
6.アクセスポイントを県内全てのMA(市外局番毎)に設置し、均一料金の実現。

 以上の6点にまとめられる。この提言には、個人的に全面的に賛成であり、速やかな実現を強く望むものである。
 この提言を踏まえて、更に必要であろうと思われる内容を追加提案すると、
1.サービス開始は、本年(1996年中)中の開始をめざす。
2.接続料金は、年間15,000円程度の安価なものとして、固定料金制とする。
なお、アナログでもデジタルでも料金に差をつけない。(県外居住者の加入には料金格差もやむをえない)
3.アクセスポイントに、東京を含める。これによって、県東京事務所などとのイントラネット形成が容易となり、また都内勤務の県民の便宜性、茨城出身都民の便宜性が高まる。また、携帯端末によるインターネットの接続の可能性を確保することができるためである。
4.インターネットプロバイダーには、個人・グループのホームページを作成できる よう、WWW用のハードディスク空間を貸し出すサービスを行うこと(ホームページ作成サービス、その容量は最低でも5Mを確保し、希望によって更に拡大できるシステムとする)。
5.プロバイダーへの登録、WWWによる個人のホームページ開設は、実名主義とし、これをもって健全なコミュニケーションの場としてインターネットを育て、公序良俗に反するようなWWWの掲載に抑止をかけること。

提案その2:県及び県関連のデータベースをイントラネットの発想を充分活かし、2001年までに再構築すること。

 既存の県関連のデータベースは、企画部関連で「茨城県インターネット情報サービス」。 衛生部が、「茨城県保健情報システム」(茨城県健康科学センター)。福祉部、「茨城県福祉情報システム」(茨城県福祉情報センター)。 農林水産部、「茨城県農業技術情報ネットワークシステム」(茨城県農業技術情報センター)商工労働部、「茨城テクノインテリジェンスシステム」(茨城県工業技術センター)と「中小企業情報システム」(茨城県中小企業情報センター)教育庁関連では、「茨城県生涯学習情報提供システム」(水戸生涯学習センター)等が現在稼働している。いずれも独自に運営されており、操作性も統一されていないのは先に述べたとおりである。
 概ねいずれのシステムも、5年を目処に更新されており、順次インターネット対応にシステムを更新する必要がある。
 本年度は、「茨城県福祉情報システム」(茨城県福祉情報センター)と「茨城テクノインテリジェンスシステム」(茨城県工業技術センター)が更新期を迎えており、新しい情報発信の形態を目指しての更新作業が望まれる。
 さらに、今後整備が計画されている新規の県民情報サービスも、この思想を徹底して行くべきである。
 例えば、行政データ共通利用システム(総務部)、消費者行政苦情情報システム(生活環境部)、交通死亡事故総合分析システム(生活環境部)、防災情報システム(生活環境部)、原子力防災安全システム(生活環境部)、医療機関情報システム(衛生部)、県立図書館情報システム(教育庁)など。  またすでに、インターネットを活用して情報発信を開始しているシステムに関しても充実を図る必要がある。
 例えば、県立医療大学(Ibaraki Prefectural University of Health Science’s Home Page:衛生部、すでに稼働中のシステムの充実)、観光情報提供システム(商工労働部、茨城インターネット情報サービスの中で運用中、充実拡大)。

提案その3:県民への情報公開をインターネットを活用し更に推進すること。
 県民に広く行政情報を公開するために、次のようなデータベースサービスも検討すべきである。
1. 県からのメッセージ・県民の声データベースシステム(県からの広報、県報、プレスリリースのオンライン化 、県民からの提案・陳情・相談等のデータベース化)
2. 統計情報公開システム(県の所管する統計情報をオンラインで広く県民に提供するシステム)。
3.監査情報提供システム(県並びに関連機関の監査情報のデータベースシステム)。
4.博物館・美術館情報システム(県並びに公営の博物館・美術館の所蔵品、企画展等の情報サービス)。
5.入札情報公開システム(県並びに関係機関の入札に関わる全ての情報をオンラインで公開する)。
6.県民情報公開オンラインシステム(現在県民情報センターで行われている県民への情報公開をオンライン化する)。

提案その4:茨城県議会のホームページを早急に開設し、議会情報の発信を行うこと。

 茨城県議会のホームページを早急に開設し、順次以下の内容を含む総合的議会情報のデータベースを構築する(整備完成を平成10年度程度とする)。
1.県議会の議案書並びに報告書等のデータベース化。
2.県議会の本会議議事録、委員会議事録のデータベース化。
3.本会議・委員会の議員の出席状況の県民への公開。
4.議員の資産公開情報の県民への公開。

提案その5:3年以内に、県内小中高等学校へのインターネット導入を実現すること。

 情報ハイウェー構想で再選をねらう、クリントン大統領は、1月の一般教書演説で「2000年までに全米の各教室にインターネットを接続する」と発表している。先に述べたように、教室でのインターネットの活用は様々な可能性を秘めている。
 茨城県においては、平成6年度より、6カ年計画で、「第3次教育用コンピュータ整備計画」がスタートした。この事業により、県立普通校には、一校当たり42台、一人一台のパソコンが整備されることとなる。昨年秋の一般質問でも、こうした設備更新期にインターネットへの接続を提案したところではあるが、前向きの答弁を得るには至っていない。
 将来的には、全ての学校に一人一台で操作できるインターネット対応のパソコンを整備することが必要であるが、その投資額は莫大なものになると試算される。
 したがって、当面は一学校あたり一回線のインターネット接続を、実現することを提案する。  そのための具体的方策としては、
1.先に提案した公共プロバイダーが、小中高等学校一校あたり一回線、インターネット接続料を無料提供する。
2.教育研修センター内にインターネット支援設備を充実させる。
3.教員のインターネット研修を行う。
4.各学校のホームページを作成するための、スクールインターネットボランティアを組織化する。
5.公立の小中学校がインターネット接続を行う場合の県費補助を創設する。

 こうした施策を緊急に計画・実施する必要性を力説するのもである。

提案その6:新県庁舎の庁内情報システムは、イントラネットの発想を充分検討し、設備投資の圧縮や操作性の統一化、簡略化を図ること。

 今、平成11年の新県庁舎の完成に合わせて、新たな庁内ネットワークシステムの整備に全力を挙げることが必要である。
 その整備手法は、一つの端末から全ての情報が、同じ手順で呼び出すことができる方式とすべきである。
 さらに、電子メールシステムや電子決済システムを採用し、行政事務の簡素化、経費の削減に最大限の眼目を於くべきである。

提案その7:インターネット、イントラネットのセキュリティーの確保について充分な研究を積み重ねること。

わが国のパソコン通信ネットワークの草分け的存在の「コアラ」から発展したインターネットへの接続サービス「ニューコアラ」(事務局・大分市、会員数約4000人)でホストコンピューターのシステム管理データが壊れ、システムファイル中のインターネット会員約2000人分のパスワードや個人データが消滅するという事件が4月12日起こった。事務局は「故障とは考えられず、悪質な侵入者(ハッカー)によるもの」とみている。「最悪の場合は、個人情報が盗まれ、プライベートな情報が悪用される可能性もある」とし、会員にパソコン通信の画面上で注意を呼びかけ、直ちに会員のパスワードを再登録、速達で発送した。あくる13日には回復した事故ではあったが、インターネットの社会で起こる事故の恐ろしさを垣間見せてくれた。
県庁内・関係機関の内部情報は、個人のプライバシーに関するものや、様々な業務の進行に不可欠な重要な情報が多い。こうした情報が、インターネットから不法に引き出されたり、いわゆるハッカーの進入によりデータやプログラム自体が破壊される危険性がある。また、コンピュータウィルスの感染の問題も深刻な課題である。
 このように情報のセキュリティーを確保すること、外部情報(インターネット情報)と内部情報(イントラネット情報)の間のファイアーウォールを堅固にする研究を進めなくてはならない。

提案その8:市町村の情報システム整備に関して、その指導ならびに補助金制度を創設すること。

 公共のインターネット情報システムは、地方自治体のもっとも身近な単位である市町村へのネットワーク無しには完結しない。
 市町村の情報システムへの啓蒙、指導体制の強化。人材育成の機関充実。設備補助金制度の創設が是非とも必要である。
 また、先導的政策として、県の情報ネットワークの端末を積極的に市役所・町村役場や支所、公民館などに配置し、県内全地域から良質で均一なサービスができるよう配慮することも必要である。



Windows internet 12月号に掲載「インターネットは政治を変えるか」
http://blog.hitachi-net.jp/archives/51659499.html
Windows internet 12月号に掲載「インターネットは政治を変えるか」井手よしひろのアンケートの回答文
http://blog.hitachi-net.jp/archives/51659500.html

Copyright(c) 1996 Mainichi Communications Inc. All Right Reserved.
毎日コミュニケーションズ「ウィンドウズ・インターネット第3号」より転載




このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。

Windows internet 12月号に掲載「インターネットは政治を変えるか」

 以下のページは、Mainichi Communications Inc.が発行しておりました「ウィンドウズ・インターネット第3号」に掲載された内容を、同誌のオンライン版より転載させていただいております。
 「ウィンドウズ・インターネット」誌は、現在休刊となっており、オンライン版も、毎日コミュニケーションズのホームページ上からも削除されております。
 このページは、福冨忠和氏の本文と井手県議のアンケートの回答を掲載いたしました。
 ご意見、ご質問等はWeb管理者の井手までよろしくお願いいたします。



【特別企画】
ネットワークデモクラシー!?
インターネットは政治を変えるか?

1997/11 ウィンドウズ・インターネット第3号 文:福冨忠和氏



「ネットワークデモクラシー」とか「電子民主主義」という言葉をよく聞く。しかし、その意味するところはかなりあいまいだ。いろいろ探ってみてわかってきたのは、その定義にも、大きく以下の3つくらいの方向性があることだ。

1)これまでの政治活動や選挙活動に、インターネットやパソコン通信を利用すること。これによって対話を重視した、しかも低い費用での選挙活動ができる。
2)インターネットやパソコン通信によって、投票などが簡単にできる。不在者投票や住民投票の情報公開の可能性が開け、従来とは違う直接民主主義を政治システムに取り入れることができる。
3)サイバースペース上の新しいコミュニティをベースにした、全く新しい共同体システムのこと。あるいは、国家とは独立したサイバースペース上の政治形態。

「戦後政治の終焉」とか「民主主義の閉塞」といった言葉ではじまる暗いトーンの記事と、「インターネット」に関する希望ばかりの記事が毎日一緒にマスメディアをにぎわしている。その2つが単純に結びついて、「ネットワークデモクラシー」というアイディアが出てきたのかも知れない。しかし、どの方向にせよ、簡単に実現しないことだけは確実みたいだ。
 たとえば、この間の衆議院議員選挙ーーー。

サイバースペースの公職選挙法

 政党や議員がホームページを開いたり、電子メールを活用している、という話題は今ではあまり珍しくなくなった。新党さきがけ時代の簗瀬進氏(現・民主党)をはじめ、パソコン通信の時代から、電子ネットワークを自らの政治活動に生かすことにいち早く挑んできた議員も少なくない。
 とはいえ、いくらインターネットが騒がれていても、日本国内のインターネット、パソコン通信を含めたネットワーカーの人数は人口の数%にすぎない。郵政省が95年に行った調査でも、自宅でパソコンを使用している人のうち、わずかに2.6%がこうしたオンラインサービスのためにパソコンを利用していると答えた。まだまだ世間の関心は低い(それでも利用率の延びは急激で、今年2月と8月、20歳以上の1000人を対象に行った郵政省の「電気通信サービスに関するモニター調査」によると、インターネットを知っている人は2月の81%から8月には90%に、使ったことがある人は20%から34%に増えている)。
 議員や政党のホームページ開設率も伸びてはいるが、思ったほど多くはない、というのが正直な印象だ。Nifty Serveネットワークデモクラシーフォーラムのホームページや、長尾正さんによる衆議院選挙立候補者のリンク集で調べた限りでは、議員全体のごくわずかがホームページを開設しているにすぎない(別表参照)。活用している議員からも「インターネットやパソコン通信を使っている人達がほんの一部に過ぎない現状では、こうした取り組みが話題性で先行していると言った感も拭えない。実用のための試行錯誤の状況と思う」(秋田市議 淡路定明氏)という声や、「参議院ならともかく地方議員ではこれを選挙には使えない」(群馬県議 山本龍氏)という意見もある。しかし「まだまだ利用者が絶対数少ないから、機会の均等にならないとの意見もあるが、自由に利用できるようにすべき」(東京都品川区議 辻幸雄氏)という気分は趨勢だろう。
 国政レベルでは、新党さきがけのようにいち早くインターネットを活用したことは、マスコミ向けの話題としてインパクトがあった。同党は政治資金規制法に絡んで、政府の公表方法(閲覧のみで複写できない、など)に市民から批判が出ていた政党助成金の使途等報告書を、自党分のみホームページで公開するなど、ダイレクトなコミュニケーションとしてのインターネットの特質を見抜いた活用方法で秀でていた。
 さきがけや市民リーグ(当時)によるインターネット活用がマスコミの話題になると、自治省は候補者紹介などのページが公選法に抵触する恐れがあるとの見解をメディアで公表した(96年3月末)。しかし同じ自治省から「政治活動への利用は選挙期間中でも問題ない」という見解も示され、「選挙活動」と「政治活動」の線引きについて疑問を残した。その後もインターネットに対して、自治省は確固とした見解を示すことができないまま、今回の衆議院選挙を迎えることになった。
 新たに結党された民主党は、議員としてはネットワーク先駆者である先の簗瀬氏らも合流して、鳩山党首はじめインターネットを活用した新しい政治形態の模索と政策の実現をアピールした。新党さきがけも、9月末の選挙公示直前に「インターネットと公職選挙法」に関する質問を自治省に提出することを公表し、質問内容をホームページで募集。ここでは公職選挙法によって、選挙期間中に政党や候補者が利用できる文書・図画(ビラ・ポスター・掲示板など)について、その仕様や枚数、利用可能な期間などについて細かく規定されていることへの疑義を論じ、同時に「カネのかからない、公平な選挙」のためにインターネット活用が有効だと考えられるにもかかわらず、同法にそれに対する明確な規定がないことを問題視した。ちなみに、さきがけホームページの制作・維持はすべて党内で処理しているため、費用はサーバ利用料の月3000円とダイアルアップ接続時の市内電話料金程度とのこと。
 10月2日に同党が自治省に提出した質問書は、政治への活用のみならず、インターネットに関する現在の多くの問題が集約されたものとなった。

ホームページは文書・図画か?

 質問書は、インターネットのホームページについて、極めて低廉な費用で開設・維持できる。電子的記憶としてサーバ上に保持されるものだから通常の「文書図画」とは異なる。相手方からアクセスして利用するものだから、候補者等の側が積極的に「頒布」または「掲示」するものではない。とした上で、
・公職選挙法上規制されている他の選挙運動手段(ビラ・ポスター等)が、金のかからない選挙の実現のため決められているという理念から、ホームページは規制されるべきではない
・電子データは「文書図画」とは言えないのではないか
・「文書図画」に当たるとしても「頒布」または「掲示」とは言えないのではないかなどの項目が盛り込まれている。また「海外のサーバに、公職選挙法に抵触するホームページの素材をおくこと」「電子メールによる投票依頼」「インターネットを通じて演説会を中継すること」などの、公選法の境界例ともいえる質問も加えられている。
 インターネットによる新しいメディア形態が広がったことで、旧来の法文では定義できない事態が生まれてしまった。「至急、インターネット、パソコン通信が活用できるように公職選挙法の改正をすべきである」(品川区議 辻氏)といわれる反面、公職選挙法や刑法を改正するためには、当然長期にわたる慎重な議論が必要だ。では、警察や自治省の官僚たちはその間どう対応するのか。
 結果を言えば、自治省は何もしなかった。つまり、現在までのところ「質問書」には返答していない。(10月17日現在) しかし、自治省がなんの返答をしなくても、10月、衆議院選挙は公示され、各党、各議員のホームページは、なんらかの対応が必要となった。
 政党のホームページのほとんどは、公示前から議員に関するデータ中に立候補予定など、公選法に触れそうな内容を扱っていなかったので、選挙期間に突入して、更新はされていないが、休止もしていない。民主党のように、メールで寄せられた有権者からの政策などに関する質問を、そのままホームページに掲載し、これに対する回答を情報ボランティアらの手で次々と掲示する、という積極的な動きを見せている党もある。
 96年の1月開設以来、WWWアクセス(ヒット)件数は9月だけで18万件という実績だった自由民主党のホームページも、「解散前は公認候補者一覧を『議員会館』に設置いたしておりましたが、9月27日から休止させていただいております」(広報局)とのこと。理由は「自治省の見解が不明瞭な部分等があり、内部で検討した結果自主的に休止」したという。また今回の選挙以外でも「図画等の掲載に触れる恐れがあるので、プロフィール部分の削除」(品川区議 辻氏)を行ったケースもある。
 各候補者のホームページの対応もまちまち。新進党・松沢しげふみ氏のホームページでは「公選法との関係が不明確なままでしたので、公示後の更新は一切自粛」(松沢氏WWWサイト担当)し、公選法の選挙運動に関わる内容は、公示前も含めて一切掲示していないという。このように内容を更新しないで、そのまま公開している候補が多い。「公示前の街頭ポスターのようにホームページ公開を取りやめるべきかとの議論については、本屋の店頭に並ぶ松沢の著書と同様の考え方で、やめる必要はない」(松沢)という「合法論」が多いが、一部には「公職選挙法の規定により」と断って、ホームページを休止させている議員のサイトもある(小杉隆氏ホームページなど)。
 果たして、どの対応が正しいのか、この原稿を書いている投票前の段階ではわからないのだ。正直なところ選挙後の警察の公選法違反摘発を待ってみるしかない(笑)。しかし、警察も自治省も、初の小選挙区制による選挙の対応で大わらわで、それどころではないという噂も聞く。

自由が大原則

 候補者サイドでは「インターネットやパソコン通信は、テレビや新聞・雑誌などと同様の一メディアで」「民主政治には、有権者と政治家の対話が重要であることを考えれば、その一手段としてこれらのメディアを活用するのは当然」という思いはありながらも、「しかしながら、公選法の問題一つにしても、その利用法が十分に議論された訳ではなく、利用には慎重であるべきである」(松沢氏)という対応が、今のところ正しいのかもしれない。
  茨城県議の井手よしひろ氏は「公職選挙法とインターネット情報についての私見」(1996年4月発表)のなかで、「自治省は、明確なガイドラインを示す必要がある」と断じる一方、諸外国での政治におけるインターネットの状況を以下のように解説する。
「わが国で禁止されているインターネットを利用した選挙運動は、海外主要国では原則自由で規制は見られない。
 アメリカでは、11月の大統領選に向け各陣営が盛んにホームページを利用。『史上初のインターネット選挙』といわれるほどの過熱ぶりだ。
 イギリスでは、野党の自民党がマルチメディア利用に最も熱心であり、パディ・アッシュダウン党首自身が、市民との電子メール交信に励んでいるといわれている。
 ドイツも、3月の州議会選挙で選挙運動に利用され、各政党がホームページを開設している。同じく、3月に総選挙があったオーストラリアでは各党がホームページで火花を散らした。このように、インターネットを利用した選挙運動は、何の規制も加えない、自由が大原則なのである。
 私は、日本でもこの原則を定着させるべきだと主張する。
 従来の選挙運動に利用できる『文書図画』、つまりポスターやハガキ、ビラ、選挙広報は、その情報を必要としない人にも送りつけられる可能性がある。テレビやラジオ、新聞等のマスコミも同じ性質がある。こうしたメディアは、公選法での規制の枠がはめられてもいたしかたないと感じる。
 しかし、インターネットというメディアは、その情報を得る人は積極的、能動的アクションを起こして、初めてその情報が得られるわけである。インターネット上の情報は、ほしい人が、ほしい時にアクセスしてくるのである。こうした、インターネットの本質を無視した、規制論には大きな矛盾を感じるのである。
 日本でもホームページ上の活発な政策論争を期待するものである。
 たしかに、米国などの状況を見ると、利用率も、その質にもかなりの差を感じないではない。昨年通信改革法案の審議をめぐって、そのなかでインターネットの規制に関わる通信品位条項(法)が問題となっていたときは、国会議員全体でもメールアドレスを持っている人間は、わずかに20人近くだった。通信品位法のもととなった議員立法を提出した2人の議員(エクソン、ゴートン)ともに、メールアドレスはおろかパソコンすら使っていないという説もあり、その彼らがインターネットの内容規制を主張することへの批判が耐えなかった。保守派の筆頭といわれるニュート・ギングリッジ下院議長も、自らがネットワーカーであるために、この法案に反対票を投じていた。
 しかし、約1年が経過して、状況は大きく変わった。ホワイトハウスや各省がネットワーク上で選挙関連のアピールを行うことは禁じられれているものの、党、支援団体、個人、そのほかの市民団体など、多くのホームページが選挙キャンペーンを繰り広げ、ホームページ上での寄付金の公募も行われている。中絶問題、プライバシー法案、税制など、シングルイッシュー(テーマ別に組織された)のNPOサイトも、多くがホームページやメーリングリストで政策論争を繰り広げている。また世論調査や模擬投票、人気投票なども盛んで、支持者や候補者によるオンラインのディべートなども繰り広げられている。
 「無責任な垂れ流し型の情報操作に対する措置、倫理規範の確立が不可欠」(辻氏)という憂慮もあるが、日中の住宅地にやかましい騒音を振りまいて候補者名の連呼を繰り返す選挙カーや、お茶の間に乱入する政党のテレビCFに比べたら、静かで、必要な人にのみ情報を届ける、極めてフェアかつクリーンなものだ。井手氏が主張するように「ほしい人が、ほしい時にアクセスしてくる」というインターネットの本質を無視した規制論には矛盾を感じざるを得ない。

「電子ネットワーク投票」へ

 コンピュータとネットワークの機能が、閉塞した戦後民主主義のオルタナティブ(代替策)を提供する、と考える人たちもいる。電子メールなどを活用した電子投票制度などについては、かなり前から議論としては語られてきたが、実際のところ、認証(本人をどうやって本人と断定するか)やネットワークセキュリティなど課題が多く、技術的に簡単には実現しないだろう。しかし、この多忙な現代社会の中で、たった一日しかない投票日に、住民票が提出されている区域の、特定の投票所に行かなくては投票できないシステム、というのもいかにも古い。片方で、投票率の低下を嘆く人がおり、別のところでは、納税義務があるのに選挙権も被選挙権もないことに不満を感じる在日外国人たちがいる。どこかバランスがおかしい気がする。
 そういう意味で、「電子投票」の実現は、海外に在住する国民や外出もままならない人々、多くの選挙マイノリティの声を、政治に反映させていく可能性があるのではないか。「有権者の本人確認、投票内容の秘密保持などの技術的問題と、選挙区をどこにするかなどの問題がクリアされれば導入するべきだと思う」(参議院議員 林芳正氏)という意見は多いし、「電子投票が最初に利用されるとしたならば、外国在住者の投票であると思う。電子マネーの技術を応用した本人確認のシステムが一般化すれば、いち早く実用化されると思う」(茨城県議 井手よしひろ氏)という具体的なイメージが政治家の中にもある。「しかし、公職選挙法の改正などの環境整備の方が時間がかかるかもしれない」(井手氏)という別の課題が横たわっている。
 自分が選挙によって選んだはずの政治家たちが、必要なときに力にはなってくれるとは限らない、という不信感も募ってきているのかもしれない。阪神大震災時の国政の無策を見たあたりから顕在化してきた傾向だろう。
 たとえば、11月上旬、「日本国外に住むことによって日本の国政選挙に投票できないのは、憲法に保障された国民の基本的権利の侵害である」、「こうした状態を放置している日本政府は怠慢であり、国政選挙に投票できないことによって生じた損害を賠償するべきである」として、米国、豪州、フィリピン、タイ、フランス、ブラジルにある日本人の市民団体が、日本政府を相手どって損害賠償を請求する裁判を東京地方裁判所に起こすことになった。原告は世界各地に在住しているため、原告団の訴訟打ち合わせはすべてインターネットを通じて行われ、裁判経過をホームページに掲載し、在外投票制度の実現を求めるキャンペーンを同時展開していく予定だという。裁判史上では初めて「サイバー原告団」が結成され、実際に提訴を行うことになるのだ(原告団のホームページはhttp://www.ics.com.au/kyn/KYNL1.htmまたはhttp://www.users.interport.net/~hiro/Nuts/)。
 また、Nifty ServeのFNETDの会員で中心に行われている「模擬首相選挙」のようなものを挙げてもいい。「首相は憲法67条(内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。)により、国民の投票によっては決められません。しかし、任意に首相にすべき人を投票することは公選法上も問題はなく、可能です。ネットにより模擬の首相選挙を行い、首相公選制に意義があるのか実験するものです」と書かれたこの模擬選挙の「目的」の文には、現在の間接選挙によって選ばれた一国の首相を、国民が信任も不信任もすることができない、というもどかしさが現れている。この模擬選挙は電子メールによって行われ、実際の衆議院選挙投票日当日に開票されるという。
 また先のサイバー原告団を構成する海外有権者ネットワークも、国際通信会社の協力により、電話による「在米日本人の総選挙模擬投票」を行う。これは衆議院選挙投票日前日までフリーダイアルを公開し、米国在住の有権者たちに、声による模擬選挙に投票してもらうというものだ。投票の結果は、在米の日系メディアなどに公表される。

違法と適法のグレー領域

 こうした市民による直接民主制志向は、2つの住民投票で火がついた。地方自治や、地方住民の意思が、国政レベルの判断を覆す可能性が、はじめて見えてきた。実際にいくつかの自治体で「住民投票条例」が採択されつつある。「沖縄県民投票」は、県民に不本意な結果となったかもしれないが、地域住民と国政の利害対立を浮き彫りにし、日米安全保障条約をめぐる大きな議論を呼ぶことになった。
 2つの住民投票は公職選挙法の規定を受けないこともあって、インターネットやパソコン通信上での議論や、さまざまな形での情報提供が活発に行われた。また、開票当日は、どちらの投票でも、地元新聞や市民団体によるホームページ上でのリアルタイムの開票速報が流れ、ここからさらに、パソコン通信のフォーラムや、インターネットのメーリングリストに情報が転載された。結果として、多くのオンラインユーザーは、マスメディアよりもかなり早く、この投票の結果を入手することになった。
 しかし、こうした国会政治色の薄い住民ベースの動きはともあれ、政党などによるサイバースペース上の活動は、もちろん先の公選法などの法律の規定を受けるし、また、かなりの数のパソコン通信事業者や、いくつかのインターネットプロバイダなどが、こうした政治活動や宗教活動を、約款上禁止したり、規制したりしている。
 さきがけの質問状にもあったように、選挙にからむ「人気投票」を公表することは違法であるし、「世論調査」でも、選挙期間中に特定メディア以外が公表することは違法とされる。「特定のメディア」とは、放送法などで規定されている放送局や、第三種郵便物に認可されているような商業的な新聞や雑誌を指している。ここには、奇妙なことに多くの政党機関紙風の媒体、たとえば「赤旗」などもふくまれる。逆に、普通の有権者が、世論調査を行い、それを自分のメディアで公開することは原則としてできないことになる。「厳密には新聞社などが紙面に掲載した世論調査の結果を、ホームーページ上で公開することも、グレー領域に属してしまうはず」というのは、NiftyServeネットワークデモクラシーフォーラムのSys-opの藤原純衛さん、「しかし、実際には新聞社のホームページにそういったものが掲載されていますね」。
 10月15日には、インターネットを用いた模擬投票実験が、警察と自治省から公職選挙法違反になるとの見解を得た。これは「電子投票を行う場合に生じるさまざまな技術的問題点をはっきりさせるための実験」で、スタート以来、15日までに三百数十件の「投票」があったというが、公選法にいう「人気投票の公表」にあたるのだという(時事通信伝)。
 逆に、市民新党にいがたのホームページのリンクを、新潟インターネットサービスセンターが、「宗教並びに政治活動に関するリンクはご遠慮させていただきます」という基準によってはずした、ということもあった。
 つまり、政治団体はコストのかからないインターネットを自由に使えず、ユーザーも政治的内容についてインターネットでは扱えない、という奇妙な状態が、現状なのだ。これらは、誰が、一体何のために課している規定なのか。

サイバースペースは草の根民主主義

 インターネットは米国国防総省の核戦略用ネットワーク研究のため、大学などに委託された学術研究ネットワーク(ARPAネット、NSFネット)にUSENET、FIDONETなどの草の根的なネットワーキングの動きが統合して生まれた。1992年インターネットソサエティ(ISOC)が国際機関として生まれて以来、関連の組織(IAB、IETFなど)含めて、国家とは独立した枠組みの中で統括されてきた。また、パソコン通信の起源となったものが、米国西海岸の市民運動の中から生まれてきたことも知られている。パソコンとそれにつながる電子ネットワークが形作る世界ーーサイバースペースは、そもそも市民の草の根的な動向との親和性が高い。実際、サイバースペースでは政党や議員のホームページを探すよりも、ずっと簡単に非常に沢山のボランティア、NPO、NGO、市民運動などのサイトを見つけることができる。
 電子ネットワークが、疲弊した官僚政治をボトムアップで変えられると考えられる。いちはやく「ネットワークデモクラシー」という言葉を使い始めた先のNifty Serveネットワークデモクラシーフォーラムの設立趣意書(95年7月27日)にも、つぎのように書かれ、秋葉忠利、岩屋毅 、小坂憲治、堂本暁子、簗瀬進、山口俊一といった議員たち(当時)が発会に名を連ねている。
「コンピュータネットワークの普及は、膨大な有権者の意思の即時集約を可能とするため、有権者の直接民主制への志向を確実に高める。(中略)このようなパソコン通信やインターネットが確実にもたらす『ネットワーク社会』に対応した民主主義の望ましいあり方を検討し、必要な提言を行っていくのが当会の目的である」。
 しかし、実際の道のりはまだまだ遠い。「選挙期間中のフォーラムは政党関係者やボランティアの方達の発言自粛やメンバー自身の自主規制から、盛り上がりの欠けるモノになってしまった。選挙期間中こそ情報交換が必要なのに。過度な自主規制をしなくて良いようにキチンとしたガイドラインが欲しい」と藤原氏。それは「情報公開、情報の共有化の点から評価すべき」(辻氏)であって、選挙公報メディアとして規制すべきではないのだ。
 国外まで目を向ければ、インターネットの国家的な規制は、世界に広がる傾向にあり、多くの市民運動家たちは、電子民主主義の到来を待ち望むよりも、官僚政治とまず闘うことを余儀なくされている。  米国の通信品位法の施行に対してサイバースペース上でのさまざまな抗議運動や、フィラデルフィア連邦裁での集団訴訟で中心的な役割を担ったのは、VTW(Voter Telecommunications Watch:有権者による通信監視)、ACLU(全米市民自由連合)、ラルフ・ネーダーグループ、EFF(電子フロンティア財団)などの、NPOや草の根的な市民団体だった。彼らの多くは以前から、通信政策に関する監視活動や、情報公開、著作権、プライバシーといった分野で活動してきた。
 日本では、NPO法が選挙前に棚上げされ、さまざまなオンブズマン活動での努力によっても情報公開はなかなか進まない。選挙公示直前の10月8日には、長尾立子法相は刑事法制の見直しを制審議会に諮問し、この中で来年の通常国会への法案提出を目指して、電話やインターネットなどの通信傍受を認める法制審の答申を得る意向だという。アセアン諸国でも規制が進行している。
 いま、「ネットワークデモクラシー」という理念と希望の周辺で、ぎくしゃくと音を立てているのは、市民社会に根付きはじめた新しいテクノロジーと、古いビューロクラシー(官僚主義)とがぶつかりあっているためなのだと思う。
 近代市民社会が生まれ、民主主義が育まれるに至るには、サロンやコーヒーハウスといった、誰もが公けに語ること(公論)を許可されたスペースと、新聞などのジャーナリズムが必要だった。さまざまな主張と批判と意見が、新聞上や公の場(パブリック・スフェア)で交わされることが、不可欠の条件だったという。
 現在のサイバースペースは、ちょうどそんな近代市民社会のはじまりに似ている。であるなら、サイバースペースは誰もが自由に語れる街角のコーヒーハウスであるべきなのだ。「いつでも、どこでも社会的身分や性別、年齢を越えて、対等に意見を交換できる積極的能動的市民参加型の民主主義制度」(辻氏)はそこで初めて実現できる。誰もが自由に主張や批判を行うことができること。もしそれがなければ、ネットワークデモクラシーの実現もありえない。

井手よしひろのアンケートの回答文

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