1999年04月

統一地方選開票結果・茨城公明党全員当選

統一地方選挙の結果
公明党<茨城県>候補者全員当選

990425banzai 平成11年4月25日に投開票が行われた統一地方選挙では、公明党公認候補38名が全員当選しました。

 初挑戦の五霞町では、女性候補が無投票当選を決め、龍ヶ崎市、下館市、鹿嶋市、茎崎町、江戸崎町で各々1議席増を勝ち取りました。現有議席32を6議席のばしての38議席の獲得となりました。

 また、各市町で爆発的な増票となり、茨城県全体では9908票の増加となりました。

 マスコミ等では、有権者の政党離れが深刻化していると伝えていますが、地道な地域活動・議会活動と地域からの政策提言によって、私ども公明党の実績や主張を広く皆様のご理解をいただき、統一選の大勝利につながったと確信しております。

 皆様のご支援に深く感謝し、今後とも全力を挙げての議会活動、地域活動を決意いたします。

茨城県の統一地方選挙投票結果(公明党公認候補)
99年4月26日確定分
 現新年齢得票数順位前回得票前回順位前回増減備考・検討項目
第1水戸市伊藤 充朗4472,544202,23126+313 
田山 知賀子1562,708142,64810+60 
佐藤 敬二543,05962,59913+460 
加藤 光子502,985102,15230+833 
五十嵐 博452,465232,07531+390 
合  計13,761 11,705 +2,056 
常陸太田市山口 恒男481,33011,0955+235定数減
第2日立市額賀 俊彦4532,376242,30523+71 
八幡 正次3582,721102,47020+251 
鈴木 峰造3552,222302,51019▲288 
助川 吉洋3462,75892,82910▲71 
舘野 清道382,608122,44521+163 
合  計12,685 12,559 +126定数減
第3土浦市宮内 敏夫5612,17071,89410+276 
田中 箍2521,907101,72613+181 
福田 一夫1432,34432,0596+285 
小林 幸子502,26351,68915+574 
合  計8,684 7,368 +1,316 
石岡市菱沼 成房4601,49031,3305+160 
第4竜ヶ崎市久米原 憲一4591,33961,3005+39 
山本 南1551,39151,4053▲14 
大塚 弘史461,20680 +1,206 
合  計3,936 2,705 +1,231定数減
利根町岩佐 康三354790269110+99 
江戸崎町渡辺 正博36266951,0051▲336 
国沢 美智子5766360 +663 
合  計1,332 1,005 +327 
第5牛久市茶谷 巌1571,79021,7713+19 
宮原 節子561,99011,35810+632 
合  計3,780 3,129 +651 
茎崎町馬場 治見518176  +817 
坂本 禎子537717  +771 
合  計1,588 1,3304+258 
第6下館市篠崎 仁4511,353101,5935▲240 
尾木 恵子431,340110 +1,340 
合  計2,693 1,593 +1,100 
結城市篠崎 洋介1551,23291,07310+159定数減
明野町荒井 英一556728562011+108前回は無投票
第7古河市柳 優1541,29581,5304▲235 
栗山 昭子551,46661,3296+137 
合  計2,761 2,859 ▲98 
水海道市中島 亨一1421,25071,1513+99定数減
石下町西澤 清24488057865+94定数減
五霞町滋野 千代子48    +0無投票当選
第8鹿嶋市栗林 進2601,300101,3092▲9 
桐沢 いづみ381,5453  +1,545 
合  計2,845 1,309 +1,536 
波崎町長谷川 治吉3441,36019097+451 
茨城県計63,125 53,217 +9,908118.62%
立候補数38当選者数38 





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介護保険を考える - 茨城県の高齢者率

茨城県の老人保健施設の整備状況(市町村別)

茨城県内の老人保健施設の整備状況をとりまとめました。ベット数を医療圏ごとに集計した数値です。また、既存(既設・既着工)の物は、ベット数を市町村ごとに集計しました。
療養型病床群の整備目標は医療圏ごとにしか設定されていませんので、市町村ごとの達成率を算出することは出来ません。
基準日は以下の通りです。
整備目標:平成12年3月31日。
高齢化率の数値:平成9年10月1日。
整備の実績、達成率:平成11年3月31日。

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介護保険を考える - 茨城県の特別養護老人ホームの整備状況

茨城県の特別養護老人ホームの整備状況(市町村別)

茨城県内の特別養護老人ホームの整備状況をとりまとめました。ベット数を市町村ごとに集計した数値です。
基準日は以下の通りです。
整備目標:平成12年3月31日。
高齢化率の数値:平成9年10月1日。
整備の実績、達成率:平成11年3月31日。

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介護保険を考える - 茨城県の老人保健施設の整備状況

茨城県の療養型病床群の整備状況(市町村別)

茨城県内の療養型病床群の整備状況をとりまとめました。ベット数を医療圏ごとに集計した数値です。また、既存(既設・既着工)の物は、ベット数を市町村ごとに集計しました。
療養型病床群の整備目標は医療圏ごとにしか設定されていませんので、市町村ごとの達成率を算出することは出来ません。
基準日は以下の通りです。
整備目標:平成12年3月31日。
高齢化率の数値:平成9年10月1日。
整備の実績、達成率:平成11年2月28日。

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介護保険を考える - 茨城県の療養型病床群の整備状況

茨城県の療養型病床群の整備状況(市町村別)

茨城県内の療養型病床群の整備状況をとりまとめました。ベット数を医療圏ごとに集計した数値です。また、既存(既設・既着工)の物は、ベット数を市町村ごとに集計しました。
療養型病床群の整備目標は医療圏ごとにしか設定されていませんので、市町村ごとの達成率を算出することは出来ません。
基準日は以下の通りです。
整備目標:平成12年3月31日。
高齢化率の数値:平成9年10月1日。
整備の実績、達成率:平成11年2月28日。

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少人数学級を考えよう - 中教審の答申

990418small

今後の地方教育行政の在り方について
(中央教育審議会答申)


〈目 次〉

はじめに

第1章 教育行政における国、都道府県及び市町村の役割分担の在り方について
 1 現行制度の概要と課題
 2 国の役割及び国と地方公共団体との関係の見直し
 3 都道府県の役割及び都道府県と市町村との関係の見直し
 4 国及び都道府県の行う指導、助言、援助等の在り方の見直し
 5 国、都道府県、市町村、学校等の間の情報網の整備

第2章 教育委員会制度の在り方について
 1 現行制度の概要と課題
 2 教育委員の選任の在り方等の見直し
 3 教育長の任命承認制度の廃止と適材確保方策
 4 市町村教育委員会の事務処理体制の充実
 5 地域住民の意向の積極的な把握・反映と教育行政への参画・協力

第3章 学校の自主性・自律性の確立について
 1 現行制度の概要と課題
 2 教育委員会と学校の関係の見直しと学校裁量権限の拡大
 3 校長・教頭への適材の確保と教職員の資質向上
 4 学校運営組織の見直し
 5 学校の事務・業務の効率化
 6 地域住民の学校運営への参画

第4章 地域の教育機能の向上と地域コミュニティの育成及び地域振興に教育委員会
   の果たすべき役割について
 1 現行制度の概要と課題
 2 地域の教育機能の向上
 3 地域コミュニティの育成と地域振興
 4 教育委員会と首長部局、関係機関・団体等との関係
 5 学校以外の教育機関の運営の在り方

はじめに


1 本審議会は、平成9年9月、文部大臣から「今後の地方教育行政の在り方について」諮問を受けた。
 同年10月には「地方教育行政に関する小委員会」を設置し、関係団体からのヒアリング、国民からの提言の公募、「一日中教審」の開催、教育委員会の現地調査等を実施しつつ審議を重ね、平成10年3月に「中間報告」を文部大臣に提出した。
 その後、「中間報告」に対する関係団体からのヒアリングの実施、「公聴会」の開催などにより、各方面からの意見に耳を傾け、慎重に審議を進め、ここに答申をとりまとめた。

2 戦後の我が国の教育は、教育を重視する国民の理解と協力の下、各学校の教職員、各地域の教育行政担当者など多くの教育関係者のたゆまぬ努力により、量的にも質的にも著しい発展を遂げ、教育の機会均等の実現と全国的な教育水準の向上が図られてきた。
 しかしながら、子どもを取り巻く環境の急激な変化の中で、知識偏重の学力観や受験競争の過熱化、いじめや不登校の問題の深刻化、青少年の非行の増加、家庭や地域の教育力の低下など教育の現状には極めて憂慮すべき状況を生じている。
 このような状況を踏まえ、本審議会においては、平成8年7月に「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(第一次答申)をとりまとめ、今後の教育の在り方の基本的な方向として、子どもたち一人一人の個性を尊重し、[ゆとり]の中で自ら学び、考える力や豊かな人間性などの[生きる力]をはぐくむことが最も重要であるという考え方に基づいて、学校の教育内容の厳選を図り完全学校週5日制を実施すること、家庭や地域社会の教育力の充実を図り、学校、家庭、地域社会の連携を進めること等について提言を行った。
 また、平成9年6月の第二次答申においては、子どもたちにゆとりを取り戻すために高校・大学の入学試験の在り方の改善を図ること、多様な選択のできる学校制度を実現するために中高一貫教育制度を導入することなどを提言している。
 さらに、平成10年6月には、「新しい時代を拓く心を育てるために」(「幼児期からの心の教育の在り方について」(答申))をとりまとめ、心の教育の充実を図るため、家庭におけるしつけの在り方や心を育てる場として学校を見直すことなどについて提言を行ったところである。
 また、教育課程審議会は、平成10年7月、本審議会が示した基本的な考え方を踏まえて、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」(答申)をとりまとめ、教育内容の厳選と基礎・基本の徹底、「総合的な学習の時間」の創設など教育課程の基準の改善について提言するとともに、各学校が創意工夫を生かし、特色ある教育、特色ある学校づくりを進める必要があることを指摘している。

3 このような提言等を踏まえて、現在、心の教育の充実、個性を伸ばし多様な選択ができる学校制度の実現などの視点から教育改革が進められているが、教育改革の成否は、各学校と各地域が教育改革の理念と目標を踏まえて、実際にどのような取組を行うかにかかっている。すなわち、すべての学校がその特色を生かして、創意工夫を凝らした教育活動を展開するとともに、地域全体として、子育てを支援し子どもの成長を支えていくような取組を展開することが不可欠である。

4 このため、本審議会としては、学校と地域の在り方、それを支える教育委員会の在り方に焦点を当て、次のような観点から、その改善方策をとりまとめた。

(1)学校については、子どもの個性を伸ばし豊かな心をはぐくむため、学校の自主性・自律性を確立し、自らの判断で学校づくりに取り組むことができるよう学校及び教育行政に関する制度とその運用を見直すことが必要であること。

(2)各地域においては、地域内の学校や関係機関・団体等が連携し、保護者や地域住民の協力を得て子どもの生活と行動の環境を整備し、子どもが様々な体験を重ねることのできるよう学校、関係機関・団体及び家庭の相互の連携協力を促進することが必要であること。

(3)このような学校づくり、地域づくりを実現するためには、それぞれの地域の教育委員会が主体的かつ積極的に行政施策を展開することができるよう、教育委員会に関する制度を見直し、その機能を整備することが不可欠であり、併せて、学校や地域の活動、さらにはそれを支える教育行政に地域住民や保護者が積極的に参画するシステムを導入することが必要であること。 

(4)各地方公共団体が主体的に施策を実施し、各学校が自主的に教育活動を行うことは、同時に教育委員会や学校がより大きな責任を負うこととなることを明確にする必要があること。

5 また、我が国の教育行政においては、国の定める制度の基本的な枠組みの下で、国、都道府県、市町村が連携協力して、教育の機会均等とその水準の維持向上が図られているが、現在、行政分野の各般にわたって、地方分権、規制緩和等の基本的な方針の下に行政改革が進められており、既に本年5月には地方分権推進計画が閣議決定され、6月には中央省庁等改革基本法が成立している。
 今回の審議に当たっては、これらの行政改革、地方分権の観点を十分に考慮し、国の果たすべき役割を明確にした上で、例えば、これまで細部にわたって指導等を行っていた文部省の行政の在り方を見直すとともに、国や都道府県の市町村や学校に対する関与を必要最小限度のものとするなど、各地域や学校における主体的かつ積極的な活動を促進する観点から地方教育行政制度の在り方について見直しを行い、新たな国、地方公共団体と学校との連携協力体制の在り方を示すこととした。

6 以上のような基本的な考え方に基づき、本審議会の目指した改革の方向は次のとおりである。

(1)各学校の自主性・自律性の確立と自らの責任と判断による創意工夫を凝らした特色ある学校づくりの実現のためには、人事や予算、教育課程の編成に関する学校の裁量権限を拡大するなどの改革が必要である。また、学校の自主性・自律性を確立するためには、それに対応した学校の運営体制と責任の明確化が必要である。このため、校長をはじめとする教職員一人一人が、その持てる能力を最大限に発揮し、組織的、一体的に教育課題に取り組める体制をつくることが必要であり、このような観点から学校運営組織を見直すことが必要である。
 さらに、公立学校が地域の専門的教育機関として、保護者や地域住民の信頼を確保していくためには、学校が保護者や地域社会に対してより一層開かれたものとなることが必要であり、地域の実態に応じて「学校評議員制度」を導入するなど、学校運営に地域住民の参画を求めるなどの改革が必要である。

(2)地方教育行政制度の中核をなす教育委員会は、教育行政の中立性や継続性を確保する観点から、首長から独立した合議制の機関として設置され、当該地方公共団体の設置する学校の管理運営に当たるとともに、生涯学習、社会教育、文化、スポーツ等の幅広い分野における施策を展開している。
 教育行政においては、学校教育や社会教育における中立性を確保するとともに、住民の自由な発想と多様な価値観を尊重しつつ、生涯学習、文化、スポーツ等の振興を図ることが求められる。このため、教育・学術・芸術文化・スポーツ・経済・福祉等の様々な分野について知識・経験を有する教育委員がそれぞれの識見に基づき、合議によって基本方針や重要事項を決定する教育委員会制度を今後とも維持しつつ、教育行政における地方分権の観点も踏まえ、地方公共団体が責任をもって特色ある教育行政を展開していくことができるよう、教育委員会に関する制度及び運用を見直し、その機能を充実していくことが必要である。
 特に、教育委員会において中核的役割を果たす教育長については、地方公共団体が自らの責任において適材を確保するよう、文部大臣や都道府県教育委員会による教育長の任命承認制度を廃止して地方公共団体の議会による同意制を導入すること、教育委員についてはその数を弾力化し、一層広範な分野から教育委員を選任できるようにするなどの見直しが必要である。
 また、地域住民に密接に関わる身近な行政を担当する教育委員会が住民のニーズに対応した施策を積極的に推進していくためには、教育委員会が住民の意向を的確に把握、反映するよう努めるとともに、教育行政に積極的に地域住民の参画・協力を求めることが必要である。

(3)子どもの[生きる力]をはぐくむためには、学校や教育委員会について以上のような改革を進めるとともに、学校と家庭及び地域社会が連携して、心豊かな人間づくりの観点から、子どもの教育に積極的に取り組むことが必要である。もとより家庭は、基本的生活習慣のしつけなど子どもの教育において基本的な役割を果たしており、また、社会教育団体、社会教育施設、児童福祉施設等においても子どもを対象とした種々の教育活動が行われている。
 今後、家庭、学校、関係団体・施設等が相互に連携し、地域を挙げて子どもの成長を支援していくためには、専門的な教育行政機関としての教育委員会が中心的な役割を担い、家庭や地域の様々な教育機能を融合していくことが必要である。また、教育委員会自身も、住民に身近な行政機関として、人づくりや地域コミュニティの育成、文化・スポーツ活動等を通じた地域振興など地域に根差した教育行政を総合的に展開し、ますます多様化する住民のニーズに適切に対応していくことが必要である。

(4)さらに、子どもの[生きる力]をはぐくみ、一人一人の個性を生かした教育を目指した改革を実現するためには、各学校や各地方公共団体が、それぞれの地域や子どもの実態に応じて、自ら考え創意工夫を凝らし、主体的かつ積極的に施策の充実に取り組んでいかなければならない。
 このため、教育行政における国、都道府県及び市町村の役割分担を見直し、学校や地方公共団体の裁量の幅を拡大することが必要であり、行政改革や規制緩和の流れも踏まえ、国や都道府県の市町村や学校に対する関与を必要最小限度のものとするとともに、教育課程の基準の大綱化・弾力化、学級編制や教職員配置の弾力化などの見直しを行うことが必要である。
   
7 本審議会は、審議の結果を、i)教育行政における国、都道府県及び市町村の役割分担の在り方について、ii)教育委員会制度の在り方について、iii)学校の自主性・自律性の確立について、iv)地域の教育機能の向上と地域コミュニティの育成及び地域振興に教育委員会の果たすべき役割について、の4章にとりまとめた。
 本答申が取り上げた審議の対象は、教育行政に関する国・都道府県・市町村の関係、そして都道府県や市町村の設置・運営する公立の学校や社会教育施設等に関する教育行政や学校等の運営の在り方に係るものであり、答申の内容には、専門的な事柄も多く含まれている。このため、それぞれの章の冒頭に現行制度の概要と課題を記述するとともに、それに引き続いて、各課題ごとの見直しの方向性を示し、最後にそれに対応した具体的改善方策を枠でくくって提示することとして、本審議会が現状の何を問題とし、何をどのように変えようとしているのかをわかりやすく示すことに努めた。

8 今後、教育改革をより一層積極的に進めていくためには、教育委員会の果たすべき役割がますます重要になることは言うまでもない。各地方公共団体においては、それぞれの地域や学校の特色を生かした主体的な施策を展開していくことが教育改革の成否を左右することを十分認識して、積極的に対応していくことをお願いしたい。なおその際、教育行政を地域の実情や特色に沿って柔軟かつ弾力的に展開するため、先導的・実験的手法の採用、教育行政や学校運営に関する多様な評価手法の導入等にも留意することが必要である。
 また、国においては、特に教育行政における地方分権と学校運営の自主性・自律性の確立を促進する観点から、教職員配置の改善や学級編制の在り方など教育条件の整備充実に十分配慮することを求めたい。

9 21世紀にふさわしい教育を実現していくためには、本答申で示した改革を進め、教育行政や学校の在り方を変え、家庭や地域社会の役割を変化させていくことが不可欠である。そして、このような改革を実効あるものとするためには、教育行政や学校の関係者が積極的に改革に取り組むことが何よりも重要であることはもとより、国民一人一人も、保護者あるいは地域住民として、教育委員会や学校の活動に積極的に参画していくことが極めて重要である。
 国民各位におかれては、このような本答申の趣旨を御理解いただき、本答申に基づく今後の改革への取組みに積極的に参画し、御支援いただくようお願いするものである。


第1章 教育行政における国、都道府県及び市町村の役割分担の在り方について

1 現行制度の概要と課題
(1)地域における教育、文化、スポーツ等の振興を担う教育行政は、地方自治の本旨に基づき地方公共団体により行われることが基本となっている。
 これに対して、国は、教育制度の枠組みの制定や学校設置基準、学習指導要領等の基準の設定、必要な財政援助等を行うことにより、全国的な教育水準の維持向上を図る役割を担っている。戦前、教育に関する事務は国の事務とされ、国の指揮監督の下で行われてきたが、戦後の改革により改められ、地域における教育、文化、スポーツ等の振興は、住民により身近な地方公共団体が実施主体となるべきとの考え方から、現在のような国と地方の基本的な役割分担となったものである。このような役割分担の下で国と都道府県、市町村が連携協力しながら教育の機会均等とその水準の維持向上が図られている。
 国、都道府県、市町村それぞれの役割は次のとおりである。

(国の役割)
ア 基本的な教育制度の枠組みの制定
 (「学校教育法」による学校教育制度の制定、いわゆる「生涯学習振興法」による生涯学習推進体制の整備など)
イ 全国的な基準の設定等
 (高等学校や幼稚園など学校の設置基準の設定、学習指導要領等の教育課程の基準の設定、教員免許の基準の設定、学級編制と教職員定数の標準の設定など)
ウ 地方公共団体における教育条件整備のための支援
 (市町村立小・中学校等の教職員の給与費と校舎の建設等に要する経費に対する国庫負担、私学助成など)
エ 教育に関する事業の適正な実施のための支援措置等
 (教育内容や学校運営等に関する指導・助言・援助、都道府県教育委員会等の教育長の任命承認、教職員の研修の実施・支援など)

(都道府県の役割)
オ 県域にわたる基準の設定
 (市町村立学校の組織編制や教育課程、教材の取扱い等に関する基準の設定など)
カ 広域的な処理が必要な教育事業の実施及び施設等機関の設置・運営等 
 (高等学校等の設置・運営、公立高等学校の通学区域の設定、市町村立小・中学校等の教職員の給与費の負担など)
キ 市町村における教育事業の適正な実施及び施設等機関の適正な設置・運営等のための支援措置等
 (教育内容や学校運営等に関する指導・助言・援助、市町村教育委員会の教育長の任命承認、市町村立学校への指導主事の訪問指導など)

(市町村の役割)
ク 施設等機関の設置・運営
 (学校、図書館、博物館、公民館、体育館等の設置・運営)
ケ 教育に関する事業の実施
 (社会教育に関する各種の学級・講座の開催、文化・スポーツ事業の実施など)

 このような国、都道府県及び市町村の役割分担の下で、例えば、市町村が設置している小・中学校について次のような仕組みがとられている。
 国は、法律に学級編制の標準(いわゆる40人学級)を定め、これに基づき算出された学級数に応じて都道府県ごとに置くべき教職員の数の標準を定めている。さらに法律に定めるところにより算定された教職員定数を基に、その給与費の2分の1を国庫負担している。また、校舎の建設等に要する費用の一部を国庫負担している。
 都道府県は、国の定めた標準に従い小・中学校の学級編制の認可を行うとともに、学級数等に応じて教職員を配置し、その給与を負担している(県費負担教職員制度)。県費負担教職員の採用・異動・退職等の任用は、都道府県教育委員会及び政令指定都市教育委員会が行っているが、その服務監督は市町村教育委員会が行っている。
 市町村は小・中学校を設置する義務を負い、校舎の建設やその維持管理等を行うとともに、学校の教育活動や学校給食などの実施に要する経費を負担している。また、県費負担教職員以外の職員の給与費を負担している。
 このような仕組みによって、国、都道府県、市町村が連携協力して、国全体としての義務教育の円滑な実施を図り、その水準が確保されている。
 また、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地教行法」という。)」第48条第1項の規定により、教育事務の適正な処理を図るため、文部大臣は都道府県・市町村に対して、都道府県教育委員会は市町村に対して「必要な指導、助言又は援助を行うものとする」とされている。

(2)このような現行制度とその実際の運用について、(i)国や都道府県の関与が些末な部分にまで及んでいるものがあり、都道府県や市町村の主体的な施策の展開を妨げている、(ii)現行制度は50年前の都道府県や市町村の行財政能力を踏まえたものであり、その後の行財政能力の向上を反映していない、(iii)情報化や国際化等の社会的変革が進展する中で、国は、これらの変化に対応するための企画立案、専門的な情報発信、先導的な調査研究等の機能を高め、管理や事業の執行に係る事務については他の機関に移していくべきである、などの指摘もなされている。また、(iv)国の定める学級編制の標準について、例えば、学級編制認可の直後に相当数の転入学が予想される際に、あらかじめ40人を下回る学級編制を認めるような場合を除き、都道府県が弾力的に運用することができない、(v)本来教職員の給与費の国庫負担の算定基準である教職員定数の標準が学校ごとに置くべき教職員の数として厳格に運用されているため、学校の規模や地域の状況に応じた弾力的な教職員配置が行われていない、などの指摘もなされている。

(3)このような指摘にこたえ、時代の変化に対応し、教育行政における国と地方の役割を明確にし、特にすべての国民に義務教育を保障し、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るための国の積極的な役割に留意しつつ、国の事務・事業の減量・効率化を図るとともに、一層の地方分権を推進し、地方における教育施策の実施主体である都道府県及び市町村が、その負担と責任を踏まえつつ地域に根差した主体的かつ積極的な教育行政を展開することができるようにするため、「国の役割及び国と地方公共団体との関係の見直し」、「都道府県の役割及び都道府県と市町村との関係の見直し」、「国及び都道府県の行う指導、助言、援助等の在り方の見直し」、「国、都道府県、市町村、学校等の間の情報網の整備」の4つの視点から、これに関連する制度とその運用や事業の在り方について以下のような見直しを行い、改善を図る必要がある。


2 国の役割及び国と地方公共団体との関係の見直し
 教育行政も含め、今後国が重点的に果たすべき役割に関しては、地方分権推進委員会第一次勧告(平成8年12月)において、(i)国際社会における国家としての存立にかかわる事務、(ii)全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動又は地方自治に関する基本的な準則に関する事務、(iii)全国的規模・視点で行われなければならない施策及び事業の3つが示されている。
 現在、教育行政において国が担っている事務として1の(1)で示した 「ア 基本的な教育制度の枠組みの制定」、「イ 全国的な基準の設定等」、「ウ 地方公共団体における教育条件整備のための支援」及び「エ 教育に関する事業の適正な実施のための支援措置等」は、いずれも上記(ii)及び(iii)に該当し、基本的には今後とも国においてその役割を担うべき事務であり、そのことを明確にする必要がある。
 しかしながら、今後とも国が担うべき事務・事業の具体的な内容については、時代の変化に対応して、地方分権を推進し、より地域に根差した主体的かつ積極的な教育行政を展開できるようにする観点から、教育制度の一層の多様化、弾力化や基準の大綱化、弾力化を進めるとともに、都道府県や市町村の負担を軽減するため事務手続の簡素化を図るなど、その内容を見直すことが必要である。また、「中央省庁等改革基本法」第2条において、「国の・・・事務及び事業の運営を簡素かつ効率的なものとする」と規定されている点についても配慮することが必要である。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。


 具体的改善方策

(国の役割の明確化)
ア 「学校教育法」第106条は、学校の設置基準、就学義務の猶予または免除に関する規定、教育課程の基準、校長の資格に係る規定など全国的に統一して定めることが望ましい基準の設定に関する事務の監督庁について「当分の間、これを文部大臣とする」と規定しているが、国の役割を明らかにする観点からこの規定を見直すこと。

(地方分権の推進の観点からの見直し)
イ 教育課程の具体的な基準の設定に当たっては、地方や学校の裁量の幅を大きくして創意工夫を生かした教育課程の編成を推進する観点から、基準の大綱化・弾力化を進めること。
ウ 教育課程の基準以外の全国的な基準・規制等についても、それぞれの基準・規制等の性格、目的に応じて、その見直しを行うこと。
エ 「学校教育法」第106条の規定に基づくものを含め、監督庁による定めの具体的内容について、地域における主体的な取組を推進する観点から、「学校教育法施行規則」等関係省令の見直しを行うこと。
オ 学校の設置者として都道府県等が教育内容に関する研究開発を行うに際して、全国的な教育課程の基準の改善に資すると国が認める場合には、当該基準によることなく、都道府県等が研究課題を定めるなど主体的に実施することができるようにすること。
カ 「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(以下「義務標準法」という。)」に定める学級編制の標準について、国がその給与費を国庫負担する際の基礎となる教職員定数を算定するための基準であるという性格をより明確にして、教育条件の向上を図る観点から特に必要がある場合には、都道府県が「義務標準法」で定める学級編制の標準を下回る人数の学級編制基準を定めることができることとするなど、弾力的な運用ができるよう「義務標準法」について必要な法的整備を図ること。
キ 「義務標準法」及び「公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律(以下「高校標準法」という。)」に定める教職員定数の標準は、国がその給与費を国庫負担し、あるいは地方財政措置する際の基礎となる教職員定数を算定するための基準であるという性格をより明確にして、都道府県が弾力的な教職員配置基準等を定めるなどにより、実際の教職員配置がより弾力的に運用できるようにすること。
ク 小・中学校等において、「義務標準法」で算定された教職員の定数を有効に活用し、多様な教育活動を展開する観点から、地域や学校の実態に応じて、必要がある場合には非常勤講師を配置できるようにするとともに、その報酬についても国が負担できるよう「義務標準法」等を見直すこと。
ケ 市町村等に対する国の補助金等については、国、都道府県、市町村の役割分担の見直しに応じて、真に必要なものとなるよう、教育の在り方や社会経済情勢の変化等に対応して不断に見直しを図るとともに、教育・文化・スポーツに関する種々の施策を総合的かつ効率的に実施する等の観点から、補助金等の統合・メニュー化などの推進を図ること。
コ 市町村等に対する国の補助金等については、関連する補助事業を組み合わせて実施したり、市町村の事業計画等に適切に対応できるよう補助対象事業の範囲や基準等について柔軟に設定するなど工夫を講じるとともに、関連する各種の事業補助金を一括的に申請、採択、交付するような仕組みを工夫すること。 また、その申請手続、添付書類の電子化など事務手続の簡素・合理化を図ること。

(国の事務等の減量・効率化を図る観点からの見直し)
サ 地方公共団体の主体的役割を重視し、国はそれを支援するという観点から、国の教育課程に関する行政は、教育課程の基準の設定とともに、これに基づく各学校の教育課程の実施状況等に関する実証的な調査分析を踏まえた指導・助言等に重点を移すこと。また、これに対応して文部省の業務を基本的なものに精選するとともに、行政改革の観点にも配慮しながら、カリキュラムに関するナショナルセンターの設置について検討すること。同センターでは各学校における様々な取組や実践事例等の調査・分析を通じて、学校教育に対する社会的要請や環境の変化等に対応したカリキュラムの在り方について専門的立場から恒常的に研究を行うとともに、教育課程審議会に実証的な調査資料を提出して施策に随時反映させるほか、教育委員会等からの求めに応じて、教科内容や教育方法などに関する専門的立場から効果的な助言や支援を行うものとすること。
シ いじめや校内暴力、不登校などの生徒指導行政に係る業務についても、上記サと同様の観点から、文部省の業務を基本的なものに精選するとともに、行政改革の観点にも配慮しながら、生徒指導研究に関するセンターの設置について検討すること。同センターでは児童生徒の問題行動等に関する様々な情報や各学校、教育委員会、地域における取組について調査分析することにより生徒指導に関する専門的・実践的な研究を不断に行い、施策に反映させるとともに、生徒指導に関してより専門的立場から効果的な助言や支援を行うものとすること。
ス 国による指導資料の作成については、いじめなど問題行動等への対応や道徳教育、情報教育、環境教育など国としての取組が不可欠なものに限定すること。また、国による研究指定校についても、国としての取組が不可欠なものに限定し、指定する学校数の削減を図るとともに、指定した学校における研究の一層の充実を図り、その成果については上記サ及びシのセンター等を通じて積極的な活用を図ること。
セ 教職員に対する研修は任命権者が主体的に実施することが基本であり、教職員研修における国の役割は、任命権者が行う研修について必要な助言や援助を行うことをより重視していくこと。また、国が直接行う研修は、各都道府県等での教育内容・方法等に関する研究や研修において中心的役割を果たすような教員等を対象とする研修や、学校教育に係る喫緊の課題を中心とした内容の研修に限定するなど精選すること。
ソ 現在、小・中学校の教職員定数の標準は、各都道府県ごとに総数を定めるとともに、教員、養護教員、学校栄養職員、学校事務職員の各職種ごとに標準定数を定めている。その際の国及び都道府県双方の関連事務の効率化等の観点から、「義務標準法」第6条等について必要な見直しを行うこと。
タ 国の行う調査統計は重複を避け、学校基本調査など真に必要なものに精選するとともに、各種の業務調査について廃止又は整理を進めること。


3 都道府県の役割及び都道府県と市町村との関係の見直し
 現在、都道府県の役割は、「地方自治法」上、「広域にわたるもの、統一的な処理を必要とするもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及び一般の市町村が処理することが不適当であると認められる程度の規模のものを処理するものとする」と規定されているが、地方分権推進委員会第二次勧告(平成9年7月)等を受け、そのうち、「統一的な処理を必要とするもの」が見直され、都道府県の担う役割は、「広域にわたるものの処理」、「一般の市町村を超える規模及び能力が必要とされるものの処理」、「市町村に関する連絡調整に関するものの処理」の3つに再編成される予定である。
 上記1(1)で示した教育行政において都道府県が担っている役割のうち、「カ 広域的な処理が必要な教育事業の実施及び施設等機関の設置・運営等」及び「キ 市町村における教育事業の適正な実施及び施設等機関の適正な設置・運営等のための支援措置等」については、上記の再編成される事務に該当するものであり、基本的には今後とも都道府県においてその役割を担うべきものと考えられるが、「オ 県域にわたる基準の設定」の事務については、再編成される事務のいずれにも直接該当しない。また、上記カ及びキの事務の具体的内容については、地方分権を推進し、市町村において、より地域に根差した教育行政を主体的かつ積極的に展開できるよう、見直しが必要である。
 なお、その際、特に、地方分権推進委員会第四次勧告(平成9年10月)における、「事務処理に必要とされる専門的知識・技術を備えた組織を整備することが可能と思われる市町村から、人口規模に応じて段階的に権限を委譲することも必要」との指摘も踏まえ、人口規模に応じた権限の委譲の検討を行うことが必要である。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。



 具体的改善方策

(すべての市町村に係るもの)
ア 都道府県教育委員会が、県内の教育水準の維持向上を図る観点から市町村立学校の組織編制等に関する基準を設定できるとしている「地教行法」第49条の規定を、廃止の方向で見直すこと。
イ 市町村立小・中学校等の学級編制について都道府県教育委員会の認可を必要とすることとしていることについて、地方分権推進委員会第二次勧告をも踏まえ、市町村教育委員会の主体的判断を尊重する観点から、上記2の具体的改善方策カの学級編制の標準の弾力化に係る措置と併せて、「義務標準法」第5条の規定に基づく認可制を事前協議制に改めるか、あるいは届出制に改める方向で見直すこと。
ウ 都道府県教育委員会の市町村教育委員会に対する指導等の窓口となっている教育事務所等の役割について、その機能を中核市等の一定規模の市以外の市町村に対する支援に重点を移す方向で見直すこと。

(高等学校を設置する市町村に係るもの) 
エ 公立高等学校の設置は都道府県が行うものとしている「高校標準法」第3条の規定を、住民により身近な行政サービスを担う市町村が、その行財政能力に応じて積極的な役割を果たすことができるよう見直すこと。
オ 都道府県教育委員会は市町村立学校を含めて公立高等学校の通学区域を設定できるとしている「地教行法」第50条の規定を、都道府県教育委員会による調整の必要性に配慮しつつ、高等学校を設置する市町村の主体的判断を尊重する観点から見直すこと。

(政令指定都市又は中核市に係るもの)
カ 高等学校及び幼稚園の設置廃止等について都道府県教育委員会の認可を必要としている「学校教育法」第4条の規定について、政令指定都市及び中核市の設置する高等学校、幼稚園については、その行財政能力に対応して、届出制に改めるなどの方向で見直すこと。
キ 中核市教育委員会については、指導主事等の専門的職員を比較的多く配置するなど、事務処理体制が充実している状況に対応して、教職員の研修等に関する権限委譲を図るため、「地教行法」の関係規定の整備を行うこと。 


4 国及び都道府県の行う指導、助言、援助等の在り方の見直し
 「地教行法」第48条の規定に基づき、国は都道府県又は市町村に対して、また、都道府県は市町村に対して、指導、助言、援助を行うものとするとされている。これは戦後の地方教育行政制度が地方自治の一環として行われることを踏まえたものである。すなわち、教育行政は、戦前、国の事務としてその指揮監督を通じて行われていたが、戦後、地方公共団体が主体となって執行されることとなった。その際、各地方で行われる教育は全体として国の教育を構成することから、教育の機会均等、教育水準の維持向上を図るため、地方自治の本旨を踏まえつつ、法的拘束力のない指導等を通して都道府県及び市町村における教育事務の適正な処理を確保しようとしたものである。
 これらの指導等は、その相手方である地方公共団体の判断を法律上拘束するものではないが、教育水準の維持向上を図り、あるいは、学校の管理運営の適正を確保するとの観点からその運用が強めに行われてきたこと、また、国、地方公共団体の関係者において指導等の趣旨、在り方についての認識が十分でなかったことなどから、あたかも法的拘束力があるかのような受け止め方もなされてきた。さらに、指導等に従っていた方が不都合が少ないなどの意識も見受けられ、これらがあいまって、特段の判断を加えられることなく指導等がそのまま受け入れられてきた面があることも否定できない。
 教育行政が対象としている生涯学習、学校教育、社会教育、文化、スポーツ等の振興を図るためには、指揮監督による権力的な作用よりは、非権力的な作用によって自主的・主体的活動を促進することが重要であり、指導等は、国、都道府県、市町村が連携協力して教育行政を展開していく上で極めて重要な役割を果たしている。従来、指導等は、(i)都道府県や市町村に対する法令の解釈や国の制度・施策の趣旨の伝達、(ii)教育内容・方法に関する専門的・技術的な事項の解説・説明、(iii)教育行政の執行や学校の管理運営の適正の確保に関する要請等を主に行われてきた。今後、都道府県及び市町村の主体性をより一層尊重する観点に立った見直しを行う必要がある。すなわち、(i)については、都道府県及び市町村等の判断を過度に制約することのないようにすること、(ii)については、5で触れるような実証研究の成果や内外の情報の収集・提供などの支援的な機能を重視していくこと、(iii)については、「教育基本法」や「学校教育法」等の法令に違背する教育行政の執行や学校の管理運営の是正に重点を置いて行われることが必要である。
 なお、地方分権推進委員会第二次勧告において、国と地方公共団体との関係が地方自治の本旨を基本とする対等・協力の関係に立つことを踏まえ、地方公共団体の求めがあった場合には、趣旨及び内容を記載した書面を交付することなど行政運営における公正の確保と透明性の向上を図る観点からの見直しが打ち出されており、国の行う指導等についても、この趣旨に沿って適切な対応を図る必要がある。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。


 具体的改善方策


(指導等に係る法律上の規定の見直し)  
ア 「文部大臣は都道府県又は市町村に対し、・・・必要な指導、助言又は援助を行うものとする」とし、指導等を文部大臣に義務付けている「地教行法」第48条の規定について、義務付けを廃止し、必要に応じて指導等を行うことができるとする方向で見直すこと。
イ 指導、助言、援助の規定の見直しに併せて、措置要求制度に関して規定している「地教行法」第52条の規定について、「地方自治法」における是正措置要求制度の見直しに合わせ、その要件・手続き等を見直すこと。

(指導通知等の見直し)
ウ 国が都道府県及び市町村等に発出するいわゆる指導通知等について、その在り方、内容を見直し、指導通知等の発出は国としての施策の遂行上真に必要なものに限定すること。また、過去に発出された指導通知等について、法令に基づくことなく一定の制約や義務を課しているものについてはこれを見直すとともに、事務の簡素・合理化の観点から類似のものを統合すること。
エ 都道府県においても、市町村に対する指導通知等について、上記ウと同様の方向で見直しに努めること。

(指導等についての認識や意識の変革)
オ 教育関係者において、指導等の意義、法的性格、形態等について、研修等を通じて適切な理解や認識を深め、指導等に関する意識の変革を図るよう努めること。

(情報の提供等の重視) 
カ 指導等に当たっては、国や都道府県における教育内容・方法等に関する実証的な研究の成果や内外の情報の提供等の役割を重視していくこととし、これに必要な国及び都道府県の研究研修機関の調査研究機能及び情報提供機能を充実すること。また、これに関連し、都道府県ごとの状況に応じた施策を推進する観点から、都道府県と国立教員養成大学・学部との連携協力の充実方策について検討を行うこと。


5 国、都道府県、市町村、学校等の間の情報網の整備
 国及び都道府県教育委員会が指導等を適切かつ効果的に行うためには、今後、教育及び教育行政等に関する実証的研究の成果や内外の情報を収集し、適切な情報提供を行うことがますます重要となってくるものと考えられる。都道府県、市町村のニーズに応じて効果的に指導等を行うとともに、都道府県教育委員会や市町村教育委員会による学校、社会教育施設等に対する支援機能の充実を図るためには、教育分野における全国的な情報網を速やかに整備することが必要である。
 以上のような観点から、これに関連する事業の在り方について以下のように見直し、改善を図る必要がある。


 具体的改善方策

ア インターネットや衛星通信等を活用して、国、都道府県、市町村、学校、社会教育施設等を相互に結ぶ情報網を整備し、情報伝達の迅速化・同報化を図ること。
イ 国、都道府県、市町村、学校、社会教育施設等の間の情報網の整備等に関連して、当該情報網を利用して、学校教育、社会教育、文化、スポーツなどの行政施策や学校等における教育内容・方法・形態に関する各種の実証研究の成果、学校や社会教育施設などの運営の改善に資する情報など広範な教育関連情報をデータベースとして蓄積し、これを検索・利用できるような全国的な教育に関する総合情報システムを構築するとともに、そのような総合情報システムによる情報提供事業や情報教育において中心的な役割を果たす教職員の研修など研修事業等の充実を図ること。
ウ 全国的な教育総合情報システムの開発及び運用、情報提供、研修事業を行う全国レベルのセンターとして、国立教育会館を再編整備すること。
エ 都道府県等においては、市町村教育委員会や学校、図書館、公民館等の教育施設等を相互に結ぶ情報網の整備等に際して、教育センター等が情報網の中核的な役割を果たし、学校等における教育活動を支援することができるよう、その充実に努めること。


第2章 教育委員会制度の在り方について

1 現行制度の概要と課題
(1)都道府県及び市町村は、住民の福祉の増進を目的として、住民の安全、健康、福祉の保持、治山治水など様々な公共的な事務を行っており、その多くは選挙で選ばれた知事、市町村長が担当しているが、政治的中立性が求められたり、専門的な対応を求められる教育や人事などの事務については、知事、市町村長とは別個の執行機関が行政委員会等(選挙管理委員会、人事委員会など)として設置されている。
 教育委員会は、このような執行機関の一つであり、議会の同意を得て首長が任命する5人の教育委員から構成される合議制の行政委員会として設置され、「地教行法」第23条に規定される職務権限を管理執行している。その職務権限は、(i)その所管する学校の設置管理に関する事務、(ii)教育用財産の管理に関する事務、(iii)学齢児童生徒の就学等に関する事務、(iv)青少年教育・公民館の事業等の社会教育に関する事務、(v)体育・スポーツに関する事務、(vi)文化財の保護に関する事務、(vii)ユネスコ活動に関する事務、(viii)その他当該地方公共団体の区域内における教育に関する事務など極めて広範にわたっている。
 教育委員会には、その指揮監督の下に教育委員会のすべての事務をつかさどる教育長が置かれている。また、具体的な事務を処理するために事務局が設置され、事務職員、技術職員が置かれている。このほか、都道府県や政令指定都市の教育委員会をはじめ多くの市町村教育委員会には専門的な事務に従事する指導主事や社会教育主事等が置かれている。それとともに、都道府県教育委員会には、市町村教育委員会に対する指導等や県費負担教職員の人事事務等を行うため、一定の地域ごとに教育事務所等が置かれている。
 教育長は、他の行政委員会の事務局長とは異なって、教育委員会の会議に出席して教育行政の専門家としての立場から助言を行うとともに、そこで決定された方針を具体的に執行する職務と責任を担う特別の地位を有している。このような教育長の特別な地位に鑑み、その選任手続を慎重なものとし、適材を確保しようとする観点から、教育委員会が教育長を任命するに当たっては、「地教行法」第16条の規定により、都道府県・政令指定都市教育委員会の教育長については文部大臣の承認が、市町村教育委員会の教育長については都道府県教育委員会の承認が必要とされている。

(2)このような現行制度とその運用については、(i)教育委員会会議では議決を必要とする案件の形式的な審議等に終始することが多く、様々な教育課題についての対応方針等について十分な話し合いや検討が行われていない、(ii)教育委員の選任についてより民意を反映するための工夫や方策が必要である、との指摘がある。また、(iii)教育長の任命承認制度は地方分権を推進する観点から廃止し、地方公共団体自らの責任で適任者を選ぶことができるよう改めるべきである、(iv)教育長の選任が地方公共団体内部の人事異動の一環として行われ、教育や教育行政について必ずしも十分な経験を有しない者が任用される場合がある、(v)事務局体制が弱体であり専門的職員が不足している、(vi)地域の特色や実態に応じた独自の施策の展開に乏しい、(vii)施策の企画・立案や実施に当たって地域住民への情報提供やその意向の把握・反映が十分でない、などの指摘もなされている。

(3)このような指摘にこたえ、地域における教育施策の実施主体である教育委員会が教育、文化、スポーツ等の幅広い分野においてますます多様化する地域住民の要望に的確に対応し、きめ細かな教育行政を主体的かつ積極的に展開できるようにするため、「教育委員の選任の在り方等の見直し」、「教育長の任命承認制度の廃止と適材確保方策」、「市町村教育委員会の事務処理体制の充実」、「地域住民の意向の積極的な把握・反映と教育行政への参画・協力」の4つの視点から、これに関連する制度とその運用や事業の在り方について以下のような見直しを行い、改善を図る必要がある。


2 教育委員の選任の在り方等の見直し
 教育委員会は、当該地方公共団体の設置する学校の管理運営に当たるとともに、生涯学習、社会教育、文化、スポーツ等の幅広い分野における事務を執行している。教育委員会の基本方針や重要事項の決定を行う教育委員には、それぞれの幅広い知識・経験を生かすとともに地域住民の多様な意向を教育行政に反映することが求められている。
 地方公共団体の執行機関である行政委員会の委員の選任は、一般的には、議会の同意を得て首長が任命することとするか、又は選挙により選出することとするのが通例である。
 教育委員については、教育委員会制度が発足した昭和23年から昭和31年までは教育委員の選任に公選制が採用されていたが、選挙活動から生じる政治的確執が教育委員会の運営にそのまま持ち込まれるおそれが多分にあったことなどから、公選制を廃止し、首長による任命制が導入された。このような経緯等にも鑑みると、今後とも首長が議会の同意を得て任命する制度とすることが適当である。
 しかしながら、教育委員会の所掌事務が学校教育にとどまらず生涯学習、社会教育、文化、スポーツ等幅広い分野にわたっている中で、教育委員の構成が教職出身者中心になっている教育委員会もあるなどの状況を改善し、地域住民の教育行政に対する関心・要望が多様化しているという状況を考慮して、幅広い分野の人材から教育委員が構成されるようにすることが必要である。また、教育委員の数については、都道府県、市町村ともに現行と同様その数を原則5人とするが、教育委員会の担う事務は生涯学習、学校教育、社会教育、文化、スポーツ等の幅広い範囲に及んでいること、また地域を支える人材の育成を通して地域経済・地域社会の振興に密接にかかわっていること等を踏まえ、執行機関としての性格に配慮しつつ、より幅広い分野から人材を選考できるよう見直しが必要である。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図ることが必要である。


 具体的改善方策

(教育委員の選任の在り方)
ア 教育委員の構成分野(例えば、教育分野、芸術文化分野、スポーツ分野、経済分野等)をより広範にする観点、学識経験者等の意見・推薦等を取り入れる観点、教育委員の選任の基準や理由、経過等を地域住民に明らかにする観点などから、首長が教育委員を選考し、また議会に同意を求めるに際して、様々な工夫を講じること。

(教育委員の数の弾力化等)
イ 現行制度において、町村については条例で定めるところにより教育委員会を3人の教育委員で組織できることとされているが、より広範な分野から教育委員を選任できるようにするため、「地教行法」第3条の規定を見直し、都道府県及び市については、条例で定めるところにより、例えば7人の教育委員で教育委員会を組織できることとするなど弾力化を図ること。
ウ 教育委員の処遇については、役割の重要性に見合ったものとなるようにすること。

(教育委員への情報提供等)
エ 新たに教育委員の職に就いた者を対象に、国や地方公共団体の教育施策の状況等について情報提供したり、研究協議を行う機会を提供することに努めること。


3 教育長の任命承認制度の廃止と適材確保方策
 教育委員会においてその権限に属するすべての事務を執行する職務と責任を担い中核的役割を果たす教育長には、これにふさわしい資質能力が必要であり、政治的に中立で、教育に関し専門的識見を持ち、教育行政に練達した人材を確保することが必要である。教育長の任命承認制度は、国、都道府県、市町村が連携協力し、相互に責任を持って教育長に適材を確保する観点から設けられたものである。しかしながら、今後、各教育委員会が、地域の状況に応じて、主体的かつ積極的に教育行政を展開していくためには、地方公共団体が自己の責任において教育長に適材を確保するシステムを導入することが求められる。
 このため、地方分権推進委員会第一次勧告も踏まえ、地方公共団体の人事について国又は都道府県が外部から関与することを改め、地方公共団体の責任において適任者を選任する観点から任命承認制度を廃止することが適当である。
 この場合、地方公共団体の内部における教育長選任手続をより慎重なものとすることが、教育長への適材確保の上で必要と考えられる。また、今後、ますます多様化する教育行政上の課題に適切に対応し、主体的かつ積極的に施策を展開していくに際して、教育長が直接議会から信任を得ることが、そのリーダーシップを高める上でも、住民に対する責任を明らかにする上でも、極めて効果的であると考えられる。このため、現行制度において市町村の教育長が教育委員として選任される際にあらかじめ議会の同意を得ていることも踏まえ、教育長の任命に際し、副知事・助役、出納長・収入役と同様に議会の同意を得ることとすることが適当である。
 なお、議会同意に伴い、教育長について任期制が導入され,計画的、長期的視野に立った教育行政の展開が可能となり、また、特別職として位置付けられることとなる。
 また、現行制度においては、政令指定都市を除く市町村教育委員会の教育長は教育委員の中から選ばれ、教育委員を兼ねることとされているが、(i)教育委員以外から広く適任者を教育長に求めることができないこと、(ii)意思決定を行う教育委員会の委員という立場と教育委員会の指揮監督の下で事務執行を行う教育長としての立場が混在し、その責任や役割が必ずしも明確ではないことなどの指摘がある。このため、都道府県教育委員会と同様に、教育委員との兼任を改めて、教育長の職務に専念できるようにすることが適当である。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。


 具体的改善方策

(教育長の任命承認制度の廃止と議会同意の導入)
ア 「地教行法」第16条の規定を見直し、教育長の任命承認制度を廃止するとともに、幅広く人材を確保するため、都道府県及び市町村の教育委員会の教育長の任命に際し、議会による同意を必要とすること。

(教育長にふさわしい人材の育成・確保)
イ 地方公共団体においては、専門的知識と行政的手腕を有する教育長にふさわしい人材を、教育委員会内外から幅広く確保することができるよう、教員や職員の人事異動において中長期的な視点に立った計画的人事を行うなど地方公共団体内部における人材育成方策にも配慮すること。
ウ 教育長の処遇について、人材の確保と職務と責任の重要性に見合ったものとなるようにする観点から、その改善を図ること。

(市町村教育委員会の教育長と教育委員との兼任の見直し)
エ 市町村教育委員会の教育長について、教育委員との兼任を改めて、教育長の職務に専念できるよう「地教行法」第16条第3項の規定を見直すこと。

(教育長への情報提供等)
オ 新たに教育長の職に就いた者等を対象に、国や地方の教育政策の状況等について情報を提供したり、研究協議を行う機会の確保に努めること。


4 市町村教育委員会の事務処理体制の充実
 教育における地方分権を推進するとともに、個性豊かな子どもの育成を目指す教育改革を推進するためには、住民に身近な教育行政を担う市町村教育委員会の果たすべき役割は一層増大すると考えられる。しかしながら、現在の行財政事情等を勘案すると、すべての市町村が単独で事務処理体制の充実を図ることには限界がある。このため、今後、市町村教育委員会の規模の拡大と機能の充実を図る観点から、広域連合や教育委員会の共同設置による事務処理の広域化や共同処理の促進、専門的職員の充実、事務や権限の委託などを促進する必要がある。また、そのような観点からも、市町村の自主的合併が期待される。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。



 具体的改善方策

(事務処理の広域化を促進するための方策)
ア 広域連合や事務組合に置かれる教育委員会、共同設置教育委員会に対して、充て指導主事の配置や社会教育主事の派遣などの支援に努めること。
イ 都道府県と市町村によって構成される広域連合に教育委員会を設置できるよう、「地教行法」第2条の規定を見直すこと。

(専門的職員の充実と地域の多様な人材の活用)
ウ 地域住民の多様な要望にこたえてきめ細かい行政を展開するため、市町村教育委員会の指導主事や社会教育主事等の専門的職員の充実に努めること。
エ 教育委員会の機能の充実に資するため、例えば、特別に配置する教員等を本務の遂行に留意して活用することにより、勤務校以外の学校の教育課程の編成や教育内容・方法等に関する専門的事項の指導を委嘱したり、非常勤職員の活用を図るなどの工夫を講じること。また、平成13年度から高齢者再雇用制度を実施する方向で準備が進められていることを踏まえ、豊かな経験を有する退職教職員を活用する方策について検討を進めること。

(小規模な市町村教育委員会における事務処理体制の在り方の見直し)
オ 市町村の規模や状況に応じて、物品の購入や施設の修繕、契約の締結などの事務をその所管する学校に委託するなどの工夫を講じること。
カ 市町村の規模や状況に応じて、所管する学校の教育内容・方法に関する指導など専門的事務を都道府県の教育事務所や隣接する市などに委託するなどの工夫を講じること。


5 地域住民の意向の積極的な把握・反映と教育行政への参画・協力
 生涯学習、学校教育、社会教育、文化、スポーツ等の幅広い分野において、ますます多様化する地域住民の要望に的確にこたえる行政を展開するためには、教育行政にその意向を把握・反映する方策や地域住民の教育行政への参画・協力を促進する方策について一層の努力が必要である。
 このためには、教育委員会が教育行政に関する説明責任の意義や重要性を十分に認識して、地域住民に対して幅広く積極的な情報提供を行うとともに、地域住民の教育行政に対する意見や苦情に積極的に対応することが強く求められる。
 また、教育施策の実施に当たって、学校、家庭、地域社会の適切な役割分担の下に、地域住民と連携協力し、地域活力の導入を促進することが必要である。その際、地域社会における教育の充実について関係者の参加意識を高め、保護者や地域住民が行政や他人任せではなく、自分たちの問題としてこれに取り組む契機として、中央教育審議会第一次答申(平成8年7月)においてその設置を提言している地域教育連絡協議会や地域教育活性化センターの積極的な活用に関し、施策の充実に努めることが必要である。
 以上のような観点から、これに関連する施策等について以下のように見直し、改善を図ることが必要である。


 具体的改善方策

(地域住民の意向の把握・反映)
ア 教育委員が地域住民などと直接意見交換を行う公聴会などの場の積極的な設定に努めること。また、教育モニター、教育アドバイザー等の積極的な活用や教育委員会独自の苦情処理窓口の設置の推進に努めること。
イ 小・中学校の通学区域の設定や就学する学校の指定等に当たっては、学校選択の機会を拡大していく観点から、保護者や地域住民の意向に十分配慮し、教育の機会均等に留意しつつ地域の実情に即した弾力的運用に努めること。

(地域住民の教育行政への参画の促進)
ウ 教育委員会は、学校教育についての方針や、学校の適正配置、学級編制などについて、地域住民に対する積極的な情報提供を図ること。また、所管する各学校における教育目標や教育活動等についても、積極的な情報提供に努めること。さらに、生涯学習、社会教育、文化、スポーツ等の分野についての方針や事業の実施状況等についても、積極的な情報提供に努めること。
エ 教育委員会会議の公開・傍聴を推進するとともに、積極的な広報に努めること。
オ 特に住民の関心が高い事項について、説明会や意見交換会を開催するなどの工夫を講じること。その際、多くの住民が参加しやすいよう、時間帯や場所の設定にも十分配慮すること。

(地域住民の教育行政への協力の促進)
カ 学校、社会教育施設や教育委員会などが行う事業に積極的にボランティアを受け入れる体制を整えるとともに、ボランティアコーディネーターの養成、配置に努めること。
キ 教職員や専門的職員の採用選考や研修等に際して、積極的に地域の有識者や企業等の協力を得るよう努めること。
ク 総合型地域スポーツクラブに見られるように、教育委員会の行う地域に密着した事業の実施と関係する施設の運営を一体化し、これに地域住民が参画するような仕組みの設定や、このような地域住民の取組の推進に努めること。


第3章 学校の自主性・自律性の確立について

1 現行制度の概要と課題
(1)地方公共団体が設置する小・中学校等の学校は、公の施設として法令に基づき教育活動を行う専門的教育機関であり、「地教行法」第32条の規定により当該地方公共団体の教育委員会が所管することとされている。
 学校と教育委員会との関係は、「地教行法」第33条第1項の規定により教育委員会が制定する学校管理規則で定めることとされているが、「地教行法」、「学校教育法」、「学校保健法」、「学習指導要領」等の法令等により直接定められている場合もある。すなわち、教育委員会は、学校の管理運営に関する事務をすべて直接執行するのではなく、学校管理規則を定めて、学校の判断により処理する事務と教育委員会の判断により処理する事務とを区別し、具体的、日常的な学校運営は校長に委ねている。また、教育課程の編成や子どもの健康診断の実施のように、法令の規定により直接校長の権限とされている事務もある。これにより、学校が教育機関として一定の主体性を保持しつつ、最終的には教育委員会が学校の管理運営の責任を負う仕組みとなっている。
 学校においては、「学校教育法」第28条の規定により、校長、教頭、教諭、養護教諭、事務職員等の職員が置かれ、校長は、学校運営の責任者として、校務をつかさどり、所属職員を監督するものとされている。
 学校が組織として一体的に教育活動を展開できるよう校務分掌が定められ、教職員が学級担任、教科担任あるいは○○係等の校務を分担するとともに、校務分掌に係る連絡調整・指導助言を行う教務主任、学年主任、生徒指導主事等の主任が置かれている。
 教員については、「教育職員免許法」に基づいて免許状を所有しなければならないとされ、また、「教育公務員特例法」により、「絶えず研究と修養に努めなければならない」とされており、任命権者等により採用後1年間の初任者研修をはじめとして経験年数や教科等の専門性、職務等に応じた研修が実施され、資質の向上が図られている。
 校長及び教頭については、教諭の免許状を有し、かつ5年以上の教育に関する職の経験を有することなどの任用資格が定められ、教育委員会が選考試験などを実施して任用が行われている。

(2)しかしながら、教育委員会と学校との関係については、教育委員会の関与が必要以上に強過ぎて学校の主体的活動を制約している一方で、学校が危機に陥った際に学校任せにするなど緊急の事態の場合の学校に対する支援体制が十分ではないとの指摘がある。また、学校運営等に関わる現行制度やその実際の運用の在り方については、校長を補佐する学校の運営体制が十分ではなく、校長の権限と責任に基づく適正な学校運営が行われない場合があるとの指摘があるほか、次のような指摘がなされている。すなわち、(i)校長の在職期間が短いことから校長が自らの教育方針に基づいて学校運営に手腕を発揮することが困難となっているとともに、教職員の意欲と取組を引き出すリーダーシップが欠けている場合がある、(ii)校長と教頭の選任がいわゆる順送り人事になっており、資質と意欲を持った若手教員や学校外の人材を積極的に任用することが必要である、(iii)全体として横並び意識が強く個性や特色ある学校づくりへの取組が不十分であることなどから、公立学校が全体として没個性的になっている、(iv)学校内での意思形成過程と職務執行過程が不透明で責任の所在が明らかでないことや、学校が地域の教育機関であるという認識が教職員に徹底していないことなどから、保護者や住民から十分信頼されていない、(v)学校が外部に対してとかく閉鎖的であり、家庭や地域との連携が十分でない、などの指摘がなされている。

(3)このような指摘にこたえ、公立学校が地域の教育機関として、家庭や地域の要請に応じ、できる限り各学校の判断によって自主的・自律的に特色ある学校教育活動を展開できるようにするため、「教育委員会と学校の関係の見直しと学校裁量権限の拡大」、「校長・教頭への適材の確保と教職員の資質向上」、「学校運営組織の見直し」、「学校の事務・業務の効率化」、「地域住民の学校運営への参画」の5つの視点から、これに関連する制度とその運用や事業の在り方について以下のような見直しを行い、改善を図る必要がある。
 なお、中央教育審議会においては、第一次答申で「今後、教員配置の改善を進めるに当たっては、当面、教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準に近づけることを目指して改善を行うこと」との提言を行っているところであり、学校の教育機能をより高めていくためには、国はこのような教職員配置の改善や学級編制の在り方など教育条件の整備充実に十分配慮する必要がある。


2 教育委員会と学校の関係の見直しと学校裁量権限の拡大
 子どもの個性を伸ばし、地域に開かれた特色ある学校づくりを実現するためには、上記1の(1)で述べたような教育委員会と学校との基本的な関係を踏まえて、校長が、自らの教育理念や教育方針に基づき、各学校において地域の状況等に応じて、特色ある教育課程を編成するなど自主的・自律的な学校運営を行うことが必要である。
 「学校教育法」第28条は、「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する」と定め、校長の教育活動をはじめとする校務運営上の権限と責任を明らかにしている。教育委員会と学校との関係を定めている学校管理規則は、このことを前提として、学校の組織編制や教育課程、教材の取扱い等学校の管理運営に関する基本的事項について定めている。しかしながら、実際の学校管理規則においては、許可・承認・届け出・報告等について詳細に教育委員会の関与を規定し、学校の自主性を制約しているものが少なくない。
 このような学校管理規則について、学校予算の編成と執行などに関する事項も含め教育委員会と学校との基本的権限関係全体を明らかにするとともに、教育委員会の関与を整理縮小し、学校の裁量権限を拡大する観点から、学校管理規則の在り方についてその運用を含め幅広く見直すことが必要である。
 なお、各市町村の学校管理規則は、都道府県教育長協議会のモデル案及び各都道府県教育委員会の定めた準則に沿っているため、その内容は法令等に定められている事項も含めて全国的に画一的なものとなっており、今後、地域や学校の特性等に応じた学校管理規則の制定が可能となるよう、都道府県教育委員会や市町村教育委員会などの関係団体において工夫を講じることが求められる。
 それとともに、このような学校管理規則に基づき適切な学校運営が図られるよう、教育委員会事務局職員も含め教育関係職員に対して、学校管理規則の意義及び法的性格について、研修等を通じて理解や認識を深め、意識の変革を図ることにも配慮する必要がある。
 また、教育委員会は、学校の管理権者として、法令の規定に基づき指示・命令を通じて学校における適正な事務処理の確保を図るとともに、教育内容・方法等に関する専門的事項については、主として法律上の強制力のない指導・助言を通じて学校の教育活動を支援する仕組みとなっている。学校が教育委員会の指示・命令に基づいて行った行為については、指示・命令を発した教育委員会が責任を負うべきであるが、指導・助言については、これを受けてどのような決定を行うかは、校長の主体的判断に委ねられているものであり、それに伴う責任は第一義的には校長が負うべきものである。しかしながら、指示・命令と指導・助言の実際の運用に当たっては、教育委員会の担当者等と校長、教員、事務職員等との間でその区別が必ずしも明確にされないまま行われているため、当該指示・命令と指導・助言に基づく行為の責任の所在が不明確になっている場合があり、両者を明確に区別して運用する必要がある。
 教職員人事については、学校間の異動が停滞し、学校ごとの教職員構成が偏ったものとなっていたことなど人事のひずみを解消するため、年齢構成、経験年数、同一校勤務年数等に配慮した人事異動基準を設けるなどにより、計画的な人事異動が行われてきた。しかしながら、今後、校長が自らの教育理念や教育方針に基づいて教育活動を展開することを推進するため、教職員の人事異動に関する校長の意見ができる限り採り入れられるよう、人事異動基準やその運用について見直しを図る必要がある。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。


 具体的改善方策

(学校管理規則の見直し)
ア 地域の状況や学校の種類、目的等に応じた内容の学校管理規則を制定する方向で見直すこと。その際、許可・承認・届け出・報告事項について、例えば、宿泊を要する学校行事について教育委員会の承認を届け出に改めるなど、学校の自主的判断にまかせ、学校の裁量を拡大する方向で見直しに努めること。
イ 学校の管理運営に係る教育委員会と学校の権限関係について、法令等に定められている事項も含め、学校の管理運営に関する責任を保護者や地域住民に明確にする観点から、学校管理規則において統一的に示すなどの工夫を講じること。
ウ 都道府県教育委員会や市町村教育委員会などの関係団体において、学校管理規則に関し規定すべき事項やその在り方について研究を進めること。なお、その際、都道府県や市町村が定める学校管理規則が画一的にならないよう、事項によっては複数の案からの選択を可能とするなど研究結果の示し方に十分配慮すること。

(学校に対する指示・命令と指導・助言との峻別)
エ 学校の管理運営に関する責任を明確にするとともに学校の主体性を尊重する観点から、適正な事務処理を確保するためすべての学校が必ず従わなければならない指示・命令とそれ以外の指導・助言とを明確に区別して運用すること。

(教職員人事等の在り方の見直し)
オ 校長の教育方針に基づく特色ある教育活動を展開できるよう、「地教行法」第36条及び第39条に基づく意見具申ができる限りとり入れられるよう、人事異動の方法・手続等について工夫を講じること。
カ 教員の産前・産後休暇や育児休業期間中の代替教員、一年以内の期間を限って採用される教員など通常の採用試験によらずに任用される教員、あるいは社会人を活用するための特別非常勤講師については、その具体的な人選を委ねたり、複数名の候補者を提示して意見を求めるなど、できる限り校長に実質的な責任を持たせるよう工夫を講じること。
キ 教員の採用選考に際し、非常勤講師等としての経験を有する受験者については、その者の勤務状況等に関する当該勤務校での評価を参考資料とするなど、校長の意見が反映されるよう工夫を行うこと。
ク 校長が、自らの教育理念や教育方針に基づき、選択教科の幅広い設定、ティームティーチングや少人数指導など柔軟な指導方法・形態の採用など多様な教育活動を円滑に実施できるようにする観点から、地域内の小学校、中学校、高等学校の間で、教職員を兼務させることなどの工夫を講じること。

(学校予算の在り方の見直し)
ケ 学校関係予算の編成に際して、ヒアリングを実施したり要望する予算の内容を一定の書式で各学校から提出させるなど、学校の意向が反映される予算措置がなされるよう工夫を講じること。
コ 個性や特色ある学校づくりを推進できるよう、地方公共団体において校長の裁量によって執行できる予算を措置するなどの工夫を講じること。
サ 一定金額までの予算の執行については、校長限りの権限で行えるようにするなど財務会計処理上の工夫を講じること。

(教育委員会の支援機能の拡大)
シ 学校に緊急の事態が生じ、保護者や地域住民に対する説明、関係機関との連絡調整、マスコミへの対応等が必要な場合には、教育委員会が直接対応するなどの支援を行うとともに、学校に教育委員会の責任者を派遣する等の方法により学校を積極的に支援するよう努めること。
ス 学校事故の事後の対応や訴訟が提起された場合の対応など、法律の規定に従い専門的な対応が求められる事項や、子どもの安全管理や保健衛生、施設管理など専門的な知識に基づく対応が必要な事項に関して、学校を支援する体制の整備に努めること。


3 校長・教頭への適材の確保と教職員の資質向上
 学校において個性や特色ある教育活動を展開するためには、校長及びそれを補佐する教頭に、教育に関する理念や識見を有し、地域や学校の状況・課題を的確に把握しながら、リーダーシップを発揮するとともに、教職員の意欲を引き出し、関係機関等との連携・折衝を適切に行い、組織的、機動的な学校運営を行うことができる資質を持つ優れた人材を確保することが重要である。このため、教育に関する職に就いている経験や組織運営に関する経験、能力に着目して、幅広く人材を確保する観点から、任用資格と選考の在り方を見直すとともに、校長が自らの教育理念に基づいて、特色ある教育活動を展開することを促進する観点から、在職期間の長期化や若手教職員の中からの積極的な任用に取り組むなど校長、教頭の人事の在り方を見直すことが必要である。併せて、教職員の人事の在り方についても、今後教職員が意欲的に地域に根差した学校づくりに取り組むことを促進するとともに、「総合的な学習の時間」の導入や選択教科の拡大など、教育課程審議会答申(平成10年7月)において示された新しい教育課程の考え方に基づいて多様な教育活動を円滑に推進する観点から、見直しを図る必要がある。
 また、教職員の資質向上と意識改革を図ることが重要である。すなわち、地域や子どもの状況を踏まえた創意工夫を凝らした教育活動を展開していくには、校長、教頭のリーダーシップに加えて、教職員一人一人が、学校の教育方針やその目標を十分に理解して、それぞれの専門性を最大限に発揮するとともに一致協力して学校運営に積極的に参加していくことが求められている。このことは生涯学習社会を構築し、学校が地域の専門的教育機関として期待される役割を担うためにも重要である。そのため、今後、教職員が日常の職務の遂行や学校内外の研修への積極的な参加など様々な機会を通じて、学校運営に積極的に参画していく意欲や態度、それに必要な知識を修得することが重要となる。また、子どもを取り巻く状況の変化に対応し、より多様な活動を通じて子どものよさを様々に引き出す教育活動を、専門分野を異にする教職員が一体となって支え、展開していくとともに、学校運営全体を視野に入れた総合的な事務処理を推進することが求められている。このような観点から、教員の研修制度を見直し、研修内容、方法の改善を図るとともに、養護教員、学校事務職員、学校栄養職員などについても、その専門性を高め、学校運営に積極的に参画していく意欲や態度を培う観点から、それらの教職員に対する研修の充実が必要である。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。
 なお、学校の自主性・自律性を高め、学校の裁量権限と責任がこれまで以上に大きくなることに対応して、校長や教頭に適材を確保し、責任をもって学校運営に当たってもらうためには、校長及び教頭について、管理職手当を含めその職務と責任に相応する処遇の改善を図る必要がある。
 また、教員についても、優れた人材を確保し、研修等を通じてその専門性を一層深め、資質の向上を効果的に図っていくためには、教職自体を魅力あるものにするとともに、教員が自らその資質能力を継続的に向上させようとする意欲を喚起しなければならない。そのような観点から、その職務と責任に見合った処遇の改善を図る必要がある。


 具体的改善方策

(校長・教頭の任用資格の見直し)
ア 「学校教育法施行規則」第8条に定める校長の資格については、同条の規定を改め、「教諭の免許状を所有し、かつ教育に関する職に5年以上勤務した経験を有すること」に加え、10年以上教育に関する職に就いた経験がある者については、教諭の免許状を所有しなくても校長に任用できることとするとともに、特に必要がある場合には、都道府県教育委員会等がこれと同等の資質・経験を有すると認める者についても校長に任用できるものとすること。
イ 「学校教育法施行規則」第10条に定める教頭の資格については、「学校教育法」第28条第4項に「教頭は、校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる。」と規定されていることを踏まえ、教諭の免許状の所有要件の取扱いについて検討すること。
ウ 「学校教育法施行規則」第8条に定める教育に関する職の範囲について、新たに、学校栄養職員、実習助手、児童自立支援施設以外の児童福祉施設において教育を担当する者の職や専修学校において教育を担当する者の職を含めるなど、その範囲を拡大すること。

(校長・教頭の選考と人事の在り方等の見直し)
エ 校長の選考に当たっては、教育や法令に関する知識等に偏った筆記試験を行わない方向で見直すとともに、教頭の選考についても、そのような筆記試験の比重を縮減するなど、より人物・識見を重視する観点から改善を図ること。
オ 校長、教頭としてふさわしい資質と意欲をもった若手教職員や学校外の人材を積極的に任用するため、年功序列にとらわれない新たな評価方法や任用方法を研究開発し、人事の在り方を見直すこと。
カ 校長が自らの教育理念に基づいて、特色ある教育活動を推進できるようにするため、校長の在職期間の長期化を図るなど人事異動の在り方を見直すこと。
キ 学校運営の複雑化・多様化に対応し、校長を補佐できるよう、学校の規模や地域の状況に応じて、教頭の複数配置を推進すること。
ク 校長、教頭の学校運営に関する資質能力を養成する観点から、例えば、企業経営や組織体における経営者に求められる専門知識や教養を身に付けるとともに、学校事務を含め総合的なマネジメント能力を高めることができるよう、研修の内容・方法を見直すこと。

(教職員の人事の在り方の見直し)
ケ 教職員の人事について、地域や学校の実態に応じ、計画的な人事行政が行われるよう採用や異動、校長、教頭への任用等の人事異動の方針や基準について、絶えず適切な見直しを図ること。
コ 教職員の帰属意識を高め意欲的に学校づくりに参画することができるよう、様々な学校や地域での勤務を重ねることによる職能成長の重要性にも十分配慮しつつ、例えば、当該教職員が比較的長期間勤務したり、繰り返して勤務するような拠点的な勤務校という考え方を採り入れるなどの工夫を講じること。

(教職員の研修の見直しと研修休業制度の創設)
サ 中堅教員の研修について、将来の校長、教頭としての人材を育成する観点から上記クと同様に研修の見直しを行うとともに、教職以外の経験を豊富にするため、社会教育施設等での勤務体験や長期社会体験研修の充実を図ること。
シ 国内外における大学院での学修や研究機関等での研修、ボランティア活動への参加などについて、休業扱いとすることにより、教員が教職以外の幅広い活動を通じて自発的にその資質向上を図ることを可能とする研修休業制度の創設について検討すること。
ス 養護教員、学校事務職員、学校栄養職員等の研修について、これらの職員の専門性を高め、学校運営への積極的な参画を促す観点から、研修内容を見直し、その充実に努めること。

(適格性を欠く教員等への対応)
セ 子どもとの信頼関係を築くことができないなど教員としての適格性を欠く者や精神上の疾患等により教壇に立つことがふさわしくない者が子どもの指導に当たることのないよう適切な人事上の措置をとるとともに、他の教員に過重な負担がかかることのないよう非常勤講師を任用するなど学校に対する支援措置を講じるよう努めること。また、教員としての適格性を欠く者については、教育委員会において、継続的に観察、指導、研修を行う体制を整えるとともに、必要に応じて「地方公務員法」第28条に定める分限制度の的確な運用に努めること。


4 学校運営組織の見直し
 学校運営は、校長を中心としてすべての教職員がその職務と責任を十分に自覚し、一致協力して行われることが必要である。生きる力をはぐくむ教育の推進や心の教育の充実が大きな課題となる中で、学校は、個性や特色ある教育活動を展開するとともに、今まで以上に家庭や地域社会と連携協力し、地域に開かれた学校運営を推進することが求められている。
 このため、学校運営が校長の教育方針の下に円滑かつ機動的に行われ、その透明性を確保し、保護者や地域住民に対して学校運営に係る責任の所在を明らかにするとともに、家庭や地域社会との連携を強化する観点から、校務分掌、各種の会議、委員会など校内組織及びその運営の在り方について見直しを図ることが必要である。
 校務分掌については、各学校において、(i)教職員一人一人の専門性を生かして、その能力を最大限発揮させること、(ii)学校が地域の信頼を確保し、特色ある教育活動を展開するために、明確な教育方針の下に組織的、一体的な教育活動を展開すること、(iii)今日の学校が抱える様々な課題に対して地域や子どもの状況に応じて柔軟に対応すること、さらに、(iv)学校の裁量権限の拡大に対応して、学校の管理運営の一層の適正を確保することなどの観点から、学級担任、教科担任をはじめとして様々な校務を分担する組織体制を整備し、効果的かつ効率的な学校運営を行う必要がある。
 主任制は、このような趣旨から導入されたものであるが、その導入に際して、従来、各地域、各学校ごとに置かれ機能してきた様々な主任等を一律に法令上の制度として導入したことなどもあって、教職員団体等の強い反対運動があり、その後も主任手当の拠出運動などを伴って主任制に反対する運動が長い間継続されてきたことなどから、多くの学校で定着するまでにかなりの時間を要した。
 主任制は、現在では概ね定着し、多くの学校において本来の役割を果たしているが、(i)依然として一部の地域においては適切な運用が行われず、主任制が形骸化している例もみられる、(ii)「学校教育法施行規則」に規定する主任の種類やその設置の在り方が一律のものとなっており、高等学校における総合学科の導入や中等教育学校の創設、中・高等学校の選択履修の幅の拡大など学校教育の個性化・多様化の進展や、いじめや不登校の深刻化、子どもの数の減少に伴う学校の小規模化など学校教育をめぐる状況の変化に十分対応することができなくなってきている、などの問題点が指摘されている。
 このような問題点や指摘を踏まえ、主任制については、地域に開かれた特色ある学校づくりの推進など教育上の課題に対応し、校長の学校運営を支えることができるよう、法令上の位置付けを含めて、その在り方を見直す必要がある。
 職員会議については、校長を中心に教職員が一致協力して学校の教育活動を展開するため、学校運営に関する校長の方針や様々な教育課題への対応方策についての共通理解を深めるとともに、子どもの状況等について担当する学年・学級・教科を超えて情報交換を行うなど、教職員間の意思疎通を図る上で、重要な意義を有するものであり、学校には職員会議が置かれるのが通例となっている。
 しかしながら、学校運営における職員会議の位置付け及び運営の在り方等については、法令上の根拠が明確でなく、学校管理規則における位置付けも都道府県、市町村によって異なるほか、次のような指摘がなされている。すなわち、(i)その運営等をめぐる校長と教職員の間の意見や考え方の相違から、職員会議の本来の機能が発揮されてない場合もあること、(ii)職員会議があたかも学校の意思決定権を有するような運営がなされ、校長がその職責を十分に果たせない場合もあること、(iii)校長のリーダーシップが乏しい、職員会議が形式化して学校全体で他の学年や学級、教科などに係る問題を話し合うような雰囲気が乏しい、あるいは、運営が非効率であるなどの運営上の問題点が指摘されている。このため、職員会議の法令上の位置付けも含めて、その意義・役割を明確にし、その運営の適正化を図る必要がある。
 また、学校には、校長、教頭、教務主任など各校務分掌の代表等から構成される企画委員会や運営委員会などが置かれているが、学校によってはそれらが活用されていないなどの運営上の問題点が指摘されている。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。
 なお、教職員全体の処遇の改善を図る観点から、主任等の処遇の在り方についても検討する必要がある。


 具体的改善方策

(主任制の在り方)
ア 主任制については、学校の裁量権限の拡大に対応し、その責任体制を明確にするとともに、学校がより自主的・自律的に教育活動を展開し、組織的、機動的な学校運営が行われるようにする観点から、校長を支えるスタッフとして全国共通に置くことが適当なものと、学校の種類や規模、地域の状況等に応じて各学校ごとに置くことが適当なものとを改めて整理し、その在り方を抜本的に検討すること。

(職員会議の在り方)
イ 学校に、設置者の定めるところにより、職員会議を置くことができることとすること。
ウ 職員会議は、校長の職務の円滑な執行に資するため、学校の教育方針、教育目標、教育計画、教育課題への対応方策等に関する教職員間の意思疎通、共通理解の促進、教職員の意見交換などを行うものとすること。
エ 職員会議は、校長が主宰することとし、教員以外の職員も含め、学校の実情に応じて学校のすべての教職員が参加することができるようその運営の在り方を見直すこと。

(企画委員会等の活用)
オ 各学校の実態に応じて企画委員会や運営委員会等を積極的に活用するなど組織的、機動的な学校運営に努めること。


5 学校の事務・業務の効率化
 子どもの数の減少により学校の小規模化が進行しているが、その一方で、「総合的な学習の時間」の導入や選択教科の拡大、あるいは学校予算を各学校の要求や実態に応じて編成するなど、学校裁量権限の拡大に応じて、学校の責任において判断し対応することが必要となる事務・業務が今後増えていくことが予想される。また、校長や教職員が子どもと触れ合う時間をより一層確保することも必要である。このため、国や教育委員会等においては、学校が処理すべき事務・業務に係る負担軽減を図るため、調査統計の対象と方法、教職員の研修や研究指定校等の在り方の見直しを含めて、学校が外部から依頼される様々な事務等の軽減を図るための措置を積極的に講じる必要がある。
 また、地域社会と連携した開かれた学校づくりや地域の活力の学校の教育活動への導入・活用、さらにコンピュータ処理や書類の電子化の推進、校内LANや学校と教育委員会を結ぶ情報網の整備など情報化の進展を踏まえて、従来のような事務・業務をすべて校内で実施、処理することとしてこれに必要な組織を整備するという考え方を見直すことも必要である。
 その際、地域や学校の状況に応じて、それぞれの学校や学校を設置する地方公共団体の教育委員会が、事務・業務の共同実施や教諭以外の専門性を有する者の活用等に積極的に取り組むことが求められる。また、地域の教育行政機関である市町村教育委員会が、市町村立中学校と都道府県立高等学校など設置者が異なる学校についても積極的な連携を推進し、地域における学校が一体となってお互いの教育機能を活用することが大切である。
 さらに、教育委員会と学校の役割分担についても各学校の事務・業務を軽減する観点から見直しが求められる。すなわち、学校の自主的取組に委ねるべきと判断される事務は学校に任せ、教育委員会は各学校ごとの対応では限界がある地域全体の教育課題に対応した施策の推進や先導的な研究や実践事例の提供、学校ごとの教育課題に沿った指導・助言等を重点的に行うなど、その施策や事業の実施の在り方等を工夫することが必要である。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。


 具体的改善方策

(学校事務・業務等に係る負担軽減)
ア 第1章2の具体的改善方策タで述べたように、国の行う調査統計については重複を避け、学校基本調査など真に必要なものに精選するとともに、各種の業務調査について廃止又は整理を進めること。また、都道府県、市町村が実施する調査統計についても精選に努めること。
イ 国、都道府県又は関係機関等による各種の業務の委嘱、照会事務の精選に努めること。特に、学校に対する作文コンクールや絵画コンクール等への参加依頼などのいわゆる持ち込み行事については、教育委員会において、一部の学校に過重な負担がかかることのないよう調整を行うなど、学校の負担軽減に配慮すること。
ウ 授業時間内に実施する研修については、その実施主体である国、教育委員会、民間教育団体等において、可能な限り削減する方向で研修の実施の在り方を見直すこと。
エ 国、都道府県の研究指定校については、国、都道府県において、研究の趣旨・目的を踏まえ、先導的な調査研究を行うものと奨励的なものとを区別するとともに、今後先導的な調査研究に重点を移すなどして、その精選を図ること。
オ 各研究指定校においては、研究授業や発表会の在り方、研究集録のまとめ方等を工夫し、研究の進め方について抜本的な簡素・合理化に努めること。

(学校の事務・業務の共同実施)
カ 地域全体の教育力の向上を図り、多様な教育活動を推進するため、地域内の小学校、中学校、高等学校が共同して学校行事や野外体験活動、部活動などの教育活動を実施するなどの工夫を講じること。
キ 地域の状況や学校の実態に応じて、第3章2の具体的改善方策クで触れた教職員の兼務を積極的に推進することにより、地域内の小学校と中学校、中学校と高等学校など学校間の連携・協力を促進することに努めること。
ク 学校の規模や実態に応じて、学校事務を効率的に執行する観点から、特定の学校に複数の事務職員を集中的に配置して複数校を兼務させることや学校の事務を共同実施するセンター的組織を設置すること等により、学校事務・業務の共同実施を推進するための方策を検討すること。

(専門的人材の活用)
ケ 養護教諭、学校栄養職員、学校事務職員などの職務上の経験や専門的な能力を本務以外の教育活動等に積極的に活用するとともに、学校教育相談や進路相談などの分野において学校内外の専門的知識を有する者を活用し必要に応じて校内の生徒指導組織等との連携を行うなど学校内外の多様な人材を積極的に活用する方策を検討すること。
コ スクールカウンセラーやALT(外国人外国語指導助手)などが本務以外の学校の教育活動にも参画することができるよう、学校の職員として置くことができるようにするなどの工夫を講じること。


6 地域住民の学校運営への参画
 学校が地域住民の信頼にこたえ、家庭や地域が連携協力して教育活動を展開するためには、学校を開かれたものとするとともに、学校の経営責任を明らかにするための取組が必要である。このような観点から、学校の教育目標とそれに基づく具体的教育計画、またその実施状況についての自己評価を、それぞれ、保護者や地域住民に説明することが必要である。
 また、学校・家庭・地域社会が連携協力し、相互補完しつつ一体となって子どもの健やかな成長を図るため、各学校においては、PTA活動の活性化や学校区内の各地域における教育懇談会の開催などにより家庭や地域との連携が図られている。今後、より一層地域に開かれた学校づくりを推進するためには学校が保護者や地域住民の意向を把握し、反映するとともに、その協力を得て学校運営が行われるような仕組みを設けることが必要であり、このような観点から、学校外の有識者等の参加を得て、校長が行う学校運営に関し幅広く意見を聞き、必要に応じ助言を求めるため、地域の実情に応じて学校評議員を設けることができるよう、法令上の位置付けも含めて検討することが必要である。
 また、学校評議員には、学校運営の状況等を地域に周知することなどにより、学校と地域の連携に資することが期待される。


 具体的改善方策

(教育計画等の保護者、地域住民に対する説明)
ア 各学校においては、教育目標や教育計画等を年度当初に保護者や地域住民に説明するとともに、その達成状況等に関する自己評価を実施し、保護者や地域住民に説明するように努めること。また、自己評価が適切に行われるよう、その方法等について研究を進めること。

(学校評議員の設置)
イ 学校に、設置者の定めるところにより、学校評議員を置くことができることとすること。
ウ 学校評議員は、校長の推薦に基づき教育委員会が委嘱するものとすること。
エ 学校評議員は、校長の求めに応じて、教育活動の実施、学校と地域社会の連携の進め方など、校長の行う学校運営に関して、意見を述べ、助言を行うものとすること。

(学校評議員の構成)
オ 学校評議員については、学校の種類、目的等に応じて、学校区内外の有識者、関係機関・青少年団体等の代表者、保護者など、できる限り幅広い分野から委嘱することが望ましいこと。

(意見交換の機会の設定等)
カ 校長は、必要に応じて、学校評議員が一堂に会して意見を述べ、助言を行い、意見交換をする機会を設けるなど運営上の工夫を講じること。


第4章 地域の教育機能の向上と地域コミュニティの育成及び地域振興に教育委員会の果たすべき役割について

1 現行制度の概要と課題
(1)学校教育、社会教育、文化、スポーツという幅広い分野を所管する教育委員会は、地域における生涯学習の振興に重要な役割を果たしている。地域における生涯学習の振興は、住民の自発性を尊重しつつ、各地域が主体性を発揮しながら進めるべきものであり、生涯学習の視点から人づくり、まちづくりの取組を進める市町村も増えている。
 生涯学習の振興に資する施策は教育委員会のみが行っているものではなく、首長部局においても様々な施策が実施されている。
 生涯学習の振興をより効果的に推進するためには、教育委員会が重要な役割を果たし、首長部局や民間団体との連携を図っていくことが必要となる。このことについては、「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」第3条第1項において、都道府県教育委員会における生涯学習の振興に資する事業を掲げるとともに、同条第2項において「地域において生涯学習に資する事業を行う機関及び団体との連携に努めるものとする」と規定し、知事部局等との連携を求めている。また、市町村については、同法第12条により、関係機関及び関係団体等との連携協力体制の整備について規定している。

(2)しかしながら、(i)教育委員会が地域全体の教育機能向上のために必ずしも十分な役割を果たしていない、(ii)地域コミュニティの拠点としての学校・公民館の活用が十分ではない、(iii)地方公共団体にとって極めて大きな行政課題となっている地域コミュニティの育成や地域振興に必ずしも積極的でなく、十分に寄与していない、(iv)首長部局や民間団体・事業者等との連携が必要である、などの指摘がなされている。

(3)このようなことを踏まえ、「地域の教育機能の向上」、「地域コミュニティの育成と地域振興」、「教育委員会と首長部局、関係機関・団体等との関係」、「学校以外の教育機関の運営の在り方」の4つの視点から、これに関連する制度とその運用や事業の在り方について以下のような見直しを行い、改善を図る必要がある。


2 地域の教育機能の向上
 子どもの生きる力をはぐくむため、地域社会の力を生かすことや家庭教育の在り方を見直すことが求められている。このため、地域が一体となって子育てを支援することや異年齢集団活動など様々な体験活動を充実することを通じて、地域社会を挙げて子どもを心豊かにはぐくんでいく環境を整備していくことが地方教育行政上の極めて重要な課題となっている。
 また、家庭教育については、保護者に対する学習機会の提供などその充実を図るための施策が推進されているが、家庭への支援をより充実していくことが求められている。
 さらに、中央教育審議会第一次答申において述べているように、子どもの育成は学校・家庭・地域社会の連携協力なしにはなし得ず、学校の教育活動を展開するに当たってはこのことを踏まえた工夫が必要である。本審議会が6月に行った「幼児期からの心の教育の在り方について」の答申においても、心の教育の充実を図る上で、社会全体、家庭、地域社会、学校それぞれについてその在り方を見直し、子どもたちの成長を目指して、どのような点に今取り組んでいくべきかということを具体的に提言したが、この提言においても各地方公共団体に対し、家庭、地域社会の教育機能を高めるための施策を積極的に講じていくことを求めている。
 豊かな社会の中で、子どもに適切な勤労観や職業観を育成することが課題となっており、地域の商店、農家、工場や老人ホームなどの社会福祉施設等と連携し、その協力を得て、働くことや社会に奉仕することの喜び、それによって得られる達成感を子どもに体得させることができるような様々な教育活動を展開することが効果的と考えられる。
 中央教育審議会第一次答申においては、従来の学校・家庭・地縁的な地域社会とは異なる「第4の領域」の育成を提唱したが、今後、地域全体の教育力の向上については、従来の学校など関係機関・団体の自発的な連携協力という域を超えて、学校をはじめとする地域の様々な教育機能が協調・融合して、子どもの成長を担うことが求められており、このような地域の教育機能の協調・融合を支援し、促していくことが教育委員会の新たな役割として期待されている。教育委員会においては、このような観点から、生涯学習、社会教育、芸術文化、スポーツ等の事業の企画、実施に際して、学校教育との協調・連携に十分配慮するとともに、学校教育に地域の活力を生かすための様々な工夫を講じることが必要である。なお、その際、首長部局の行う関係施策についても、地域の教育機能の向上の観点から、有機的な関連を持って行われるよう、首長部局との連携協力に努めることが必要である。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。


 具体的改善方策

(地域の教育機能の向上)
ア 教育委員会の行う教育、文化、スポーツに関する種々の施策を学校教育の振興や地域の教育機能の向上の観点から、総合的に実施するよう努めること。
イ 学校など関係機関・団体が連携協力し、その機能の協調・融合を通じて、地域全体の教育力の向上を図る観点から、関係者の共通理解を深めるとともに、例えば、様々な機関・団体により実施される芸術文化やスポーツ、社会教育などの事業・活動に関するコーディネーターを配置するなど教育委員会の企画調整、斡旋等の支援機能を充実するための工夫を講じること。
ウ 地域全体の教育機能の向上のため、例えば、幼稚園を地域の子育て支援の拠点として相談・情報提供機能を付加したり、公民館が当該地域における教育機能の向上に関連する事業・活動に関するコーディネート機能を発揮できるよう職員の資質の向上に取り組むなど、教育機関や文化・スポーツ施設の活用に努めること。なお、保育所や各種の児童施設、コミュニティセンターなどについても同様の観点からの取組が期待される。

(学校・家庭・地域社会の連携の推進)
エ 教育委員会によっては、その設置する文化・体育施設などの管理運営のための公益法人を設立しているところもあるが、地域の協力を得つつ、施設管理以外の積極的な事業展開を図るなどの工夫を講じること。
オ 地域教育連絡協議会の構成員に、第3章6で触れた学校評議員を加えることなどにより、学校区単位での教育行政に対する要望の把握とそれに基づく地域社会とのきめ細かな連携の促進に努めること。
カ 学校の運営組織の在り方に関して、家庭や地域社会との連携を念頭において校務分掌組織を整備するよう努めること。

(家庭教育への支援等)
キ 教育委員会においては、地域社会が一体となって家庭教育を支援する体制を整備していくことが必要であり、特に学校と家庭・地域社会を結ぶ懸け橋となるべきPTAの活動をより一層活性化させるよう努めること。

(学校の教育活動への地域の活力の導入・活用)
ク 開かれた学校づくりを推進し、豊かな教育内容を実現するため、豊富な経験を持った学校外の社会人が教壇に立つことができる特別非常勤講師制度を一層活用する方策について検討すること。
ケ 校長の判断により機動的に学校の教育活動に地域住民の協力を求めることができるよう、教育委員会が学校支援ボランティアを登録・活用する仕組みを導入するなど工夫を講じること。
コ 高校生の在学中の就業体験(インターンシップ)の積極的推進、企業等の施設における学習を高等学校の単位として認定することができる技能連携制度の一層の活用や、平成10年度から導入された学校外における体験的な活動等の高等学校における単位認定制度の積極的な活用など地域の関係機関との連携に努めること。
サ 読書指導の充実のための近隣の図書館の活用や体験的学習の充実のための博物館や美術館の活用、勤労の尊さや社会に奉仕する精神を養うための老人ホームでの奉仕活動など、地域の教育施設や首長部局所管の青少年関係施設、社会福祉施設の機能の活用に努めること。
シ 保護者、地域におけるスポーツ指導者や伝統文化継承者、さらに企業等の専門家などの地域住民の協力を得て、教科指導、道徳教育、特別活動、部活動などの学校の教育活動の多彩な展開に努めること。特に運動部活動の実施に際しては、地域や民間のスポーツクラブの指導者やスポーツ施設を活用するなど工夫を講じること。


3 地域コミュニティの育成と地域振興
 地域住民の学習活動、芸術文化活動、スポーツ活動等を活性化し、住民の地域社会への参加を促していくことは、地域の豊かな人間関係の形成、地域意識の向上に役立ち、生き生きとした地域コミュニティの基盤形成を促進するものである。こうした観点から、既にいくつかの市町村において、生涯学習を中核としたまちづくりの取組が進められ、地域コミュニティの育成や地域振興に大きな役割を果たしているが、このような取組が全国の多くの市町村で展開されていくことが望まれる。
 また、教育委員会が管理運営している教育機関、例えば、学校や公民館は、地域住民に身近な公共の施設であり、地域コミュニティ形成の拠点としての重要な役割を担うことが求められる。特に、住民の日常生活圏に最も身近に存在する学校は、学校教育の実施という本来の機能を前提として、地域住民の生涯学習やコミュニティ活動の拠点としても、その資源を有効に活用していくことが重要である。
 さらに、教育委員会は、地域振興においても重要な役割を担うことが期待されている。すなわち、近年は、文化財や特定分野の芸術文化活動、スポーツ活動が地域のアイデンティティ形成に寄与している例も多く、例えば、重要文化財などの文化遺産を活用してのまちづくりや都市整備が行われたり、地元のプロスポーツチームへの支援を契機として地域を挙げて特色あるスポーツ活動の普及・振興など様々な取組が行われている例があり、このような場合に教育委員会が積極的な役割を果たすことが望まれる。また、様々な芸術鑑賞の機会、スポーツや文化活動、学習活動の機会を選択・享受できることが都市や地域の魅力につながることから、今後の地域の振興においては、公共基盤の整備、産業育成、福祉の充実などと並んで、教育委員会の社会教育、文化、スポーツ施策が重要な役割を担うものと考えられる。このほか、学校教育を通じた人材育成はこれまでも地域振興の基盤を形成してきたが、学校の有する教育機能を社会人の再教育機会の充実のために活用することは、産業構造の変化等に対応した人材育成や地域経済の活性化などにも資するものであり、その充実が期待されている。
 以上のような観点から、これに関連する制度等について以下のように見直し、改善を図る必要がある。


 具体的改善方策

(地域コミュニティの育成と地域振興における教育委員会の役割)
ア 教育、文化、スポーツなど個々の分野の行政課題に対応する施策の充実に加え、広く地域コミュニティの育成、地域振興の観点から、民間の団体・事業者の多様な活動を視野に入れ、首長部局等関係の行政機関とも連携して、総合的な施策の推進に努めること。
イ コミュニティ活動への住民参加を促進するため、住民の持つ知識・技術を地域の学習関連機関や民間団体等の活動に積極的に生かしていくための工夫を講じること。
ウ 従来の手法にとらわれることなく、様々な行財政手法や制度を活用して地域振興に資する事業の積極的な展開に努めること。
エ 国や都道府県は、都道府県・市町村における総合的な施策の展開を支援すること。その際、生涯学習、社会教育、文化、スポーツ等に係る市町村等に対する国の補助事業について、例えば、これらの事業を市町村等が総合的かつ効率的に実施できるような工夫を講じること。
オ 地域住民の教育委員会への期待に適切にこたえ、事業への積極的な参加を得るため、教育委員会関係の事業のみならず、首長部局や他の地方公共団体、民間企業等が実施する事業を幅広く掲載した情報紙の作成など、広報活動の充実に努めること。
カ 産業構造の変化等に対応した人材育成や地域経済の活性化などの観点も踏まえ、学校の持つ様々な機能を公開講座等として提供していくよう努めること。

(地域コミュニティの拠点としての学校等の活用)
キ 学校開放の管理体制の整備、教室・体育館等を活用した住民の交流・学習スペースの整備、学校体育施設の社会体育との共同利用化などの開かれた学校のための基盤整備を進めること。
ク 地域コミュニティの拠点として学校等を活用するため、学校の新増築や学校の統廃合に伴う校舎の設計などに際して、地域住民や学校の意見を参考にし、地域住民による利用が可能となるような施設として建築するなどの工夫を講じること。

(新たな情報手段を用いた地域コミュニティの拠点の整備)
ケ 既存の社会教育施設等の地域コミュニティの拠点としての機能を一層高める観点から、新たな情報手段の活用を図るため、例えば衛星通信の受信システムなど必要な設備・装置の整備を進めるとともに、衛星通信を利用した図書館、公民館等に対する子ども向け番組の提供やテレビ会議システムやインターネット等を融合的に活用した大学等との連携による多様な公開講座・講習の提供などを積極的に促進すること。


4 教育委員会と首長部局、関係機関・団体等との関係
 教育委員会が、地域コミュニティ育成、地域振興に積極的に寄与するためには、教育委員会が行っている施策と首長部局が行っている関連施策とを効果的に連携づけていくことが不可欠である。すなわち、文化やスポーツを含む生涯学習の振興に係る行政の分野をどちらが所管するのかという二者択一的な考え方に立つのではなく、地域住民の立場に立って、教育委員会と首長部局がその機能を効果的に発揮することが必要である。
 また、大学や専修学校は、それぞれ、高度な教育・研究機能や実践的・専門的な教育機能を有する生涯学習機関として、地域住民への施設開放、公開講座等をより積極的に行っていくことが期待されており、教育委員会は、こうした大学、専修学校など地域の高等教育機関等との連携を強め、地域住民のニーズを踏まえた社会人の再教育機会の充実など、地域全体の人づくりの視点に立った施策の推進を図ることが必要である。
 さらに、私立学校については、その自主性・独自性を尊重する観点から、所管については、首長が所管する現行の制度を基本とするが、私立学校も公教育を担う地域の教育機関であることを踏まえ、地域全体として、一人一人の個性を生かした教育の実現を図るため、地域の状況に応じて、教育委員会と私立学校との連携の推進が必要である。また、教育委員会は、公立学校の管理機関であるとともに、地域の教育行政機関として、指導主事を配置し、教育課程等について様々な指導資料や研究資料を作成するとともに、教職員の研修を企画実施するなど種々の専門的機能を有しており、このような専門的機能を、地域の状況に応じて私立学校が利用できるようにすることが必要である。
 このほか、住民の学習活動等の活性化という視点に立ち、民間の企業・団体あるいは個人が行っている活動も視野に入れ、その自主性を尊重しつつ支援するとともに、地域の学習活動を総体として充実していくため、カルチャーセンター、スポーツクラブ等の民間教育事業者の活動が地域における学習活動の基盤の一つであることを十分踏まえ、これらの民間教育事業者と連携した施策を推進することが必要である。


 具体的改善方策

(首長部局との連携の促進)
ア 地域全体の生涯学習を振興する観点から、青少年・女性関連の施策や職業能力開発施策、社会福祉施策、さらには、環境、農政、土木等の行政分野における自然体験学習などの関連施策を行っている首長部局や、郵便局、営林関係機関などと積極的な連携に努めること。
イ 首長部局が行う都市政策や産業政策等の地域振興策について積極的に対応するよう努めること。

(大学等との連携の促進)
ウ 生涯学習を通じた地域振興という視点から、恒常的に大学等との協議の場を設定することなどにより、積極的な連携協力体制を整えるとともに、例えば、公民館などの施設において地域の複数の大学や専修学校による公開講座を定期的に実施するなどの工夫を講じること。
エ 平成10年1月からCS放送による全国放送を開始した放送大学の提供する放送授業を積極的に活用して、住民の学習の高度化を図るよう努めること。

(私立学校との連携の促進)
オ 私立学校に対し、教育委員会が積極的に情報提供を行うよう努めること。
カ 公私教育連絡協議会の活用などにより、私立学校と教育委員会との連携協力に努めること。
キ 教育委員会においては、私立学校との連携推進を通じ、私立学校の経営手法や教育実践を公立学校において活用できるよう努めること。
ク 教育委員会は、地域の実情に応じて、その有している専門的機能を私立学校が利用できるよう工夫を講じること。

(民間の団体・事業者等との連携)
ケ 自治会、町内会、PTA、商店街、各種の団体・サークル等により地域に根ざした多彩な学習活動が行われているが、教育委員会はこれらの活動がより活発となるよう、団体等の活動を高めるきっかけとなるイベント等の機会の充実、学校や公民館等の施設の提供などの取組の積極的な推進に努めること。
コ 例えば、観光協会等の協力を得て文化財の保存と活用を図ったり、あるいは、医療関係者や福祉関係団体の協力を得て、健康づくりや高齢者の生きがいづくり等にも配慮しながら、多様なスポーツ活動の推進に努めること。

(カルチャーセンター等民間教育事業者との連携の促進)
サ 例えば、民間教育事業者との協議の場の設定、民間教育事業者の活動も含めた総合的な学習情報の提供、公民館等における民間教育事業者と連携協力した学習講座の実施などの取組の積極的な推進に努めること。


5 学校以外の教育機関の運営の在り方
 公民館等の社会教育施設、体育・スポーツ施設、文化施設などの学校以外の教育機関の在り方については、その運営も含め、生涯学習審議会、保健体育審議会、文化政策推進会議等において、専門的立場から審議、答申が行われている。
 すなわち、生涯学習審議会では、平成10年9月に「社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について」の答申を行い、規制の廃止・緩和、社会教育施設の運営等の弾力化、社会教育行政における住民参加の推進などについて提言を行っている。
 また、保健体育審議会では、平成9年9月に「生涯にわたる心身の健康の保持増進のための今後の健康に関する教育及びスポーツの振興の在り方について」の答申を行い、地域社会におけるスポーツの充実のための方策等を提言している。
 文化政策推進会議では、平成10年3月に「文化振興マスタープラン」の報告を行い、文化立国の実現に向けての各般の提言を行っている。
 学校以外の教育機関の在り方については、これらの答申等に沿ってその改善の取組が行われるべきものであるが、本審議会としても、地域の教育機能の向上、地域コミュニティの育成、地域振興の観点から、特に以下の点について配慮を求めるものである。


 具体的改善方策

ア 勤労者、高齢者などを含むすべての人が施設を利用しやすいようにするため、例えば、施設の開館日・時間の弾力化、住民に身近な分館の拡充、施設間のネットワークの推進、障害者等に配慮した施設設備の整備などの取組に努めること。
イ 公民館、図書館及び博物館に係る各種の規制や基準等をできるだけ廃止、緩和すること。
ウ 施設運営に関し、一層積極的に住民の参加を求め、住民の意向を的確に把握・反映できる仕組みについて検討していくこと。さらに、スポーツ施設においては、住民や利用者の組織する団体に運営を委ねる例も見られることから、このような取組を推進する方策を検討すること。
エ ボランティア登録システムや研修体制を充実するなどにより、施設の特性や状況に応じたボランティア受入れ体制の整備の積極的な推進に努めること。
オ 例えば、学校の教育活動に沿ったプログラムを開発すること、施設の事業情報を積極的に学校に提供すること、施設やその指導者を学校の部活動や自然体験学習などの教育活動のために活用することなどの取組の充実に努めること。
カ 教育委員会所管の各施設、首長部局等所管の各施設、民間団体等の事業について、例えば、生涯学習の振興の視点から連携協力を進め、学習講座や学習情報の提供を共同で実施するなど工夫を講じること。また、青少年の健全育成という視点から、教育機関と児童館等の福祉施設などが効果的な連携を図るよう努めること。




このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。

少人数学級を考えよう - 総和町T.Tへの私見

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茨城県議会議員 井 手 よしひろ


 義務教育の学級定員は、40人というのが日本の標準であり、法律で規定されている人数です。

 こうした状況の中、茨城県総和町は、中学校の少人数学級を目指した取り組みが行われています。当初、同町の菅谷町長は、28人学級を実現し、新たに必要になる非常勤講師39人を独自に採用し、給与(約1億2000万円)は町が負担する事を発表しました。しかし、法の壁を突破できず、チーム・ティーチング方式で、少人数学級を実現することになりました。

 「学級編成及び教職員定数標準法」に規定する学級編成標準(40人学級)は本来、教職員給与の半額を国庫負担、残りを都道府県が負担する際の基礎となる教職員定数算定基準ですが、認可権を持つ都道府県は厳格にこの標準を適用し、40人までは1学級という措置が、全国で取られてます。

 市町村独自の少人数学級への取り組みとしては、長野県小海町などの例が有名です。小海町では1985年から、1学級40人未満でも分割して2学級を編成してきました。その分の人件費は、全額町が負担しています。98年度は36人、38人の学級を2つに分割する事を県の教育委員会に求めましたが、県教委に拒否され、1学級を複数の教員で指導するチーム・ティーチング方式が採用されました。

 こうした現状を見ると、現行の学級編成は、余りにも杓子定規すぎるように感じられます。教育の機会均等は大切ですが、市町村の裁量での学級定員の変更は、ある程度許されるべきだと思います。現に、98年に発表された中教審の答申でも、この方向性は容認されています。

 アメリカでは、小学校低学年を18人学級にする計画を示し、欧州各国も一学級の人数を減らす方向に動いているところが多いと聞いています。順位を競う教育から個性を尊重する教育への転換を図るうえで、少人数学級の実現は、大きな支えになると思われます。

 中央教育審議会は98年9月、都道府県が学級定員の標準を下回る人数の学級編成を独自にできるようにすること、都道府県による認可制を届け出制などに改めることを求めた具体的改善策を策定しました。また非常勤講師の報酬についても、国が負担できるようにする法改正も提言しています。

 しかし、中教審の提言でも、40人未満の少人数学級が可能になるのは、都道府県単位でのみということです。市町村の独自の判断で少人数学級に取り組みたいという自治体に小人数学級の実現を認めるべきだと考えます。

 市町村長の政策判断で少人数学級など教育条件の改善に予算を重点的に配分する選択はありうるし、こうした試みは本当の意味での地方分権に他ならないと思います。

しかしその財政的負担はあまりに大きすぎます。危機的な状況にある地方自治体にとって、毎年恒常的な出費となる教育費(教師の人件費)に多くの予算をかけることは、慎重な話し合いと、勇気ある決断が必要となります。

 更に、現行制度の中で市町村で採用された教職員と、県が採用する教職員との待遇面や人材育成の体制など、すり合わせをしなくてはならないことが数多くあります。

 教育という失敗が許されない重要な施策であるが故に、その導入には時間をかけた論議が不可欠です。

 総和町の少人数学級への挑戦は大きく評価できると思います。ただ、その実現の経緯を見ると、町の考え方は余りにも思いつきの発想が多すぎるような気がして仕方がありません。

 県教委との何の話し合いもなく、少人数学級の提案が突然行われたのはどうしてでしょうか?なぜ、中学校の少人数教育なのかも、小学校ではいけなかったのでしょうか?その教科も、議会対策だけで二転三転しています。町の教育関係者に確たる教育のビジョンがあったのかとさえ疑いたくなる場面もあります。

 最近、町長系の後援会組織から町内の家庭にチラシが配布されました。そのチラシには、このチームティーチングの提案に、議会で反対した議員の名前が明記されているという異例のチラシです。

 総和町の町長を始め教育関係者の一連の行動が、教育の改革との高邁な理想の追求であったのか、2000年秋に行われる町長選挙へのパフォーマンスであったのか、疑問の声がわき上がっていることも事実です。

 実現の経緯はともかく、教育の現場での成果は大いに注目していきたいと思います。




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少人数学級を考えよう - 茨城県総和町の試み

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茨城県総和町の少人数学級編成への試み

茨城県議会議員 井 手 よしひろ


 茨城県の県西部にある総和町では99年4月より、町立の中学校にチーム・ティーチング方式を導入しました。
 これは、少人数学級への試みとして全国的にも注目されています。
 このページでは、チーム・ティーチング方式導入の経過をまとめてみました。

98年9月29日:28人学級を町長が提案

 茨城県の西部にある総和町の菅谷憲一郎町長は、9月29日、町立中学校の学級定数を現行の40人から28人に減らす方向で検討していることを町議会全員協議会で明らかにしました。

 菅谷町長によると、28人学級は学校関係者からの強い要望を受けて1年前から検討し、文部大臣の諮問機関である中央教育審議会が98年9月「学級編成の基準を都道府県の裁量にゆだねる」ことなどを求める答申を行ったのを受けて町教委に検討を指示した。菅谷町長は「少人数学級は、生徒に目が届きやすく、心身の安定、学力の向上になる。生徒と教師との信頼関係も増す」と説明しました。町教委によると、町立の3中学校で来春、28人学級を導入すると現在の49学級が17増えて66学級になる。これにより教員を26人増員する必要があり、年間約1億3000万円の財政措置を取るとしました。人件費を全額町が負担とするという考えです。余裕教室を利用するため校舎の増築はしないとのことでした。

 そもそも現行の制度では、学級定数は「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律」で40人が標準と定められています。市町村が独自で学級定員を決めることは事実上不可能なのですが、菅谷町長は「法律の40人定員は財政面から決めた数で、町が財政負担するのだから法に触れる根拠はないはず」との見解を示しました。

11月6日:28人学級を断念、T.T方式を検討

 町の教育委員会は、10月上旬に、県教育庁に28人学級の実現に関して相談しました。義務教育課は「現行法では市町村独自に定数を決めることは出来ない」などとして、同町教委に導入断念を指導しました。

 28人学級の実現が不可能となった総和町では、複数担当教諭制チーム・ティーチング方式の採用を検討しました。そして、総和町立の三つの中学校での少人数学級編成について協議していた同町の検討委員会(委員長・菅谷憲一郎町長)は、11月6日までに、実質的に少人数授業が行えるチーム・ティーチング方式を99年4月から導入する方針を決定しました。

 町教委の考え方は、チーム・ティーチング方式は40人学級はそのままにして、授業時だけ学級を二つに分けるか、1学級に教員を2人配置する方法で、実質的に20人以下の少人数授業を実現させる方式を採用するとのものでした。数学、英語、理科、社会の4教科は全授業で完全導入し、国語は一部導入するとされました。

 チーム・ティーチングの導入に伴い、3中学校で39人の教員補充が必要で、町はこの要員を非常勤講師として独自採用することを決めました。給与などの町の負担は年間1億2000万円と試算し、年内にも募集を始める事を公表しました。

12月15日:町議会に条例提案

 こうした考え方を菅谷町長は、12月15日、具体的な条例案としてまとめ、「町教育活動指導員設置条例案」を町議会に提出しました。

 条例案を審議した町議会文教常任委員会では、「町の財政事情は厳しい。四教科でなく、二、三教科で実施すべきだ」とする意見が多く出されました。このため、菅谷町長は議会での条例案可決が難しいとして、実施方針を再検討し提案し直すことにしました。

 菅谷町長は「何としても新年度からチーム・ティーチングをスタートさせたい。町教委の意見も踏まえて、導入する教科と非常勤講師の数を減らした形で実施する方向で、条例案を一月の臨時議会に再提案したい。その後、段階的に増やしていきたい」として、議会最終日の12月25日、「諸般の事情」を理由に提案を撤回しました。

99年1月22日:T.Tの採用教科を4教科から2教科に減らし再提案

 年が明けて99年1月22日、臨時町議会が開かれ、「町教育活動指導員設置条例」が再提案されました。その案によると、チーム・ティーチング方式を導入する教科を四教科から「数学と理科」の二教科に減らしました。

 しかし、議会の審議では「理科より英語を優先すべきではないか」とする町議も多く、議員提案で、導入教科名を明記せずに「二教科」とする修正案が提出され、可決されました。

英語と数学にT.T導入を決定

 このため、町教委は数学とともに、英語と理科のどちらに同方式を導入するかを一月中に決め、これに応じて非常勤教員を募集・採用し、四月から実施することにしました。可決された条例によると、非常勤教員は一日6時間、週30時間の勤務で、報酬は月額24万円とされ、20名を採用する。チーム・ティーチング方式の導入に伴う町の負担は、99年度で年間約7000万円になる予定です。

 町の教育委員会では一月中に導入する教科を「数学」と「英語」の二教科と決め、非常勤教員の募集、採用試験を行いました。その結果、採用が決まったのは数学10人、英語9人の計19人となりました。合格発表後に採用辞退者が出たため、後任が決まるまで数学が1人欠員の状態でスタートすることになりました。

 実際の授業形態は各中学校に任せている方針で、当面、学級はそのままに一つの教室で県採用教員と2人で授業を行う協力型の授業が行われことになりました。今後の状況に応じて学級を分けて少人数授業を行うか検討していくことになりました。

 こうした経緯を経て、総和町のチーム・ティーチングは、99年4月の新学期とともにスタートしました。




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介護保険を考える - 65歳以上の保険料試算(朝日新聞アンケート)

介護保険の1号被保険者・保険料

朝日新聞がアンケートを集計

 朝日新聞社は、全国3255の市区町村を対象にアンケート調査を行い、それぞれが独自に決めることになっている介護保険保険料の見込みや、実施までの課題などをまとめ、99年3月28日に公表しました。

 その結果、65歳以上の高齢者(1号被保険者)から集める保険料の見込み額には、最大で5倍以上の開きが見られることが判明しました。

 都道府県レベルでは、最高金額は北海道の3,994円、最低は茨城県の2,319円、単純平均値は3,039円、統計上の中央値は2,964円となりました。

 厚生省が介護保険法案が審議された当時示してきた試算の「2500円」より、高い水準になる可能性が強いことがわかりました。

 朝日新聞の記事によると、市区町村に、65歳以上の1号被保険者から集める保険料の見込み額を尋ねた結果、46%が「未集計」などを理由に金額を明らかにしませんでしたが、残りの1362自治体が挙げた金額の平均は、月額2,991円に達しました。

 自治体によるばらつきも大きく、最低は1,250円で、最高は7,327円となり、単純に計算すると約5.8倍の格差となりました。2,000円未満の自治体が46あった一方、5,000円以上との回答も31を数えました。

 99年4月現在では、介護報酬が決まっていないため(2000年1月頃決定予定)、正式な保険料は、来年の3月にならないと決まりません。また、保険料は市町村ごとに決定されるため、市町村議会の対策や住民への抵抗感を少なくするため、保険料の試算を少な目に算出したり、回答する傾向も懸念されます。したがって、このアンケート調査結果は、最終的な保険料とかなり違ってくることも考えられます。

 一般的にいって、利用料が高い療養型病床群や特別養護老人ホームなどの施設が多く、入所する高齢者が多い地域は保険料が高く、在宅介護の比重が高い地域は比較的低くなる傾向があります。介護保険のサービスの量が多くれば多いほど保険料は高くなります。 サービスの量や質によって保険料に差が出来るのはやむを得ません。しかし、その格差があまりに開くことは、介護保険の大きな課題となります。

介護保険・1号被保険者の保険料の都道府県別平均額(推計値)
1号被保険者(65歳以上のお年寄り)の一人あたり平均保険料月額

都道府県推計額  都道府県推計額
 北海道3,9941 北海道3,994
 青 森3,2692 高 知3,982
 岩 手2,9243 鹿児島3,881
 宮 城2,5684 香 川3,709
 秋 田3,1205 大 阪3,509
 山 形2,7526 大 分3,504
 福 島2,6137 福 岡3,471
 茨 城2,3198 石 川3,458
 栃 木2,3919 熊 本3,431
 群 馬2,60010 沖 縄3,303
 埼 玉2,71011 宮 崎3,288
 千 葉2,46212 青 森3,269
 東 京3,22413 徳 島3,261
 神奈川2,94514 佐 賀3,232
 新 潟2,72615 東 京3,224
 富 山2,96416 鳥 取3,219
 石 川3,45817 島 根3,219
 福 井3,08818 山 口3,200
 山 梨2,76719 長 崎3,127
 長 野2,93020 秋 田3,120
 岐 阜2,47721 福 井3,088
 静 岡2,96222 和歌山2,992
 愛 知2,50223 愛 媛2,986
 三 重2,80924 富 山2,964
 滋 賀2,83025 静 岡2,962
 京 都2,74926 神奈川2,945
 大 阪3,50927 岡 山2,938
 兵 庫2,90028 長 野2,930
 奈 良2,65329 岩 手2,924
 和歌山2,99230 兵 庫2,900
 鳥 取3,21931 広 島2,893
 島 根3,21932 滋 賀2,830
 岡 山2,93833 三 重2,809
 広 島2,89334 山 梨2,767
 山 口3,20035 山 形2,752
 徳 島3,26136 京 都2,749
 香 川3,70937 新 潟2,726
 愛 媛2,98638 埼 玉2,710
 高 知3,98239 奈 良2,653
 福 岡3,47140 福 島2,613
 佐 賀3,23241 群 馬2,600
 長 崎3,12742 宮 城2,568
 熊 本3,43143 愛 知2,502
 大 分3,50444 岐 阜2,477
 宮 崎3,28845 千 葉2,462
 鹿児島3,88146 栃 木2,391
 沖 縄3,30347 茨 城2,319


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平成11年度県予算の主な事業 井手県議の要望の成果

平成11年度県予算の主な事業
井手県議の要望の成果


事業の名称予  算内    容

民間育児サービス事業補助

600万円



認可外(無認可)保育所が行う入所児童の健康診断経費に対する助成

私立幼稚園預かり保育推進事業補助

8400万円



預かり保育を行う私立幼稚園への補助

休日・延長保育事業補助

1億3200万円



延長保育や休日保育を行う保育所への補助

内原厚生園の移転改築事業

3800万円



老朽化が著しい内原厚生園をコロニーあすなろの敷地内に移転するための基本設計費用

老人性痴呆疾患専門病棟整備補助

3500万円



日立市の永井ひたちの森病院への補助

不法投棄監視体制の強化

4600万円



ボランティア監視員の増員、不法投棄監視班、不法投棄対策室の設置

ダイオキシン類の環境・焼却場調査

1300万円



大気、土壌の環境調査を実施

※河川・湖沼の環境ホルモン実態調査

2000万円



河川、湖沼における水質、低泥の環境ホルモンの実態調査を実施

那珂川とその支流の国直轄などによる改修

73億6500万円



昨年の水害をふまえての那珂川とその支流の改修工事

心の教室相談員の配置

8900万円



心の教室相談員を198校の公立中学校へ配属

子どもホットライン事業

700万円



児童生徒に対する24時間相談体制の整備

県議会議事堂の県立図書館への転用(2001年春開館)

5億6300万円



旧県議会を県立図書館に改装するための実施設計費

カシマサッカースタジアムの改修

44億4400万円



県立カシマサッカースタジアムの改修費用

中小企業資金貸付事業

588億7200万円

(融資枠)



パワーアップ融資枠150億円緊急融資280億円中元・年末融資309億円など

※県北臨海地域の産業活性化のための戦略的研究開発

10300万円


 




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平成11年度茨城県予算編成の概要

平成11年度茨城県予算編成の概要

 1999年度の茨城県の予算は、戦後初めて前年度を下回った「マイナス予算」となりました。

 一般会計は、1兆789億7200万円。98年度当初予算を、約460億円(4.1%)下回り、借金にあたる県債の残高が初めて一般会計額を上回る1兆2538億円まで膨らみました。この県債の金利だけで一日約1億円に上る計算になります。不況の影響を受け、県税収入が98年度当初に比べて10.9%落ち込む中、県単独事業費を15%削減し、国補事業費を前年度並みを維持するなどして、財政健全化と景気対策の両面に配慮した予算編成となっています。

 県は国の景気対策と連動して、一月としては異例の第3次大型補正予算(98年度一般会計に511億円上乗せ)を編成しました。年度替わりでも切れ目なく公共事業を執行することにより景気を下支えする予算編成、いわゆる「15ケ月」予算が組まれました。この「15ケ月予算」で見れば、98年度予算をわずかではあるますが上回ることになりました。

歳入について

 歳入面を見てみると、県税の減収が著しく厳しい台所状況となっています。98年度も約240億円の税収不足になり、99年度も不況で企業の業績が芳しくない上、国の税制改正で法人税率が引き下げらる影響が出るため、県税収入、特に法人二税(法人事業税、法人県民税)は98年度当初に比べて24.8%(約280億円)の大幅減と見込みました。

 県税収入が落ち込む分、国からの地方交付税が22.2%(412億円)増加します。

 貯金にあたる一般財源基金は、338億円が取り崩され、歳入の不足分をカバーします。しかしこれらによって、自由に使える一般財源は1.3%減の約6392億円にとどり、一般財源基金は123億円にまで減少することになりました。

 平成11年度予算構成比平成10年当初増減前年比
県税3,153億円31.50%3,538億円-385億円89.12%
国庫支出金1,753億円16.80%1,791億円-38億円97.88%
地方交付税2,270億円16.50%1,858億円412億円122.17%
県債1,296億円13.70%1,535億円-239億円84.43%
諸収入889億円7.30%820億円69億円108.41%
繰入金414億円6.30%705億円-291億円58.72%
使用料及び手数料219億円1.90%209億円10億円104.78%
分担金及び負担金165億円1.50%172億円-7億円95.93%
地方消費税清算金520億円4.60%521億円-1億円99.81%
地方贈与税32億円0.30%31億円1億円103.23%
その他59億円0.40%50億円9億円118.00%
 10,770億円 11,230億円-460億円95.90%


歳出について

 歳出面では、新県庁舎やつくば国際会議場といった大型の箱物公共事業が終了したのに伴い、一般会計全体で約460億円のマイナス予算となりました。

 県の単独事業費を15%削減し、一般行政費も目標を上回る16%を削減しました。職員の旅費や食糧費、印刷製本なども約8億円を削るなど、内部経費は限界まで削ったともいえます。

 県債残高1兆2538億円は、借金総額が年収を超えたようなもので、金利を加えた返済総額は1兆8000億円に迫まりました。99年度の公債費(県債の返済額)は約1000億円と、歳出全体のほぼ一割を占めます。

 県は昨年三月に策定した行財政改革大綱に従って、2003年度までに教育委員会分を含め約1400人の職員削減を進めています。しかし、人件費は減少するどころか、1.7%増えて約3497億円に達しました。知事部局、教育、警察を含めた退職者が昨年度に比べて約90人多い約3000人の見込みで、退職金の支出が人件費の圧縮にブレーキをかけたかたちになりました。

 これら公債費や人件費などの義務的経費は一般会計歳出の54.5%を占め、98年度より3.2%増加しました。逆に、公共事業などの投資的経費は、4.5%減って26.6%にとどまり、財政の硬直化が急速に進んでいます。

 99年度の新規事業には、いわゆる大規模な「箱物」事業は少なくなっています。県は昨年3月に策定した県行財政改革大綱の中で、総事業費約10億円以上の建築物などについて、30の具体的な事業名をあげて、規模の縮小・計画の先送りを決めています。このうち、新大洗水族館など一部は、経済対策の一環として98年度中に建設に着手しましたが、今回の予算案で先送りなどを解除する事業は一つもありません。

 「時のアセスメント」の観点から、県公共事業再評価委員会が現計画の再検討が必要と提言した緒川ダム計画は、約3000万円を予定していた建設を前提とした測量・調査費の計上を見送り、代わりに、継続か中止かを決めるための再検討経費約2000万円を盛り込んでおり、地元や国と調整を図りながら、6月ごろまでに結論を出す予定にしています。

 こうした大型公共事業を抑制し、私学助成費の増額や無認可保育所への初めての助成、2000年度から始まる介護保険制度への対応、中小企業向け融資枠の拡大など、教育・福祉、不況対策に配慮した点は評価にあたいすると思います。

 平成11年度予算構成比平成10年当初増減前年比備 考
教育費2,973億円27.60%2,930億円43億円101.47% 
土木費1,790億円16.62%1,913億円-123億円93.57%県単事業15%削減
農林水産費1,010億円9.38%1,011億円-1億円99.90% 
公債費1,003億円9.31%962億円41億円104.26%県債の返済に使う予算
総務費464億円4.31%836億円-372億円55.50%新県庁舎の支出減
民生費721億円6.69%719億円2億円100.28% 
警察費592億円5.50%587億円5億円100.85% 
商工費483億円4.48%438億円45億円110.27% 
企画開発費353億円3.28%437億円-84億円80.78%国際会議場予算減
衛生費382億円3.55%373億円9億円102.41% 
諸支出794億円7.37%802億円-8億円99.00% 
その他205億円1.90%222億円-17億円92.34% 
10,770億円11,230億円-460億円95.90% 




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