公明党の神崎武法代表は、2005年5月25日、国会内で記者会見を行い、中国の呉儀副首相が小泉純一郎首相との会談をキャンセルし帰国した問題などについて大要次のような見解を述べました。(2005/5/26公明新聞の記事より引用)
小泉首相の靖国神社参拝問題:神崎公明党代表の見解
●日中、日韓関係は、靖国神社の問題をめぐって悪化している。反日デモが再発する恐れもあり、事態の沈静化のためには、(1)小泉首相が靖国参拝を自粛する(2)A級戦犯を分祀する(3)国立追悼施設を造る――との解決方法しかない。
●当面は、小泉首相が靖国神社に参拝しない、自粛することがこの局面では一番重要だ。中長期的には無宗教の国立追悼施設を造ることが大事だ。
●(首相への参拝自粛の要請について)中国から帰国した冬柴鉄三幹事長から、明確に首相に公明党の考え方を申し上げている。首相は何も言わず、黙って聞いていたということなので、私たちの考え方を聞き入れるように期待している。

 靖国神社の参拝問題が中国による内政干渉であるとの議論もありますが、単純にそういいきれる問題ではないと思います。中国政府は、日本政府を代表する首相・外務大臣などの要人の参拝にこだわっているのであり、一般国民、国会議員の宗教的、道義的な参拝を非難しているものではありません。日中関係の重要さを認識し、小泉首相はことさら中国側を刺激する必要は全くないと思います。
 小泉首相は5月16日の衆院予算委員会で、靖国神社参拝について「どのような追悼の仕方がいいかは他の国が干渉すべきでない。東条英機氏のA級戦犯の話が出るが、『罪を憎んで人を憎まず』は中国の孔子の言葉だ。何ら問題があるとは思っていない」との認識を示しました。また、「いつ行くか、適切に判断する」と、靖国神社に参拝することを前提とした答弁を行いました。
 経済関係や国連常任理事国入りなど重要な課題が山積みとなっている日中関係の中で、やはり慎重な発言が求められるところです。戦没者への追悼の方法は、靖国神社に参拝することだけでないはずで、小泉首相の靖国参拝は自重すべきです。
 そして、究極的には無宗教の国立追悼施設を作ることが必要です。日本の発展は、戦没者の方々の尊い犠牲の上に成り立っているとの認識に、異論がある国民は少ないと思います。そうであるならば、「アメリカのアーリントン墓地やハワイのパンチボールのような無宗教で開放された明るい国立の墓地をつくるべきだ」と思います。現在、千鳥ケ淵には戦没者墓苑があります。これよりも大規模で、戦没者のみならず、例えば、国連のPKOに参加して犠牲となった方、消防活動で亡くなられた消防士、殉職した警察官という人たちもなど、社会や人々のために尊い命を落とされた方々をも併せて追悼できる国立墓地を検討すべきだと思います。
参考:井手よしひろの靖国参拝問題への見解