県警本部長は「知事の発言に公職選挙法に抵触する恐れあり」と発言
 6月8日に開会した茨城県議会の初日に、いきなりハプニングが起きました。
 定刻より10分余り遅れて開会された本会議に、執行部席最前列に座る予定の中林英一県警本部長と幡谷定俊県公安委員長が着席していませんでした。新任の出席説明者の紹介や議会の日程を決めた後、橋本昌県知事の議案提案説明が始まっても、2人は議場に現れず、議会事務局の職員が慌てている様子が見て取れました。
 橋本知事の説明も終盤にさしかかった1時30分頃、中林本部長らが着席しました。
 県議会では、議長から出席を求められる執行部側代表(答弁者)が欠席する場合は、事前に議長に届け出て代理者を出席させるのが通例です。その場合は、議長が開会時に欠席と代理の出席を議員に報告することが慣例となっています。しかし、8日の本会議では、遅刻又は欠席の届けは議長に出されておらず、空席のままの議事の進行に、議場からも不審の声が漏れていました。
 前代未聞の出来事に、石川多聞議長は「事前に届けるよう厳重に注意します」と閉会直前に2人に本会議場で注意しました。
 本会議終了後、中林県警本部長は、マスコミの取材に対して「知事の提案説明の一部に公選法違反に該当する可能性がある部分が認められたので、万が一の場合、立場上、発言の場に居合わせることは不適切であると考え出席を見合わせた」、「知事の提案理由書は午後0時45分ごろ読み、問題個所に気付いた」、「開会直前であったため欠席の届け出の時間がなかった。知事の提案説明の当該部分の発言が終わったころを見計らって出席した」と、本会議に遅刻した理由を説明しました。
 この日の問題には、二つの視点があります。
 一つは、県警本部長らの無断遅刻は、議会の出席要請を無視した行為であり、絶対に許されないと言うことです。県警本部長であっても、議会に出席する、出席しないを恣意的に判断できる立場ではありません。「万が一の場合、立場上、発言の場に居合わせることは不適切であると考え出席を見合わせた」との発言は、この場に同席した県民の代表である県議会議員は、全員不適切な行為を行ったことになるのでしょうか。
 二つの目の視点は、知事の提案説明での発言そのものです。橋本知事は、提案説明の冒頭で、「私は、皆様のご期待に応えるため、幸いにして多数の県民の皆様のご信任を得られるならば、引き続き知事として県政を担当し、300万県民とともに、「元気で住みよい」そして、「人が輝く」茨城を創るために、全力を傾注してまいりたいと考えております。議員各位をはじめ、県民の皆様方の力強いご支援、ご協力を心からお願い申し上げます」と発言しました。この部分が、事前運動に当たる可能性があると県警本部長は判断したものと思われます。それに対して、橋本知事は、「前(二選目・三選目の出馬表明)も同じことを議会で申し上げている。『お願い』や『支援』も県政全般の一般的な意味であり選挙は全く年頭にない」と説明していると報道されています。
 しかし、私は、前2回の発言と今回の発言の違いを明確に認識する必要があると思います。それは、前の2回はいずれも、県議会の代表質問に答える形で表明した立候補の決意だと言うことです。議会で、次の知事選への対応を質問され、その質問に対する答弁として発言したものと、一方的に知事の意志によって立候補の決意を述べるのは、そのシチュエーションは全く違います。こうした状況の違いに対して、慎重に対応する必要があったと思います。
(写真は、6月9日付茨城新聞社会面の記事)
橋本昌知事提案説明要旨
(平成17年6月8日)
 平成17年第2回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告に先立ち、昨日、9月の知事選挙に向けて、出馬表明をいたしましたので、このことをご報告するとともに、併せて、4選に向けての決意とお願いを申し上げたいと存じます。私は知事に就任以来、清潔、連帯、創造の基本理念のもとに、県民の皆様とともに、「元気で住みよいいばらき」の実現をめざし、全力で県政運営に取り組んでまいりました。幸い、県議会をはじめ、県民の皆様のご理解とご支援をいただき、県政を着実に進展させてくることができました。ここに改めて、深く感謝申し上げる次第でございます。
 一方、県政は、今、少子高齢化の急速な進展、極めて厳しい財政事情など困難な状況のもとで、地域間競争の真っ只中にあります。この重要な時期に、政党、団体など多くの皆様から、この秋の知事選挙に向け、ご推薦や励ましのお言葉をいただきました。私にとりまして、身に余る光栄であり、感激にたえません。
 私は、皆様のご期待に応えるため、幸いにして多数の県民の皆様のご信任を得られるならば、引き続き知事として県政を担当し、300万県民とともに、「元気で住みよい」そして、「人が輝く」茨城を創るために、全力を傾注してまいりたいと考えております。議員各位をはじめ、県民の皆様方の力強いご支援、ご協力を心からお願い申し上げます。

平成13年第1回定例会での自民党の代表質問への橋本昌知事の答弁
(平成13年3月5日)
 香取衛議員の御質問にお答えいたします。
 まず、3選を目指す決意についてお尋ねをいただきました。
 私は、知事就任以来、基本的な視点を生活者の視点に置き、県民だれもが日々の生活の中で物の豊かさと心の豊かさをあわせ持つ新しい豊かさを実感できる社会を目指すこと、並びに希望に満ちた茨城を築いていくため輝く未来に向けた努力を続けることを基本的な理念といたしまして、愛されるいばらきづくりに全力で取り組んでまいりました。
 この間、人口の増加や県民所得の向上に見られますように、県政は、総じて着実な進展を遂げてくることができました。これも、ひとえに県議会や県民の皆様の御理解と御支援のたまものと深く感謝を申し上げます。
 そして、今、茨城県は、先般改定されました長期総合計画のもと、新たなスタートを切ろうとしております。この重要な時期に、自民党初め、多くの皆様方から、この秋の知事選挙に向け御推薦や励ましのお言葉をいただきました。私にとりまして身に余る光栄であり、感謝にたえないところであります。
 私は、こうした御期待にこたえるため、幸いにして多数の県民の皆様方の御信任を得られるならば、引き続き知事として県政を担当し、300万県民とともに、21世紀が茨城の時代となるよう全力を傾注してまいりたいと考えております。議員各位を初め、県民の皆様方の力強い御支援、御協力を心からお願い申し上げます。

平成9年第1回定例会での自民党の代表質問への橋本昌知事の答弁
(平成9年3月5日)
 岡部英男議員の御質問にお答えいたします。
 まず、再選を目指す決意についてお尋ねをいただきました。
 私は、知事就任以来、清潔、連帯、創造の基本理念のもとに、県民の皆様とともに考え、ともに歩みながら、限りない発展可能性を持った茨城県を、真の豊かさを実感できる素晴らしい郷土とするため、県政の諸課題に全力で取り組んでまいりました。
 この間、人口の増加や県民所得の向上に見られますように、県勢は、総じて着実な進展を見せております。これも、ひとえに県議会や県民の皆様の御理解と御支援のたまものと、深く感謝を申し上げます。
 そして、このたび、自民党を初め、多くの政党、団体などから、この秋の知事選挙に向け、御推薦や励ましのお言葉をいただきました。私にとりまして、身に余る光栄であり、感激にたえません。
 私は、皆様の御期待にこたえるため、幸いにして県民多数の御信任を得られるならば、引き続き知事として県政を担当し、300万県民の幸せのために、そして郷土茨城の発展のために、全力を傾注してまいりたいと考えております。議員各位を初め、県民の皆様方の力強い御支援、御協力を心からお願い申し上げます。