神栖町の有機ヒ素化合物による井戸水汚染問題で、健康被害を受けた住民は、7月12日までに、汚染源となったコンクリート塊を不法投棄した者を、刑事告訴する方針を固めました。
 被害住民は、廃棄物対策法では既に時効が成立しているため、ヒ素を混ぜたコンクリート塊の投棄を指示した者に対しては殺人未遂罪で、不法投棄にかかわったとみられる業者を業務上過失傷害の疑いで、8月にも水戸地検に刑事告訴します。
 住民代理人の坂本博之弁護士は、指示者を殺人未遂容疑で告訴する理由について、「指示者はヒ素の性質を十分理解した上で投棄方法を指示している。ヒ素が人体に非常に有害だと知りながら投棄させたのは未必の故意に当たる」と説明しています。(茨城新聞2005/7/13付けの記事より、写真は今年1月20日撮影の汚染源特定調査の模様)
神栖ヒ素汚染「告訴は苦渋の決断」・住民「国は責任認めて」
読売新聞(YOMIURI ONLINE 2005/7/13付け)
 神栖町で地下水のヒ素汚染源とされるコンクリート塊の不法投棄者を刑事告訴する方針を固めた青塚美幸さん(28)は12日、「刑事告訴は苦渋の決断だった」と心境を語った。また、B地区で被害者会の代表を務める池田三富郎さん(60)は刑事告訴や告発などを同地区でも検討しており、13日に東京都内で弁護団と協議することを明らかにした。
 青塚さんは「被害を受けた私たち一家の最大の願いは、国が毒ガスの開発・管理責任を認め、健康ケアの施策を続行してくれること」とした上で、刑事告訴の最終的な決断は、「小池環境相が、『住民が安心を得るためには時効はない』と、県警との連携に意欲を示したという報道で勇気づけられた」と説明、国や県は窮状をよく理解してほしいと訴えている。
 また、B地区の動きについて、池田さんは「こちらは、国から忘れ去られるのではないかという不安が強い。捜査の進展を促すことで国の対策強化につなげたい」と話した。法的な関係について弁護団と協議する予定で、池田さんは「青塚さんらと協力し、徹底した捜査をお願いしていきたい」という姿勢を示した。