「サマワ市民の85%が自衛隊駐留賛成」――6月29日付の朝日新聞に、イラク・サマワ市を中心としたムサンナ州で、朝日新聞が地元紙と共同で行った世論調査の結果が掲載されました。
 自衛隊の駐留を評価した内訳は、「大いに賛成」64%、「おおむね賛成」21%、となっています。さらに、自衛隊の給水や医療支援などの人道復興支援についても、53%が、住民にとって「大いに利益になる」と答え、「ある程度利益になる」を加えると、こちらも85%と高く評価されていました。この調査は6月19日から22日の4日間、戸別訪問による面接方式で実施され、有効回答数は1189という信頼性の高い内容となっています。
 この調査結果は、「自衛隊の人道復興支援はサマワ住民から高い評価を受けている」との公明党神崎武法代表や、「イラクのヤワル新大統領から、日本の自衛隊はイラク国民から歓迎されている。ぜひとも自衛隊の活動を今後も続けてほしいという要請を受けた」との小泉純一郎首相の発言を裏付ける結果となりました。6月28日のイラク暫定政権への主権移譲を受け、自衛隊は多国籍軍の一員として、従来通り給水活動や医療支援などの人道復興支援を継続しています。地元住民の大きな歓迎は、自衛隊の活動を後押しするものに他なりません。
 一方で、サマワ住民が自衛隊の復興支援を高く評価する背景には、それだけ、現地には十分な飲み水や医療設備がなく、多くの人々が苦しんでいる実態があります。それを知ってか知らずか、民主党を初めてする野党は「自衛隊を撤退させろ」の大合唱。あまりにも無慈悲であり、無責任であると思います。
 現状のイラクでは、自分の身を守り、自己完結型で行動できる自衛隊でなければ、復興支援の役目は果たせません。そんな中で、自衛隊を撤退させ、国連決議に基づく人道復興支援をストップさせれば、わが国の国際的信用が地に墜ちるのは明らかです。イラク庶民への責任、国際社会への責任を、岡田氏はじめ野党党首は、どのように考えているのでしょうか。
asahi.com:ニュース特集:自衛隊イラク派遣(2004/07/01 20:14)
サマワ市民の85%が自衛隊駐留賛成 朝日新聞世論調査
 朝日新聞バグダッド支局は、自衛隊が駐留するサマワ市を中心にしたムサンナ州で、地元紙アルサマワと共同で世論調査をした。自衛隊駐留に賛成する回答は85%と高かった。一方、米軍などの駐留軍が居続けることには70%が反対し、明確な対比を見せた。自衛隊の活動については「ほとんど見ていない」「全然見ていない」が計68%となり、存在感の薄さも浮かび上がった。
 19〜22日の4日間、サマワなど3市で戸別訪問による面接方式で調べた。有効回答数は1189。
 自衛隊駐留について「大いに賛成」は64%、「おおむね賛成」は21%。一方、否定的意見は「おおむね反対」8%、「全く反対」5%だった。
 自衛隊は3月から、給水や医療支援などの人道支援活動を本格化している。こうした活動が住民の利益になるかという質問に、53%が「大いに利益になる」と回答。「ある程度利益になる」を加えると、85%が歓迎している。
 しかし、実際に活動を見たことがあるかどうかを問うと、「頻繁に見ている」15%、「時々見ている」17%で合わせても3分の1どまり。逆に「全然見ていない」が47%、「ほとんど見ていない」も21%あった。
 あまり活動を目にしていないのに好感度が高い理由として、イラクでは一般に、日本の高い工業技術力や平和主義が良いイメージを持たれていることが影響しているとも考えられる。
 米軍など駐留軍がイラクに駐留することについて「全く反対」50%、「おおむね反対」20%と反対意見が7割を占めた。ムサンナ州ではオランダ軍が治安維持を担当し、米軍は住民の前にほとんど出てこない。しかし、戦争と占領を主導し、イラク人収容者虐待事件を起こした米軍への反感は強いと見られる。
 主権移譲の受け皿となる暫定政府への支持は9割に達し、占領終結への期待が感じられる。
 ムサンナ州は、自爆テロや武装勢力の攻撃が相次ぐバグダッドなどと比べて治安がよく、56%が「非常に安全」とみていた。
 〈調査方法〉 調査を行ったのは、ムサンナ州の州都サマワの市内20地区、郊外10村▽同州北部ルメイサ市の10地区▽同南部アルホダル市の10地区。
 住宅表示が偶数の家を調査員が訪問した。イラクで選挙権がある18歳以上を対象に、家族の中で誕生日が調査日に最も近い人を選んだ。
 有効回答者の性別は男性486、女性703。年齢別では、18〜29歳484▽30〜39歳364▽40〜49歳174▽50〜59歳116▽60歳以上51。
 地域別では、サマワ市内479、郊外239▽ルメイサ231▽アルホダル240