今日はもう一つテレビネタです。4月16日夜、テレビ東京系のニュース番組:ワールドビジネスサテライトで、国民年金の時効の話題を取り上げていました。
ワールドビジネスサテライト2004/4/16放送分
国民年金 未納の8兆1,300億円が「時効」に
 自営業者などが加入する国民年金で、滞納されたまま2年以上が過ぎて時効となり徴収できなかった保険料が、過去17年間で8兆1,300億円に上ることが厚生労働省の調べで分かりました。これは本来徴収できる保険料の2割にあたる額です。
 気になったのは、このニュースの後のコメンテーターであるロバート・アラン・フェルドマン(モルガンスタンレー証券・チーフエコノミスト)さんの発言です。「国民年金は金融商品として魅力がないので、保険料を払いたがらない人が多い」(正確な記録ではありません)との短いコメントを挟みました。
 著名なエコノミストに、反論するすべは私にはありませんが、国民年金を金融商品として「魅力がない」と断言してしまうことに、非常に腹立たしい思いがしました。
 国民年金は、年金の受給者の費用を若い世代の保険料で支える「世代間扶養」が基本であり、個人の資産を長期に運用し、その利益を個人に還元する金融商品としての機能では、測れない様々な側面を持っていると思います。
 例えば、その保険料に一般の税金が投入されるということ(現在は1/3、近い将来1/2に増額)。障害年金、遺族年金という個人の生活を保障するセイフティーネットの機能を持つことなどです。
 こうしたことに全く触れずに、「魅力がない」とフェルドマンさんのような著名な方が断言することによって、年金への不信感がどれだけ高まるか。この点を十分に考慮していただきたいと思うのです。
<余録>
 こうした憤懣をテレビ東京にぶつけるために、直接電話をしました。
 最初に出たのは、電話担当の女性ADでしょうか。(違っていたら申し訳ありません。名前も立場も話していただけませんでしたので)
 こちらの話しを丁寧に聞いてくれ、担当ディレクターに伝えると約束してくれました。(最後にどの党に所属する県会議員さんですか、と聞かれたのは少し意外でしたが)
 番組が終了し10分ほどたつと、本当に担当ディレクターさんから電話が入りました。
 井手:「フェルドマンさんは、日本の年金制度、特に国民年金をどの程度理解されているのですか?」
 テレ東:「しっかりとした知識を持っていると思います」
 井手:「金融商品としては魅力がないとはどういう意味なのでしょうか。あまりに説明不足で、大きな誤解を生む発言ではないでしょうか」
 テレ東:「紋切り型のコメントで、誤解を生む表現かもしれません。しかし、本意は、もっと効率的なシステムにして、うまい運用をすれば、しっかりとしたリターンを生むことが出来るのにという意味での発言であると思います」
 井手:「障害年金や遺族年金でどれだけ救われている人がいるのか、ご存じなのでしょうか」
 テレ東:「もちろん知っていると思います」
 井手:「年金に関して、じっくりと考えを聞かせてもらう特集を組んでください。とにかく、断定的、紋切り型のコメントは避けるべきです」
 テレ東:「よく分かりました。本人に伝えます」 こんなやり取りが続きました。
 少し興奮して、感情的になった部分もありましたが、大好きなワールドビジネスサテライトです。久米さんのニュースステーションのような独善的な番組になってほしくないと思っての苦言でした。