8月30日、民主党が衆院選の公示後にホームページを更新し、岡田克也代表の第一声の内容などを掲載したことについて、総務省は「公職選挙法上、極めて問題が多いと考える。適切な対処をお願いしたい」と指摘しました。それを受け、民主党は更新した内容を削除し、投票日までホームページの更新を自粛しました。この間の民主党と総務省とのやり取りが、9月13日公開されましたので、転載させていただきます。
(インターネットと選挙に関する重要なやり取りであり、公開質問状とその回答の形式を取っているために、転載による著作権侵害等にはならないと解釈しておりますが、不適切であるとご指摘をいただいた場合は即刻削除いたします)


8月30日:総務省選挙課長の電話による指摘

 公職選挙法上HPの更新が、公職選挙法142条(文書図画の頒布の制限)及び146条、201条13の規定「政党その他の政治活動を行う団体は各選挙につき、その選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に限り、政治活動のため、次の各号に掲げる行為をすることができない。 二 いかなる名義をもつてするを問わず、掲示又は頒布する文書図画(新聞紙及び雑誌を除く。)に、当該選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)の特定の候補者の氏名又はその氏名が類推されるような事項を記載すること」に違反するとの指摘が、総務省選挙課長から8月30日、電話によりありました。(「日本刷新、政権交代へ!」総選挙(8月30日から9月10日)の軌跡」:民主党HPより
9月1日:民主党の総務省に対する公開質問状

2005年9月1日

総務省選挙部長 様
民主党幹事長代理 枝野幸男

政党HP上における選挙関係情報の掲載等について

 総務省関係行政へのご精励に感謝致します。
 さて、過日の8月30日に、総務省選挙課長より、当方の事務局宛てに、民主党本部掲載のHPに公選法142および146条に違反するとの指摘・指導が行われました。この件につき、下記の質問に応えていただくよう、要請いたします。

1.当方のHP上の記事内容について、公選法違反の指摘がありましたが、同様の選挙関係に係る記事掲載は、4月に実施された統一補欠選挙の際にも掲載しましたが、全く指摘・指導はありませんでした。
 加えて、こうした選挙関係記事は、民主党のみならず、自民党を始め各党が掲載していた事実があり、それが改めて指摘・指導されるに至った経緯、その間に公選法解釈の変更された理由、その解釈変更が関係者に告知されなかった理由の詳細をお知らせ下さい。
 例えば、自民党は、4月の統一国政補欠選挙の際に、別紙のように、同種の記事を掲載していましたし、6月の東京都議会議員選挙についても、同種の記事を掲載していました。これらに関する見解もあわせて、文書にてお知らせ下さい。
2.衆議院選挙期間中の政党代表等の記事の党本部への事掲載については公選法違反の指摘を受けましたが、例えば、党本部のHP以外では、現在も掲載されている、自民党広報本部本部長代理及び自民党遊説局長のブログなど、小泉総理の遊説に関する記事が選挙期間中も掲載されています。また、自民党東京都連のHP、TOKYO自民党BBSには、特定候補者に関する投票呼びかけに類する記事も掲載されていますが、これらについては、掲載が許される根拠についても、文書にてお知らせ下さい。
※上記の質問について、一両日中にも回答をお願いします。回答先については、民主党事務局届出法規担当宛てにご連絡をお願いします。
【公開質問状】政党HP上における選挙関係情報の掲載等について:民主党HPより


9月2日:総務省選挙課長の公開質問状への回答

 拝啓 日頃より、総務省の業務にご理解・ご協力をたまわり、感謝申し上げます。
さて、貴党より、2005年9月1日付け「政党HP上における選挙関係情報の掲載等について」においてご質問いただいた件について、下記のとおり回答いたします。時節柄ご自愛のほどお祈り申し上げます。 敬具

 総務省においては、従来より、「選挙期間中にホームページを開設、書き換えすることは、その内容が選挙運動のために使用する文書図画と認められる場合には、公職選挙法第142条の規定に違反する。その内容が選挙運動のために使用する文書図画と認められない場合であっても、候補者の氏名、政党名が含まれている場合には、その行為が公職選挙法第142条の禁止を免れる行為と認められる場合には、公職選挙法第146条の規定に違反する。また、政党その他の政治活動を行う団体が政治活動としてホームページを開設、書き換えすることによって候補者の氏名等が表示される場合には、公職選挙法第201条の13の規定に違反する」との見解を示してきており、この解釈に変更はありません。
 この解釈に関し、衆議院総選挙の公示日に、貴党のホームページを御覧になった方から、候補者の街頭演説の模様などをホームページに掲載することは公職選挙法上問題があるのではないかとの問い合わせが総務省に多数寄せられました。
 これらの問い合わせに対し、総務省においては、般論として申し上げれば、選挙運動期間中に選挙運動として行われた街頭演説の模様などをホームページに掲載した場合には、公職選挙法の規定に抵触するおそれが強いと回答いたしました。
 このような総務省の回答が、貴党に不正確に伝わることが懸念されましたので、貴党のホームページに関し、候補者の街頭演説の模様などを掲載しており公職選挙法上問題があるのではないかとの問い合わせが多数寄せられているが、一般的に、ホームページに選挙運動として行われた街頭演説の模様などを掲載することは公職選挙法の規定に抵触するおそれが強い旨、貴党に直接お伝えしたところであります。
 また、いくつかの個別の事案についてお尋ねがありましたが、個別の事案が公職選挙法の規定に違反するかどうかは、具体の事実に即して判断されるべきものであります。総務省は、具体の事実について調査を行う権限を有しておらず、個別の事案が違法かどうかの判断を行う立場にありません。また、公職選挙法に違反する行為が行われた場合に警告等を発する権限もありませんので御了承下さい。
 なお、貴党からご指摘のあった自由民主党の幾つかの事案に関しては、貴党からのご指摘を踏まえ、一般的に、ホームページに選挙運動にわたる内容を掲載することは公職選挙法の規定に抵触するおそれが強い旨、本日自由民主党にお伝えいたしました。
平成17年9月2日
総務省選挙部長 久保信保
民主党本部幹事長代理 枝野幸男 様

【総務省からの発表】政党HP上における選挙関係情報の掲載等について:民主党HPより