「まちづくり3法」改正への議論が具体化
 10月27日、自民党の中心市街地再活性化調査会は、中心市街地の衰退を防ぐ「まちづくり3法」改正案の骨格をとりまとめました。
 大型商業施設の郊外への出店規制や、病院や福祉施設の立地を許可制に改めることなどが柱となっています。急速な高齢化や人口減少社会の到来を受け、中心市街地に住宅や病院、学校などの都市機能をコンパクトに集約することを目指しています。
 自民党は、年内にも最終案をとりまとめ、来年の通常国会での成立を目指すことを確認ています。
 自民党調査会の報告では、郊外への大型店などの進出を抑えるため、用途制限のない土地や農地に対する規制を強化します。大型店が出店を希望した場合も、その是非について住民や周辺市町村の意向も踏まえて判断する仕組みをつくるとしています。
 また、中心市街地への誘導策として、1.意欲的な市町村の取り組みに対する国の財政援助、2.中心部に建てる病院・学校などの容積率緩和、3.空き地、空き店舗を積極的に活用する民間業者や地権者に対する税の軽減などを具体的に列挙しています。
大規模小売店の郊外への立地に歯止めをかける「福島県商業まちづくり条例」
 こうした国の動きを先取りする形で、福島県では、大規模店舗の出店を規制する全国初の条例、「福島県商業まちづくりの推進に関する条例案」が10月13日成立しています。06年10月に施行されることになりました。
 商業まちづくり条例では、店舗面積6000平方メートル以上の店を出店する場合、県へ「新設届け出書」の提出や立地する地元自治体への説明会を義務づけています。計画に問題があると判断した場合は、県が見直しを勧告できる仕組みになっています。計画を届け出なかったり、虚偽の計画を届け出た場合には20万円以下の罰金を科し、公表するとされています。
 大型店の出店に厳しい制約を設けたことで、県内への出店を計画する小売業に大きな影響を及ぼすものと思われます。
 そもそもこの条例制定のきっかけとなった事例は、1999年に安達町と伊達町に、東日本最大級のショッピングセンターの進出を表明したイオングループの出店計画です。10月7日には、イオンから「条例は営業の自由を保障する憲法や大店立地法13条に違反するのではないか」との意見書が県に提出され、実際に施行・適用された場合は、法廷闘争も辞さない強い姿勢が伝えられました。
 住民が楽しい買い物をする権利や企業が自由に営業する権利と地域のまちづくりの整合性をどのように取っていくのか、大きな課題となっています。