借りる立場から運営・管理する立場に転進、地元に密着した効率的な運営に期待高まる
 茨城県では、県立カシマサッカースタジアムに来春4月より指定管理者制度を導入するために、指定管理者候補の選定を行ってきました。
 その検討の結果、(株)鹿島アントラーズFCが、カシマスタジアムの管理、運営業務を行う指定管理者の候補者に決定しました。12月2日から開会する県議会の審議・議決を経て正式に決定されることになります。
 指定管理者制度とは、平成15年9月2日に地方自治法の一部が改正され誕生した制度です。公の施設(スポーツ施設、都市公園、文化施設、社会福祉施設など)の管理方法が「管理委託制度」から「指定管理者制度」に移行されます。このような施設の管理運営については、これまで地方自治体が直接行うか、その出資法人、公共的団体(社会福祉協議会など)だけにしか委託することができませんでした。
 しかし、指定管理者制度の導入により、今後は民間の事業者、NPO法人、ボランティア団体なども含めて広く公募し、費用、企画などの提案内容から判断して、よりふさわしい施設の管理者を決めていくことになりました。近年ではスポーツジムなどの体育施設、集会施設、美術館、福祉施設等の運営において、民間事業者によって十分なサービスの提供が行われており、民間の効果的・効率的な手法を「公の施設」にも活用することが有効と考えられ、経費削減や利用者に対するサービスの向上などが期待できます。
 カシマスタジアムの場合、今までは県の第3セクターである鹿島都市開発が1993年より、運営・管理を委託されていました。アントラーズFCをはじめ3団体が指定管理者の選定に応募し、多角的な視点から、同社が最適であると認められました。
 アントラーズFCは、現在のスタジアム運営・管理の他にも、サッカーの国際試合の誘致、コンサートなどの企画、フィットネス事業の展開、茨城大学と提携してのオープンカレッジの開催など、スタジアムをより効率的に運用する事業展開を企画していく予定です。
 Jリーグのクラブが地方自治体の所有する競技場の指定管理者候補に決定したのは全国で初めて。地元の市民にとっても様々なイベントの開催も期待でき、期待が高まっています。
参考:(株)鹿島アントラーズFCのHP
アントラーズ 茨城大と提携
産経新聞(SankeiWeb2005/11/29)
 茨城大学(水戸市)とサッカーJリーグ1部(J1)の鹿島アントラーズが教育・研究面での連携協定を締結することが二十九日、明らかになった。埼玉大が昨年十二月、浦和レッズなどと同様の締結を行っており、全国で二例目。鹿島が十二月県議会で正式に指定管理者に決定後、連携協定を取り交わし、連携事業を開始する。
 茨大の三村信男学長特別補佐らが同日、県庁で記者会見し、「鹿島との連携は研究者にとっても刺激的。明るいニュースで学生も期待を持っている」と抱負を語った。
 連携交渉は鹿島側から持ちかけられ、昨年四月から交渉を重ねてきた。連携事業の主な柱は、カシマスタジアムの活用▽連携教育事業▽スポーツ指導者人材育成▽地域のスポーツ振興▽研究事業−の五分野。
 具体的にはスタジアム内の部屋を利用して、茨大教員などによる公開講座や講演を開催したり、逆に茨大の講義へのアントラーズ選手の参加などを予定。茨大の学生を鹿島の運営・サポートに参加させるためのインターンシップ制度も計画されている。
 また、茨大の推薦入学制度を活用したアントラーズユースの受験促進や、アントラーズスタッフによるコーチング・スポーツ指導者養成への協力なども想定している。
 鹿島の牛島洋社長は「お互いの長所を生かし相乗効果を高め、地域活性化、スポーツ振興を共に貢献できるよう全力を尽くしたい」とのコメントを発表した。