ひとり娘の「未来」が避妊手術を受けました。未来は、6歳8ヶ月。飼い主夫婦に子供がいないので、是非、出産を経験させたいとの一方的な思いこみから、今まで避妊手術を行っていませんでした。
 飼い犬にとって避妊手術は、健康維持のために必要な行為であるといわれているようです。しかし、元気な内に子宮や卵巣をとってしまうのは、かわいそうな気がしてなかなか踏み切れませんでした。
 しかし、妻が行っているアニマルセラピーに牡のワンコも参加するようになり、それをきっかけに手術を決意しました。
 手術の適齢期は、いろいろ議論はあるようですが、若いうちにした方がよいようです。未来の場合は、少し遅れてしまったようです。ほかの病気の検査もあり、費用も若干高めでした。
 手術自体は問題なく終わり、エリマキトカゲ状態の未来の写真を納めました。
 少しでも、元気で長生きをしてほしい。親ばか(飼い主ばか)の結果です。本人は迷惑と思っているのでしょうか?
 これはアメリカのGloria Dittemann (ゴールデンレトリーバークラブオブアメリカ・オンライン大衆教育委)さんが書かれたもので、HPにも載せている記事からの抜粋です。「避妊の考え方」を書いた記事でしたが、その考え方に付いての正否は別件として、ここに書かれている事例での記載はとても参考になる思いました。
キャバリア・ネット in Japan 避妊・去勢に関して−1


 避妊手術は、性ホルモンが引き起こす悩ましい問題行動が生じることを防ぐ助けにもなりますし、健康維持にも役立ちます。なにより愛犬がこの忌まわしいペットの人口過剰問題の一因になることは決してないのです。性成熟前に不妊手術をすることは、生殖器の癌の発生を永久に避けることができます。これらの癌は、性成熟後に性ホルモンによって引き起こされるのです。ですから早期の不妊手術はこれらのホルモンの分泌を防ぎ、その種の癌が発生することはありません。今日癌はすべての純血犬および雑種において主要な死因となっています。癌の中でも、生殖器の癌(牡であれば、ペニスや睾丸、前立腺の癌、牝であれば、膣や卵巣、子宮、乳腺の癌)は最も頻度が高く、命にかかわる可能性が高いものです。また生殖器の癌は最も頻度が強く、治療が難しく、費用がかかり、そして死に至ります。

 そして生殖器の癌は早期の不妊手術によって完全に防ぐことのできる癌です。また早期の避妊手術は、癌だけでなく、子宮の病気や前立腺の病気のリスクを減らします。避妊手術をした牝はもう二度と、膣脱や子宮脱、子宮蓄膿症、子宮内膜炎、乳腺炎、子宮の感染症などの多くの命をおびやかすような生殖器系の疾患にかかる心配がありません。犬種の向上を目的にブリーディングしているブリーダーは、自分達の犬がこのようなリスクを背負っていることを理解しています。そして自分が愛する犬種を向上させていくために、将来自分の犬に起こりうることの覚悟をしています。しかし多くのペットオーナーの方は、一度将来愛犬に起こりうるリスクを理解すると避妊手術をすることを選びます。これは責任ある行動だと言えます。

 このような健康面でのメリットと同時に、早期の避妊手術は、とても良く生じる性的な原因による望ましくない問題行動を避けることにも役立ちます。これは牡の場合では自分より目下のもの(例えば近所の子供やあなたの子供)へのマウンティング(これで子供に怪我をさせてしまうことがある)、縄張りへのマーキング(家のソファーやベッドにも行う時もある。一度家具についたら、その悪臭を取り除くのは難しい。)他の犬、場合によっては人間に対して向けられる縄張り意識からの攻撃性、逃走欲の増加(避妊していない牡犬や牝犬はしばしば放浪したがります。牡犬は1マイル離れた所にいる発情中の牝を求めて行き、その牝を得るためにはどんなことでもします。発情中の牝犬は牡犬を求めて遠くにでも行きます。)などがあります。もし30キロも40キロもあるような大型犬なら、フェンスを壊し、庭を荒らし、他の犬(縄張り意識による攻撃性が強いならなおさら)や人間ですら傷つけることにもなるのです。(子供にマウンティングしようとして子供を前足で抱え込み、その時爪で傷つけたり、噛んだりすることもあります。)

 牝においては、性ホルモンが原因でおこる問題行動は、神経質になったり落ち着きがなくなったりすること、(これは発情6週間前から始まるようです。私の友人のドッグトレーナーは「牝犬は発情期には脳みそがフロリダに行ってしまう」と言います。)他の犬、場合によっては人間に対して向けられる縄張り意識からの攻撃性、(自分の縄張りにマーキングする犬もいます。)逃走欲の増加などがあり、また膣や子宮の感染症によって問題行動を起こすこともあります。加えて牝犬は発情期には陰部からの出血があります。これは通常7ー9日続きます。そして発情が始まったら3週間はたとえ一分でも牝犬を外に放してはいけません!あなたは自分の家の敷地内でもリードなしで散歩にいけないでしょう。見知らぬ犬がフェンスを越えて侵入してこようとするかもしれません。なぜなら、あなたの家の周囲半径1マイルの中のすべての去勢されていない野犬を引き付けているのですから。出血で部屋を汚さないための生理帯もありますが、多くの犬はそれをはくのを嫌がりますし、はいても食いちぎってしまったりします。そして交尾してしまってから初めてそれに気が付いたということになるのです。しみ抜きを使って掃除しながら発情が終わるまでじっと待つ以外に打つ手はありません。

 避妊手術をしていない犬を室内で飼うにはこのようにたくさんの大きな問題が伴います。もし愛犬がショーとかに出していなくてコンパニオンとして飼われているなら、早いうちに不妊手術をすることは賢明で責任ある選択だと思います。それは犬のためであり、飼い主のためでもあるのです!私は率直に言って、私達愛犬家すべては、自分のエゴを捨てて、この国のペットの人口過剰問題について考え、伝えていく義務があると思います。良識のあるペットオーナーは不妊手術をするのです。