県の検査体制に問題浮上
 12月9日、茨城県小川町の石川養鶏上吉影農場で、H5型の鳥インフルエンザの抗体陽性反応が出たことが公表されました。茨城県は、上吉影農場の約1万9000羽の処分を命令しました。
 上吉影農場では、生後250日と650日の2種類の鶏を飼育していますが、7月29日から11月9日にかけて計4回の検査では、いずれも陰性でした。しかし、業者は感染リスクが低いとされる生後250日の若い鶏のみを選別し、養鶏場を訪れた県の家畜防疫員らに検体として提出して事実が判明しました。
 県が12月8日に行った検査では、生後650日の鶏から陽性反応が出ました。
 この養鶏場の防疫・監視を担当していた県北家畜保健衛生所の職員は、こうした事実を11月9日の時点で業者から告げられたが、上司には報告せず、本庁の畜産課も抗体が検出されるまで把握していませんでした。
 こうした事態を受けて、県農林水産部では、今までの検査の際の採材について、すべてチェックする方針を固めました。
 具体的には、県内で鳥インフルエンザの発生が確認された6月以降に検査し、感染や感染歴が見つかっていない養鶏場の検査方法について、担当者から聞き取りを行います。12日にも調査対象の検査をリストアップし調査を開始。不適切な検査やその疑いがある場合には、再検査を行うことにしました。
 鳥インフルエンザの検査を巡っては11月上旬、材料採取時に行政サイドの家畜防疫員が立ち会っていなかったことが、複数の養鶏場の検査で発覚しました。そのうち2養鶏場ついては、県が刑事告発しています。
 これまで、県は一貫して行政と養鶏場の信頼関係の上で検査は行われてきたとしていました。しかし、その信頼は度重なる検体の恣意的な操作で裏切られてことになります。
 検査自体が産業振興と防疫の両面を担っている職員によって行われていることに、そもそもの原因があるとも考えられます。