子供の安全を守るための緊急助成制度創設を提案

 12月13日に開催された県議会予算決算特別委員会で、井手よしひろ県議は平成16年度決算に関する総括質疑を行いました。井手県議は、介護保険の充実について、県行政と県民との協働について、神栖市のヒ素問題についての3点にわたって、橋本昌県知事、保健福祉部長、生活環境部長との質問戦を行いました。
 特に、井手県議は、全国で相次いでいる少女の殺人事件を受けて、地域の住民団体やボランティア組織などに一定額の活動資金を助成する『ご近所の底力再生事業』などを充実させて、子供たちの安全を守る活動について、緊急の助成策を講ずることを提案しました。
 橋本知事は、「必要性があれば、予備費から支出も検討するが、ご近所の底力再生事業の来年度の重点項目という形で、モデル的な活動団体を作っていく方向で検討したい」と述べました。
(写真は井手よしひろ県議の質疑の模様)
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予算決算特別委員会
決算総括質疑要旨
1.介護保険について
  (1)介護予防の推進
  (2)事業者の指導
  (3)ホームヘルパーの育成と能力向上
2.県行政と県民の協働
  (1)NPOやボランティアを活用した事業
  (2)ご近所の底力運動の充実
  (3)子供たちの安全を守る取り組み
3.神栖市のヒ素問題について
  (1)ボーリング調査手法の評価
  (2)汚染土壌の処理方法
  (3)土壌・地下水の浄化

1-(1)介護予防の推進
 介護保険の充実についてお伺いします。介護保険制度の改正で、来年度から「介護予防」が導入されます。
 要介護状態になる前に、運動やトレーニングなどによって、寝たきりになるのを防ぐ様々なサービスをおこなうものです。
 とくに重要な目的とされているのは、生活が不活発になることから心身機能が低下するのを防ぐことで、積極的に体を動かしてもらったり、外出を促したりすることで、自立した心身の維持を目指すものです。
 しかし、介護予防は、一朝一夕で定着できるサービスではありません。そのノウハウや推進者の育成などしっかりとした導入準備が必要となります。
 この介護予防について、本県では、旧大洋村が高齢者に対し、筑波大学大学院の久野譜也先生と共同で筋力トレーニングを実施し、大きな成果を上げています。また、高齢者の介護予防や要介護状態からの改善に効果が認められている、大田仁史先生考案の「いきいきヘルス体操」も全国的に有名です。
 そこで、こうした筋力トレーニングやいきいきヘルス体操の平成16年度の実施状況についてお伺いします。
 さらに、筋力トレーニングについての県の支援策や、いきいきヘルス体操について今後どのように普及を促進しようとしているのかお伺いいたします。
<保健福祉部長委答弁>

1-(2)事業者の指導
 続いて介護保険事業者の指導状況についてお伺いいたします。
 平成16年度、介護保険の事業者は県内で2200件を超えています。こうした事業者が良質で適切なサービスを提供できるかどうかが、茨城県の介護保険のレベルを左右することになります。
 そこで、介護保険事業者への指導状況についてお伺いいたします。
<保健福祉部長委答弁>
 さらに、適正な事業運営、質の確保を図るための指導を充実強化していただきたいと思います。今回の介護保険制度の見直しにおいて、事業者規制が強化された点、そして、今後の事業者指導の基本的考え方についてお伺いします。
<保健福祉部長委答弁>

1-(3)ホームヘルパーの育成と能力向上
 ホームヘルパーの育成と能力向上についてお伺いいたします。
 平成16年現在、県内にはホームヘルパー1級の資格を持っているものが1772人、2級資格者が37516人おります。また、国の資格である介護福祉士を持つものが8494人います。
 国は、介護従事者の資質の向上を図ることに、将来的には介護職員には介護福祉士の資格を要件とすることを検討していると聞き及んでいます。
 一方、実質的に介護の現場で活躍されている方は、ホームヘルパーの資格で働いている方が多いのが現実です。このようなヘルパーさんからは、自らの仕事が奪われてしまうのではないかとの不安の声も上がっています。
 そこで、国の動向も含めて、今後のホームヘルパー資格者の能力向上策についてお聞きいたします。
<保健福祉部長委答弁>
 介護の裾野を広くするためには、ホームヘルパー3級の取得推進も重要な政策であると思います。中学生や県職員などにホームヘルパー3級取得を進める動きもあるようですが、今後の取り組みをお聞かせください。
<保健福祉部長委答弁>

2-(1)NPOやボランティアを活用した事業
 県民のための県政を実現するためには、県民参加型の行政を実現する必要があります。また、厳しい県の財政状況や激しくなる一方の地域間競争に本県が勝ち残るためには、県民各階各層の活力や専門的な能力を十二分に活かすことが必要です。具体的にはNPOやボランティアなどとの協働が不可欠になります。
 平成16年度における、NPOやボランティアを活用した県の事務事業について、その具体例と成果についてご説明いただきたいと思います。
<生活環境部長答弁>

2-(2)ご近所の底力運動の充実
 今、昭和が密かなブームになっているといわれています。
 東京タワーが建設中だった昭和33年の都心の街で、さまざまな人模様が描かれる山崎貴監督の映画「ALWAYS 三丁目の夕日」が公開され、異例のヒットを続けています。
 この昭和の時代にあって、今失われてしまったもの中で、もっとも大きなものは、地域の人と人のつながりではないでしょうか。その人と人のつながりを求める心が、映画のヒットの背景にあるとも言われています。
 さて、こうした地域の再生をめざす、県の取り組みに「ご近所の底力再生事業」があります。平成16年度に創設されたこの事業の概要と成果についてご説明ください。
<生活環境部長答弁>

2-(3)子供たちの安全を守る取り組み
 さて、先ほど紹介した「三丁目の夕日」とは全く正反対の事件が、現実の日本では進行しています。ここ半月の間に、幼い女子生徒が連続して殺害されるという、むごたらしい事件が続いています。幼気(いたいけ)な子供たちの安全を守るために、様々な手法がとられているようですが、私は、何よりも大事なのは、地域による見守りであり、地域の力で子供たちを守ることではないかと考えています。
 そこで、今、高橋生活環境部長より、ご説明をいただいた「ご近所の底力再生事業」などを充実させて、子供たちの安全を守る活動について、緊急の助成策を講ずることを提案したいと思います。
 今、県民の関心は大きく高まっており、こうしたタイミングを逃さず、地域の再生と子供たちの安全を守る一手を打つ必要があると思います。まさに、急を要する課題であり、私は予備費から財源を捻出しても、是非実施していただきたいと考えています。
 橋本知事に、子供たちの安全を守るために、NPOやボランティアなどの力を積極的に活用すするための、緊急対策について、その実現を要望いたします。橋本知事、是非お考えをお聞かせください。
<知事答弁>

3-(1)ボーリング調査手法の評価
 神栖市のヒ素問題について、改めて高橋生活環境部長に質問いたします。
 今回のヒ素汚染の原因を究明するために、ボーリング調査が行われました。ボーリング調査には、大別して単元調査と無単元調査の二種類があるとされています。
 今回、神栖で行われた調査法は、無単元調査と呼ばれます。メッシュ状や同心円状に無作為にボーリングを行い、50cm、1m、2m、3mと機械的に標本を採取するやり方です。このやり方では、汚染物質が混合して、結果的に汚染を広めてしった事例もある調査法です。
 そこで、今回の環境省が行ったボーリング調査の方法について、県の評価をお伺いしたいと思います。
<生活環境部長答弁>

3-(2)汚染土壌の処理方法
 今回のヒ素汚染の原因物質であるコンクリート様の物質は撤去され、こまかく粉砕されて上で保管・管理されていると伺っています。その最終的な処分法がまだ決まっていないと聞き及んでいますが、現在の検討状況をお伺いいたします。
<生活環境部長答弁>

3-(3)土壌・地下水の浄化
 汚染源物質は、ほぼ撤去された状況です。しかし、環境省や県が井戸水の使用自粛を指導している地域内でも、「使用できる地下水があり、むしろこの地下水を利用しないと、汚染地域が拡大する恐れがある。使いながら地下水をきれいにしていかないと、問題は解決しない」との専門家の指摘もあります。
 今後、汚染された土壌や地下水の浄化を進め、住民の不安をなくすために、どのような具体策を検討しているのか、お聞かせいただきたいと存じます。
<生活環境部長答弁>