平成の大合併が進み、茨城県でも83あった市町村が2006年3月末には、44に再編されます。
 市町村合併がおこなわれたときは、新設合併であれば、関係市町村議会の議員はすべてその身分を失い、編入合併であれば、編入する市町村議会の議員の身分には影響はありませんが、編入される市町村議会の議員のすべてがその身分を失うことになるのが原則です。
 しかし、今回の平成の大合併では、合併する市町村の住民の意見を合併後の行政に反映させ、合併市町村の均衡ある振興整備を図るなどの趣旨から、合併後の一定期間に限り、地域住民の代表者である議会の議員の定数や在任に関する特例措置が認められています。茨城県内の合併では、全ての市町村が在任特例を活用しました。
 この特例に対して、合併後の厳しい財政状況などを反映して、地域住民から異論が出されている地域があります。
城里町では、2月12日に議会解散の住民投票
 例えば、城里町では、町議会解散の是非を問う住民投票が、2月12日に投開票と決定されました。投票率の高低にかかわらず、賛成が過半数を占めれば、町議会は即日解散され、40日以内に出直し選挙が実施されることになります。城里町は2005年2月、常北町、桂村、七会村の3町村が合併して誕生しました。議員定数は18ですが、在任特例を活用し合併後2年間、旧3町村の議員42人が町議会議員として在籍しています。
 平成17年度の町の予算の中に占める議会費は、2億4000万円です。その内議員の人件費(報酬+期末手当+議員共済負担金)は1億9300万円で、単純計算でも、議員定数を42から18に減らすことによって、1年間で約1億1000万円強の予算が、福祉や教育費に回せる計算となります。ちなみに、この金額は城里町の社会福祉費の1割を超える金額になります。
 一部に「合併に伴う在任特例だから、42名分の議員人件費は国からの交付税で賄われる」との意見があります。しかし、この議論は基本的な認識に誤りがあります。確かに、合併に伴い国からの地方交付税には優遇措置(合併算定外と呼びます)が設けられており、10年間は、合併前の旧町村と同じ計算方式で交付税が配分されることになっています。17年度は、新たに城里町として計算した分より旧3町村の合計として、6億円多く地方交付税が交付されています。この合併算定外は、たとえ議員数を削減しても同じ特典が続きます。したがって、議員が削減されると交付税が減額される性格のものではありません。
公明党は議会の早期解散に賛成
 民意は早期議会解散に大きく流れています。公明党としては2名の現職議員とも、「議会の解散に賛成」との立場をとっています。(写真は、城里町の住民投票への対応を語る桐原健一町議会議員)
 こうした城里町の動向の他にも、常陸大宮市や行方市でも在任特例について、自主解散や議会解散を求める声が上がっているといわれています。合併の大きな目的である「小さな行政の実現」のため、各議会の自主的な判断に期待が集まっています。