1日で1500億円失う ライブドア時価総額
livedoor ニュース(2006/1/17)
 東京証券取引所マザーズ市場などの17日午後の取引で、ライブドアグループ企業の株が、証券取引法違反事件の影響を嫌気した大量の売り注文を浴びて、軒並み値幅制限の下限となるストップ安となった。発行済み株式総数に株価を乗じた「時価総額」は、グループの上場7社の単純合計で約1兆200億円から約8700億円に減少し、約1500億円が1日で吹き飛んだ。
 東京地検の捜査の進展によっては、ライブドア銘柄は18日以降も、一段安となる恐れもある。堀江貴文社長の人気もあり高株価を「演出」、有利な資金調達やM&A(企業の合併・買収)を繰り返し、グループを膨張させてきた“錬金術”のような「時価総額経営」は見直しが必至の情勢だ。

 全く株式の知識がない私にとって、ライブドアの強制捜査については、分からないことだらけです。あるテレビ局のコメンテーターが「一日で1500億円もの損失を出した今回の事件。それだけの損害を出すことも覚悟して捜査の着手した地検は、堀江氏逮捕によほどの自信があるのだろう」と語っていました。しかし、このコメントには何となく釈然としません。
 地検の強制捜査が、耐震検査偽装問題のヒューザー小嶋社長の国会喚問と時期が重なったことから、焦点をぼやかす陰謀説も囁かれています。ライブドア問題で小泉自民党が被ったイメージダウンを考えると、少し深読みしすぎた話です。
 引用の共同電が伝える「グループを膨張させてきた“錬金術”のような『時価総額経営』は見直しが必至の情勢だ」との表現は、もっともだと思いますが、昨日までこのやり方を時代の寵児としてもてはやしたマスコミの反省の弁はどこにもありません。
 ライブドアの自転車操業を一番手助けしたのは、「マスコミさん、あんただよ」と大声で叫びたいような気がします。

(2006/1/18更新)
 ライブドアの強制捜査問題は、単なる風評の流布や「時価総額経営」への問題だけでは済まない状況になってきました。子会社化した企業の預金(資産)をライブドア本体の売り上げとして計上するなどして、売り上げを水増しし「粉飾決算」が行われていた可能性が高くなってきました。テレビのニュースでは、堀江社長から関連会社への売り上げの粉飾経常を指示したメールが特ダネとして紹介されています。ここに至っては、アメリカのエンロン事件などと同じ構造となってきています。
 ライブドアの経営トップ、そしてその決算の監査に当たった監査法人の責任は免れません。日本の企業人の倫理性が問われる事件と発展してきました。
ライブドアの上場廃止を示唆…東証・西室会長兼社長
読売新聞(YOMIURI ONLINE)
 東京証券取引所の西室泰三会長兼社長は18日の記者会見で、東証の新興企業向け市場(マザーズ)に上場しているライブドア、ライブドアマーケティングの株式について「上場規則への抵触が明らかな場合、上場廃止を決定せざるを得ない」と述べ、粉飾決算などの重大な不正行為が確認されれば、上場廃止を検討する考えを明らかにした。
 東証は、ライブドアの粉飾決算疑惑が報道されたのを受け、同日朝の取引開始時から一時、ライブドア株の売買を停止して、ライブドアに事実関係の開示を促したが、ライブドアは「関係事実の調査、把握に全力を尽くし、解明次第報告する」とのコメントを発表するにとどまった。
 西室会長は、これについて、「現状程度の(ライブドアの情報)開示が続くようなら、何らかの対応を考えざるを得ない」と述べて、情報開示の側面からも、ライブドアの上場廃止を検討せざるを得ないとの考えを示唆した。
 東証は、ライブドアに対し、20日までに事実関係を明らかにするよう文書で要請した。
 東証のトップが、個別企業の上場廃止に関して、踏み込んだ発言をするのは異例だ。仮に上場が廃止されれば、ライブドアの資金調達などに大きな影響が出ることになる。
 ライブドアグループは、東京地検特捜部から証券取引法違反(偽計、風説の流布)の疑いで捜索を受け、ライブドアには2004年9月期の経常利益を粉飾した疑いも出ている。公益や投資家保護の目的に反する風説の流布や、有価証券報告書の虚偽記載にあたる粉飾決算は、いずれも東証の上場廃止基準に抵触する。
 すでに東証は、ライブドア関係者などからこうした事実関係について事情聴取を進めている。今後は、東京地検の捜査の進展も見ながら、検討していくとみられる。
 東証は有価証券報告書への虚偽記載などを理由に、04年に西武鉄道、05年にカネボウを上場廃止にしている。