65年ぶりに焼酎(乙類)に条件付きで新規参入認める
 茨城県の特産物に「乾燥いも(干し芋)」があります。サツマイモを蒸して乾燥させた乾燥芋は、茨城産が全国の約9割を占めます。生産量は年間約5000トン。大部分はひたちなか市とその周辺で作られています。
 乾燥芋も製造する過程では、2〜3%程度の売り物にならない「くず芋」が発生します。単純計算すると、100トンもの芋が捨てられている計算になります。
 そこに目を付けたのが、那珂市の酒造会社・木内酒造です。「くず芋を使って焼酎が造れないか」と考えたのです。「干しいも焼酎はサツマイモよりも糖分が多い干しいもを使うため、芋焼酎よりも甘く、芳醇なものができるはず」と木内酒造取締役の木内敏之さんは、新聞社の取材に答えています。「今までは捨てていた干しいもの余り物の“くず”を使うため、資源の有効利用にもなる」と、もう一つの利点も挙げています。
 しかし、財務省は、酒税法の規定を根拠に米、麦、サツマイモ、そばを原料とする焼酎製造の新規参入を認めていませんでした。そのため、2004年11月、木内酒造は、ひたちなか市、那珂町、瓜連町、東海村を対象区域に、国の構造改革特区制度を利用して「乾燥いも焼酎特区」を提案しました。
 ところが05年2月、財務省から「特区として不可」という回答が伝えられました。「サツマイモは全国で栽培できる。特区構想の要望にすべて応じていたら、芋焼酎の市場に影響を与える」というのが理由でした。
 地域活性化のために焼酎市場を開拓したい乾燥いもの生産者と酒造会社、酒税法の運用に例外を作らせたくないとする財務省。この両者の溝が埋まらない状況が続いていました。
 地元生産者や酒造会社などの要望を受け、公明党は、地域振興と規制緩和の立場から、こうした「乾燥いも焼酎特区」構想の実現を推進してきました。
 こうした動きが結実し、谷垣財務大臣は2005年11月15日、本格焼酎(乙類)の製造免許の規制を緩和し、コメ、麦、サツマイモ、そばの主力4品種を主原料とする焼酎製造の新規参入を認める方向性を打ち出しました。
 特区での「乾燥いも焼酎」は実現しませんでしたが、条件付きながら、規制緩和による新規参入が認められたわけです。これは実に、65年ぶりにの快挙でした。
 新規参入は、‐特颪寮渋ぞ貊蠅ある市町村で生産されたコメやサツマイモなどを主原料とすること、∪渋ぞ貊蠅ある都道府県内で、既存メーカーの出荷量が消費量を下回っていること、製造数量は当分の間、年間100キロリットルを限度とすること、の3点が条件となりました。
 今年中にも茨城特産「乾燥いも焼酎」が味わえるかもしれません。
参考:乾燥いも(干し芋)を検索する
焼酎参入を解禁へ 乙類免許、65年ぶり 来年にも国税庁容認
朝日新聞(2005/11/15)
 谷垣財務相は11月15日、風味が強い本格焼酎(乙類)の製造免許の規制を見直し、米や麦、サツマイモ、そばを主原料とする焼酎の生産への新規参入について、06年にも条件付きで解禁する方針を明らかにした。実現すれば、この分野では酒税法が制定された1940年以来、初めて新規参入が実現する。
 国税庁が今後、消費者などの意見を考慮しながら新規参入の要件を定めた通達の改正案をまとめる。新規参入の条件は(1)製造場がある市町村で生産された米などを原料にする(2)製造場がある都道府県で、既存メーカーの直近3年間の出荷量が消費量を下回っている(3)1製造場当たりの上限は年間100キロリットル、の3点が骨子となる見込み。焼酎生産量が大きい鹿児島県や沖縄県など九州地方の6県は対象外とする方針。
 乙類焼酎の製造業者は約700で、国税庁はこれまで、主力原料となるイモなど4品種については過当競争を防ぐために新規免許を認めてこなかった。焼酎ブームの広がりで新規参入を求める声が強く、消費量も伸び続けているため、参入を認めても過当競争の心配がないことから、規制緩和に踏み切る。