東京地検特捜部は1月23日夜、ライブドア社長の堀江貴文氏ら4人を有価証券取引法違反(偽計、風説の流布)容疑で逮捕しました。
 関連会社「ライブドアマーケティング(旧社名:バリュークリックジャパン)」の企業買収に伴い、虚偽の発表をした疑いが持たれています。また、ライブドア本体の粉飾決算疑惑も浮上しており、特捜部は不正な株取引や利益操作の全容解明を進める方針といわれています。
 ほかに逮捕されたのは、グループ財務責任者でライブドア取締役・宮内亮治氏、バリュークリックジャパン社社長・岡本文人氏、ライブドアファイナンス社長・中村長也氏の3人。
 各マスコミによると、堀江容疑者らは2004年10月25日、バリュークリックジャパン社の出版社買収について、株式交換と株式分割を組み合わせ、同社の株価をつり上げて売却して利益を得る目的を隠し、通常の企業買収を装って発表した疑いがもたれています。まや、赤字だった、バリュークリックジャパン社の2004年1〜9月決算を黒字に粉飾し、11月12日、「7200万円の経常黒字」などと虚偽の決算発表をした疑いも持たれています。
 堀江容疑者らは、ライブドアが支配する投資事業組合を通じてバリュークリックジャパン社株を手に入れた後、高値で売り抜け、約7億円をライブドア本体に還流させていました。こうした仕組みは、宮内容疑者が考案し、堀江容疑者も了承していたことが、社内のメールなどの分析で判明しています。
 ライブドア本体が2004年9月期決算で、子会社の利益を自社の利益に付け替え、10億円前後の経常赤字を約14億円の経常黒字に粉飾していたことが指摘されています。さらに、同様の手口で関連5社の買収に伴い、株式交換を利用して自社株を売り抜け、利益を得ていた疑いも浮上しています。
 こうした東京地検の動きに、ライブドアニュースは、社内の生々しい反応をレポートしてしています。
堀江氏逮捕受け、社内の反応
残る役員が社員に説明

livedoor ニュース(2006/1/23)
「堀江貴文社長ら幹部4人逮捕」の一報を受けたライブドア本社(東京都港区六本木)では、別の幹部らが1月23日午後9時45分、オフィスで業務にあたっていた社員を集め、逮捕の事実を報告した。社員約150人は堀江社長の席を囲み、不安げな表情で幹部の説明に耳を傾けた。
 伊地知晋一副社長は、社員に対し「現取締役6人のうち3人が逮捕された。容疑は確認できていない」と説明。執行部人事を含む今後の経営体制や、逮捕された幹部への対応について、検討に入るとした。
 説明を受けた社員は、主にポータルサイトに関連する業務を担当している。社員からは雇用面への質問や、上場廃止、買収の懸念などの意見が出され、伊地知副社長は「会社はつぶれない。安心してほしい」と回答。「とにかく今行っている事業を続けていくことが大事」と呼びかけた。

 また、livedoorのインターネットポータルサイトでは、「当社取締役等の逮捕、今後のサービス運営につきまして」という記事を急遽掲載し、「これまで通りのサービス運営・拡充に努めてまいりますのでご安心ください」と、事態の沈静化に努めています。
当社取締役等の逮捕、今後のサービス運営につきまして
livedoor Blog 開発日誌(2006/1/23)
 各種メディアから報じられておりますとおり、本日、弊社代表の堀江を含む4人が逮捕されました。この報道を受け、今後のlivedoor Blogを含むポータルサイトlivedoorの各種サービスの運営につきましてご利用の皆様より多数お問い合わせをいただいております。
 先日告知いたしました通り、livedoor Blogを含むlivedoor全体のサービスにつきましては、ご心配されておりますようなサービス停止やサーバ差し押さえなどはございません。もちろんお客様が各サービスで保存されているデータの削除、押収もございません。これまで通りのサービス運営・拡充に努めてまいりますのでご安心ください。

 一方、堀江社長のブログ「livedoor社長日記」には、大量のコメントやトラックバックが寄せられ、事件への関心の高さが窺われます(2006/1/24 1:25現在で、コメントが5129件、トラックバック289件)。堀江氏の経営に対して激しく糾弾する内容や堀江氏に対する同情、激励などが交錯した内容となっています。
 堀江氏の逮捕については、「出る杭は打たれる」とか「耐震偽装問題のすり替え」などとの意見もありますが、非合法の株価操作があったとしたならば、その責任は重く逮捕拘留は当然の結果です。この事態で、ライブドアグループも存続の危機に瀕する事態となることも必至です。一般投資家や一般社員、そしてライブドアの利用者への影響ができるだけ小さくなることを祈ります。