住宅公社460億、土地公社98億円の債務超過に

 2月14日、県議会・県出資団体等調査特別委員会が開催され、橋本昌県知事は、茨城県住宅供給公社(住宅公社)、茨城県土地開発公社(土地公社)、茨城県開発公社(開発公社)などの資産状況を明らかにしました。
 この3公社は2005年度決算から減損会計を導入しました。資産として保有している土地などを新たに時価評価した結果、06年3月末時点で、558億円まりの債務超過となる見込みを公表しました。債務超過(さいむちょうか)とは、債務者の負債の総額が資産の総額を超える状態です。3公社は、今まで資産(土地)の評価が購入時の高い金額で評価されていたため、その資産を処分すれば、負債を返済できるとされてきましたが、時価評価で見直したところ、負債を清算できない状況が明らかになったものです。
 住宅公社の資産は、簿価で約791億円でしたが、時価評価では約281億円しかなく、約510億円の評価損が発生します。県や民間金融機関などから約750億円の借入金があり、すべての土地を処分しても約460億円の債務が残る(債務超過)計算になります。住宅公社は、民間の金融機関から798億円強の借り入れを行っており、その内594億円に対して県が損失補償をしています。住宅公社は、10年間で保有している土地を処分し、めどが立った時点で自主解散の手続きを進めます。
 土地公社は、06年3月末時点で、60億円の評価損が発生し98億円の債務超過になる見通しです。借入金は1118億円。県の債務保証金額は1080億円にも達します。5年をメドの保有する土地を処分し、2008年度に法人格は残しながら開発公社と一体化します。
 開発公社も90億円の含み損が生じる見通しですが、こちらは内部留保金(利益の蓄積)が154億円あるために、これを取り崩して処理することになります。
 住宅公社と土地公社は、民間金融機関からの借入金について、県が債務保証または損失補償する契約を結んでいるため、金融機関の債務放棄は困難です。そのため、橋本知事は、「県が無利子で貸し付けるなどして、損失を負担せざるを得ない。2006年9月までに、補正予算を計上したい」と語り、「県民に負担をかけて申し訳ない」と謝罪しました。知事自身の責任については、「給与のカットや退職金の一部返上など、他県の例を採用したい」と話しました。
県出資団体等調査特別委員会に係る橋本昌茨城県知事臨時記者会見要旨
この資料は、県政記者クラブとの臨時記者会見の発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課:平成18年2月13日(月曜日):庁議室)
知事:今日、県議会出資団体等調査特別委員会で精査団体とされた団体について、いろいろと考え方を述べてまいりました。その中で大変大きな債務超過団体もでておりますところから、そういったことについて、私の方からここで発表をさせていただきたいと思います。
 まず、保有資産の時価評価の早急な確定、正確な財務内容の把握ということを緊急に対応すべきことがらとして指摘をされていたところでございますけれども、委員会で配布された資料がお手元にいっていると思いますが、住宅供給公社の場合にはこの8ページに書いておりますように、510億円の評価損が出てきて、その結果、債務超過額が460億円となってまいります。
 次に土地開発公社でございますけれども11ページを御覧ください。再評価の結果、60億円の評価損が出てまいりまして、債務超過額が97億円余ということでございます。それから開発公社につきましては、評価損は90億円ほど出てまいりますものの、内部留保が154億円あることから債務超過とはなっていない状況にございます。こういった形で3団体のうち2団体については債務超過となっておるわけでございますが、その他、例えば鹿島都市開発(株)などにつきましては現在精査中でございまして、いろいろ公認会計士さんのご意見を伺いながら、最終的な結論を出すべく作業を行っている最中でございまして、減損の有無あるいは減損がある場合の額の確定に向けての作業をしておるところであります。現在、経理面ではこういう状況でございます。
 それから、次に抜本的見直し策の決定等につきましては、土地を早期に処分することをはじめとして、それぞれの団体の状況に応じた説明をいろいろ行ってまいりましたし、計画的な改善策についても同様でございます。それから県関与の見直し等につきましては、人的な関与ということにつきまして、できるだけ県退職者の出資法人等の役員への就任については縮減していくということを申し上げたところでありまして、特に、例えば鹿島都市開発(株)の会長職とかそういったものについては、早速改善をしてまいりたいと思っておりますし、それから住宅供給公社につきましても今、臨時的に現在の状況に対処するために、理事長、副理事長という体制でありますけれども、これも1年前後で理事長、副理事長の二人体制は解消していきたいと思っております。
 それから組織をどうするかという問題でございますが、これにつきましては、土地開発公社と開発公社については実質的に一体化を進めてまいりたいと思っております、ただ、租税特別措置法の関係などで土地開発公社は法人としては残しておかなければいけませんので、これは残させていただくことを考えておるところであります。また、(株)ひたちなか都市開発につきましても、港湾の振興とその後背地をどうするかということは大変に関係の深いことでもあり、茨城港湾(株)の中で一緒に事務的な作業なども行っていけると思いますので、この合体もこれから進めていきたいと思っております。
 (本日の調査特別委員会では、)そういう状況をおおむね申しあげたところでございまして、後は皆さんからご質問を受けてこちら側の考えを述べさせていただきたいと思います。以上です。
読売:住宅供給公社についてなんですけれども、その債務超過460億円なんですが、具体的にどういうふうに処理されていくのでしょうか。
知事:債務超過の解消策については、これからいろいろと金融機関と協議をしていきたいと思っております。
読売:ただこれ県が、民間金融機関からの借入についてはほとんど損失補償しているわけですよね。そうすると債権放棄などは難しいかと思いますが、どういう面で協力を求められるのでしょうか。
知事:まず、融資するかどうかから始まって、いろいろと協力をお願いしなくてはいけない面があるわけです。
読売:もう少し具体的にお話いただけますか。
知事:それは債務超過ということになりますと、極端な場合にはすぐ貸付金の引き揚げとかいうことも考えられるわけでありますけれども、そういった形ではなくて、あくまで県と金融機関でこれからいろいろと協議をするなかから、どうやればスムーズに問題を解決していけるかということについて協議をさせていただきたいと思います。
読売:あと、知事が委員会でおっしゃられましたが、住宅供給公社の宅地の売却の目途がついた段階でですね、自らの責任を明らかにされたいという事だったのですが、これも具体的にはどういうふうな責任のとりかたというのは(何か考えておられますか)。
知事:これからどういう形になるか分かりませんけれども、どちらにしても県が処理しなければならない債務超過相当額、先ほど申し上げた460億円、これについては住宅供給公社に対し、県が(一時)借り入れて無利子貸し付けを行うといった形になると思いますし、再評価後の資産分約280億円については、金融機関に対して引き続き融資をお願いするという形になると思いますが、こういったことをやっていくにあたりまして、先ほど申し上げたような金融機関などとの協議をしていく。その結果まとまった段階でどういうふうに責任を取るかということについては、かつて住宅供給公社に勤めておられた方々も含めて検討をしてまいりたいと思っておりまして、他の県の例なども参考にしながら決定していきたいと思っております。
読売:そうすると具体的には当時、過去に理事長とか理事にあられた方々について経営責任を問うということですか。
知事:どのくらいまで問えるかということも含めて、法律の専門家とも相談もしていきたいと思っています。
読売:ただその損害賠償を求めるにあたって、ご存じだと思いますけれど時効の問題もありますよね。これからまた先、目途がついた段階でとなると時効の問題もありますし…。
知事:どちらにしても、もうあと数ヶ月のうちにはきちんと金融機関との協議が整わなくてはいけませんから、そんなに長い期間ではありません。
読売:年度内ということじゃなくてですか。
知事:年度内にはあと1ヶ月ちょっとしかありませんからまとまらないかと思います。
産経:それが終わった時点で知事がまた自分の責任問題についてご説明される、そういうお考えなのでしょうか。
知事:はい。
共同:ちょっと、もう一度確認なんですけれども、金融機関との協議の中で、債権放棄は求めないということでよろしいのでしょうか。
知事:債権放棄を求めるかどうかは、損失補償をしているということもあって、かなり難しい問題であります。ただ、金融機関との協議がどうなるかということについては、これから取り組んでいくところでありますので、まだ、どうするかとか、そういったことについては決定している段階ではございません。
日経A:損失補償をしている関係で、現実に債権放棄は難しいとしても、お願いはするわけですね。
知事:これから検討してまいります。
共同:中心となるのは、融資の継続とか、新たにその460億円分を県が借り入れる、そのへんが協議の中心になるんでしょうか。
知事:460億円についてどう処置するかは、これから財政上のいろいろな方法を検討していきたいと思っております。280億円については、これは間違いなく金融機関に対し引き続き融資をお願いしていかなければいけないと思っております。それから、その時に、例えば、金利をいくらにするかとか、いろいろな問題もございますし、どういうかたちで金融機関から協力していただけるのか、今日も委員会の中で、議員の皆さんのほうからも様々な提案もあったわけでありますから、こういったことなども十分検討していかなければいけないと思っております。
共同:この460億円の債務超過分のための財源を確保するにあたって、起債というのはできないのですか。
知事:土地開発公社の場合については、いろいろと国のほうで手当てを考えているようで、今それに向けての準備を進めているところでありますけれども、住宅供給公社については既に他の県でいくつか先例があって、その段階で国としての支援策を打ち出していないものですから、国のほうではそういったことを考えていないようでありまして、我々としても起債というのは、かなり難しいのかなと思っております。
日経A:債権放棄が全く実現しない場合ですね、460億円、無利子貸付で、そっくりそのまま県民の負担になってしまうという捉え方でよろしいわけですか。
知事:債務超過相当額の460億円については、そういうことになってまいります。
東京:事業凍結中の6団地、これも今後10年間で再開するという話ですけれども、この分の新規の事業費というのは、今後県から無利子貸し付けの対象になるのでしょうか。
知事:これらについてはですね、今日も委員会の中で説明しましたが、例えば、西十三奉行団地とか、北条団地、プロヴァンス笠間といった団地については、それぞれ幹線道路などの基幹インフラは、もう整備されていますので、関係市町村と早急に土地利用の見直しを行って、企業誘致なども含めた処理策に努力していくということであります。水戸ニュータウン2期・3期、あるいは、大貫台については、まだ造成にも着手しておりませんので、県や地元市町村における公共施設としての利活用などについても検討してまいりたいと考えておりまして、新たに、そういった大掛かりな事業費を投入することは考えておりません。
日経A:住宅供給公社の分譲中団地の処分方針でですね、販売目標戸数というのが立てられていて、平成17年度、160戸の販売目標数なのですが、17年度まもなく終わるわけですけど、そちらは順調に進んでいるのでしょうか。
知事:今のところ(処分見込みは)128戸でありまして、すこし少ないかなという状況ではありますけれども、これからさらに努力をしていきたいと思っています。
日経A:これは順調にいっての前提のうえですけど、10年間目途ですべての土地を処分するという中で、目途が立った時点で自主解散の手続きを進めるといいますけど、目途が立った時点というのは、10年を待たずにと捉えてよろしいのでしょうか。
知事:いや、それは、10年以内に、そういう時が来てくれれば、我々としてはたいへんありがたいわけですけれども、努力をしていって、その結果大丈夫だということになった段階で、考えていきたいと思います。
日経A:目途が立つというのは、処分が終わるという意味ではなくて、この後、例えば2年か3年で処分が終えられそうだという見込みをつけた時点で解散という理解でよろしいですか。
知事:いや、解散ですから、全部処分終わらないと、どちらにしてもできません。どこかに引き継ぐとかなんとかできれば別ですが。目途が立った時点で自主解散の手続きを進めるということを申し上げたつもりで、直ぐ目途が立った時点で自主解散というわけではありません。
読売:金融機関との協議というのは、まだ始めてないのですか。
知事:本格的な協議はこれからです。
読売:民間の金融機関というのは、地元の常陽銀行が中心かと思うのですけれども、債権放棄を求めるとなった場合ですね、もちろん地元経済への影響というのがこの額だと計り知れないと思うのですが。
知事:それは、これからいろいろと話しをしていく中で決定されてくることと思います。
日経A:金融機関というのは、ちなみに何機関から借り入れているんですか。
知事:6行です。(地元が3、都市銀行が2、それから住宅金融公庫です。)
東京:各個別の団地の簿価と時価を比べますと、住宅供給公社の凍結中の6団地など5分の1以下になっているところもありますけれども、果たして当時買った金額、その金額そのものが妥当だったか。経営責任で、売れる見込みが無くても買ったということもあると思うのですが、果たしてこの簿価というものは当時の実際の価格よりも若干高めになっているとか、そういうことも含めて評価はされていないのでしょうか。
知事:当時、かなりのバブル期であり、いい土地があったらできるだけ買っておこうという感じはありましたから、(買収した額が)若干高めということはあるかもしれませんが、極端に高めということはないと聞いております。
読売:いい土地だったら買っておこうという考えがあるということですか。
知事:いい土地ということでなくても、土地があれば何でも当時は買っておこうというムードがありましたから。
東京:さきほどの特別委員会でも指摘がありましたけれども、住宅地として向かないようなところもいくつかあるという話がありました。そうなると、知事は地元の要望で住宅の開発を進めてきたということをおっしゃっておりましたが、当時の住宅供給公社のほうの誤りというか、認識の甘さというか、あるような気がしますけれども。
知事:そう言われれば、時代を読み切れなかったという意味では失敗したということは言えるかもしれません。ただ一方で、それぞれの地元等からの要望もあって、そういったところを是非早期に買っておいてほしいということになると(そういうやり方に)なってしまったのかなという感じで見ております。
読売:当時の住宅供給公社の幹部にも、今後損害賠償請求していくということを検討されるのですか。
知事:法律的には、損害賠償という形で請求していくのは難しいと聞いています。
読売:例えば千葉県住宅供給公社のように、任意である程度退職金を返して欲しいとか、そういう形で協力を求めていくということになるのですか。
知事:もうちょっときちんと調べなければいけませんけれども、我々が内々で何人かの弁護士に聞いている範囲では、法律的に責任を求めていくのはバブルがはじけるという事態などを誰が予測できたかということも考えると、なかなか難しいのかなと言う感触を得ております。いずれにしてもこれからどうするかということは協議をしていきたいと思います。
朝日:減損会計が入ってこういうことになったと思うのですけれども、土地の評価自体というのは以前からやろうと思えばできたと思うんですね。もうちょっと早くやっていればまた別の側面があったということも言えると思うのですが。この時期にやられてこの金額だったことに関してはどうお考えですか。
知事:もっと前にやっていれば、その後また下落傾向が続いておりますから、(土地の再評価を)またやらなくてはいけないというような土地も出てきたかもしれません。私としては(土地の評価が)ある程度下げ止まり感、あるいは場合によったら今後は上昇するのかなというような状況になって今やっているということについては、ある意味ではいいタイミングになったかなと思っております。これまでも我々としては、売れるのであれば積極的に売りたいということで売るための努力はいろいろしてきたけれども売れなかった。そういう中で土地もどんどん値下がりしてきたということでありますので、今お尋ねのように前にやっていれば防げたということは考えにくいのではないかと思います。
日経A:今回、県民にかなりの額を、少なからぬ負担を求めなければならないという訳で、県民に対してどう理解を求めていくのですか。県が勝手に土地を開発したのにこれは何だという人達も多分いるでしょう。そういう方々に対してどういうふうに理解を求めるのか。これこれこういう訳だからという県民に対する言葉をお伺いしたいのですが。
知事:当時、県内で開発計画もご存じのようにたくさん持ち上がっていました。例えば、常陸那珂港や北関東自動車道がそうでありますし、あるいは常磐新線などの計画もあったという中で住宅も整備をしておかなくてはならない。あるいはまた土地を買収するための代替地も準備しておかなければいけないとか、いろいろな課題を抱えておる中でややもすれば買い急ぎということもあったのかもしれません。しかし、結果的にどういった理由があるにせよ、こういった大変大きな債務超過ということになってしまっている訳でございまして、県民の方々には本当に申し訳ないと思っているところであります。
朝日:後で検討して決めるというお話があった責任問題ですけれども、知事ご自身の部分でいうとどういう選択肢があるというふうにお考えですか。
知事:他県の例などを見ておりますと、例えば給料をかなりの程度引き下げるとか、退職金の一部を返上するとか、いろいろな形があるようでありまして、私どもとしましても、そういった他県の例を参考にして、県としてもこういった事態を引き起こすに至る過程で指導監督責任が当然あった訳ですから、きちんと責任を取ってまいりたいと思っております。
IBS:460億円を県が借りて無利子で貸し付けるということを、さきほどお話されていましたけれども、これは利子だけで県が負担するのはどれくらいになる見通しなんですか。
知事:県が借りてという形ではなくて、県の歳計現金の中からやるような形になってくると思います。起債の対象にならないものですから、そういう形しかないと思っております。
日経B:無利子貸付けの部分について、460億円は、例えば何年度かに分けて貸し付けていくのか、それとも来年度一括とか。
知事:一括貸付けです。
日経B:18年度予算に計上するということですか。
知事:18年度の補正予算になると思います。これからしっかり解決方策を協議して決定した後に、措置していくことになると思います。
朝日:来年度のいつごろまでに大枠を決めて、県民に説明をするような形になるのでしょうか。
知事:交渉事ですので、いつになるかははっきり申し上げられないのが現状でありまして、我々としてはかなりきつい交渉になるかなと覚悟しております。
朝日:少なくとも18年度中には…。
知事:もちろん。できるだけ早く解決して、一番早く補正予算を審議する議会は9月でありますから、その前には解決に持っていきたいと思っております。
日テレ:県民への負担という部分ですけれども、過去の経営責任の部分で法律的に問うことが難しいケースもあるということをおっしゃっていますが、チームなりを作って自主的にというか、当時の経営者として役員、若しくは課長以上なり、一般の職員も含めて当時の退職金を返納するなりというお考えはありませんか。
知事:それは自主的な話ですから、こちらから仕掛けるという話ではないと思います。
他の都道府県でそういった例もありますから、どういう動きが出てくるかはこれから次第です。
日テレ:そういう自主的な動きがないようだったら県の方から班を作って、特別チームを作るなりして働きかけをしていくということをお考えになりますか。
知事:そこはこれから検討したいと思っております。私ども県の執行部につきましては、私が率先してきちんと責任を取る形を取りたいと思いますけれども、住宅供給公社の方については別法人でもありますからいろいろとそちらでどういうことを考えているのか、これからすり合わせをしていく必要があるのだろうと思っております。