京成百貨店水戸新店 3月15日、水戸市泉町に建設が進められていた京成百貨店水戸新店が、17日のグランドオープンを前に、関係者やマスコミ、取引先などに公開されました。
 水戸の中心市街地は、江戸時代から水戸藩主徳川光圀により整備され、泉町はその商業地区の中核として繁栄してきました。戦後も、伊勢甚百貨店、志満津百貨店(現水戸京成の前身)の2大デパートを中心に、国道50号線沿線の水戸駅から大工町までの4kmの区間は、北関東最大の商業地域として繁栄を極めました。
 しかし、昭和40年代半ばより、市役所や県庁の移転、バイパス道路の整備、ロードサイド型専門店や大型ショッピングセンターの進出などにより、泉町地区の急激な地盤沈下が進みました。
 特に、旧ユニー、ボンベルタ伊勢甚、ダイエーなど大型店の閉店は、商都水戸の歴史にとって大きな損失となり、中心市街地の空洞化が懸念されていました。
 こうした状況の中、水戸市のコア機能を担う中心街の復活を目指して「水戸市中心市街地活性化基本計画」がまとめられ、平成13年より「泉町1丁目南地区第一種市街地再開発事業」が着手されました。この事業は面積1.7ha、総事業費179億円、国と茨城県、水戸市から66億5,000万円の補助金が支出されました。敷地面積9,600m2、地下2階、地上10階建て床面積78,200m2の再開発ビルと周辺道路の一体的な整備が行われました。
ルイ・ヴィトン、ティファニー、ロエベ、セリーヌの4つのショップ 京成百貨店水戸新店は、この再開発ビルのキーテナントとして出店しました。売り場面積は、旧店舗の2.6倍に及ぶ33,500m2、従業員は1,800人(社員、パート、派遣社員を含む)。広域商圏の中で地域一番店を確立し、人気ブランドの導入により郊外型大型ショッピングセンター(GMS)などとの差別化を図っています。
 1階東側には、ルイ・ヴィトン、ティファニー、ロエベ、セリーヌの4つのショップが県内ではじめて入店しました。全館的に、都心の百貨店にひけを取らないブランド商品が導入されました。既存の448ブランドに加え、県内初ブランドが87、水戸初が58、新規導入84と、合計で677ブランドの展開となりました。
 また、すべてのお客様に快適にショッピングが楽しめるよう、オストメイト対応の多目的トイレや完全分煙の休憩施設が設けられました。4連エスカレータによりどこからも上下階に移動できるなど、広くて安全な導線(通路)も魅力です。更に、4月1日よりは、地元常磐大学との連携による有料一時託児所「ナーサリーPoPo」もオープンし話題を集めています。
参考:京成百貨店水戸新店の導入ブランド一覧
特別内見会の模様 3月17日、井手よしひろ県議も京成水戸新店の特別内見会に参加し、店内を視察しました。さすがに、内外のトップブランドを一堂にそろえた品揃えは素晴らしく、きれいな内装などと共に、水戸市の新しい顔として十分に期待できる店舗になっていると思います。
 初年度の売り上げ目標は300億円ということですが、この目標を達成するには、どれだけ広域的にお客さまを迎えることができるかが鍵になります。品揃えはフルレンジとはいうものの、商品の価格帯はかなり高めに設定されています。私が、百貨店で働いていた当時のボリュームラインといわれていた価格帯の商品は皆無です。商品の違いがわかり、それ相応の出費ができる顧客層を動員することが望まれます。一昔前であれば、土浦やつくば、県西地区からも、動員が可能であったと思いますが、現状では、東京や柏地区への流出を止めることはできないと思われます。
 さらに、ブランド戦略により、百貨店の仕入原価率はかなり上昇しているものと思われます。都内の百貨店のように独自のマーチャンタイジングがおこなえて、リスクと共にある程度の利益率が期待できる店舗と異なり、ブランドなり、メーカーなりの商品戦略上の売り方しかできない京成百貨店のような店舗は、利益率の低減が懸念されます。
 今後、運営には大変なご苦労が伴うと思いますが、水戸の新たなランドマークとして、水戸京成百貨店の経営手腕に大きな期待がかけられています。