講演会の模様 4月21日東海村で、日本を代表する放射線治療医・中川恵一東大病院放射線科助教授、緩和ケア診療部部長による『放射線によるがん療法』と題した講演会が行われました。井手よしひろ県議も出席し、講演を拝聴しました。
参考写真 その中で、中川助教授は、日本の現状について、「先進国で最も放射線治療が行われていない国」と指摘しました。米国ではがん患者の3人に2人が放射線治療を受けるが、日本では4人に1人に止まっていると現状を説明しました。
 中川助教授によると、放射線治療の普及が遅れている原因として、専門医などのマンパワー不足が挙げられます。日本では医療施設に従事する医師は25万6668人(2004年末)いるが、このうち放射線科の医師は4780人(1.9%)にすぎません。その背景として、6割以上の医学部に放射線治療を専門とする教授がいないことが挙げられる。現在、医学教育を行う大学は80あるが、放射線腫瘍学の講座がある大学は筑波大学など12大学だけで、専門医が育ちにくい環境にあります。スタッフの不足も深刻です。医師と協力して患者に放射線を照射する放射線技師のほか、機器の品質管理に当たる理工系の専門家に至っては10人程度しかいないとされます。
 中川助教授は、講演の結びとして公明党が進める「がん対策推進法」に対し大きな期待を表明し、市民レベルでも放射線治療の充実を国に働きかけていく重要性を強調しました。
(写真上:講演をする中川恵一東大病院放射線科助教授、図表:中川恵一東大病院放射線科助教授の講演資料から引用)
参考:「市民のためのがん治療の会」の主張
 がん治療のなかで放射線治療の躍進が著しい。10年前には、がん患者の8人に1 人が受けていたが、現在3人に1人となり、10年後にはがん患者の半数近くが放射線治療を受けると予想されている。とくに、最近では、加速器工学の進歩によって、がん病巣だけを狙い打ちする「ピンポイント照射」が可能となってきた。がん患者の高齢化が進むなかで、がん治療の主役交代が予感される。しかし、まだまだ、放射線治療に関する十分は理解が広がっているとは言い難いのが現状である。放射線治療専門医が非常に少ないこと、専門の放射線技師が少なく、高精度な放射線治療を支える理工系専門家がほとんどいないこと、など、海外と比べて格段に、マンパワーが乏しい。これは、最終的には、がん患者の不幸につながる。
 私は、署名の上、以下の要望を政府に求めます。
  1)放射線治療の専門医と専門の放射線技師を増やすこと
  2)放射線治療の品質管理の専門家を育成すること
  3)放射線治療の診療報酬の適正化をはかること
  4)科学的で公正ながん治療情報を開示すること
  5)適正ながん登録のシステムを構築すること

参考:市民のためのがん治療の会