参考写真 7月7日午前、総務企画委員会の一行は、行財政改革に関するヒアリングの一環として、県の川島宏一最高情報統括監(CIO)より、業務改革と情報化関連施策の推進について説明を受けるとともに質疑応答を行いました。
 川島CIOは、茨城県土浦市の出身で筑波大学を卒業し、建設省に入省。建築物防災対策室課長補佐を経て、世界銀行東アジア大洋州局上席都市開発専門官などをつとめました。この3月から佐賀県の第2代目のCIOとして3年間の期限付きで、IT政策の舵取りにあたっています。
 佐賀県のCIOは各部局の総合戦略を企画立案する統括本部内に位置づけられ、全庁的に幅広い権限をもっていることが特徴です。茨城県ではCIOの位置づけが、企画部の中の部長級であることと比較するとその相違が明らかになります。その上で、CIOは3箇条9項目のミッション(設置目的)が明確化されています。
佐賀県のCIOミッションの3箇条9項目
1.1 全国最先端IT県庁の実現
1.2 県職員のITスキルの向上
1.3 全国最先端のポータルサイトの構築
2.1 ブロードバンド接続可能率100%の達成
2.2 ブロードバンド接続率50%の達成
3.1 チャレンジドだれでもパソコン10カ年戦略の支援
3.2 県内企業のIT高度化の支援
3.3 県内IT関連企業の育成

佐賀県の川島宏一最高情報統括監 例えば、「全国最先端のIT県庁の実現」の項目では、総務事務効率化センターの整備が進められています。休暇の申請や出張の申請・精算、給与の支払いなどの総務事務の多くは、各部署ごとに総務や庶務担当者が配置され事務処理にあたってきました。佐賀県では、各部門のそのような担当者を廃し、ネットワーク上で処理するシステムを構築しました。また、出張の行程計画や切符の手配、給与の計算や社会保険等の算定など外部委託が可能な業務は、積極的に民間へのアウトソーシングを行いました。その結果、100名の人員が削減され、IT化投資を差し引いても3億5000万円の経費が節減されました。
 また、「全国最先端のポータルサイトの構築」では、民間評価(具体的には日経BP社の評価)で全国トップクラスの評価を得ると言った非常に具体的な目標が明示されています。
 今年4月からCIO制度を導入した茨城県にとって、2期目(4年目)に入った佐賀県の取り組みは大いに参考になります。
[公費の行方・IT調達の闇]情報化担当「お目付け役」、導入まだ半数
読売新聞(2004/12/7付け朝刊) 
◆地方の役所、食い物
◆「明細なし見積書」続々 入札改革したら“脅し”
中央省庁のIT調達をめぐる不透明な支出や随意契約が問題となる中、年間6000億円規模の予算が投入されている地方自治体でも、「ITゼネコン」の不当な請求をいかにチェックするかが喫緊の課題になっている。中央省庁と同様、ITの専門家らが調達の監視役になるCIO(情報化統括責任者)制度を導入する自治体は増えてきているが、約半数の都道府県や市町村は対応が追いついていないのが実情だ。
佐賀県のCIOを務める井坂明さん(51)は昨年十一月(2003年11月)、IT調達のお目付け役として、東京のコンサルタント会社から同県に招かれた。早速、2004年度の情報システム関係の予算要求の妥当性を査定したところ、資料の中に明細のない見積書が多数見つかった。「○○システム一式、×千万円」としか書かれていない。大半が大手IT業者が作成したものだった。
井坂さんは、業者に明細を出させるよう担当職員に指示。提出書類を再度チェックしたところ、パソコンなどの代金を市場価格とはかけ離れた定価で算出していたり、ソフトの組み込み費用を高く設定していたりするなどの問題点が、いくつも見つかった。中には、県が要求していない機能を勝手に組み込んでいたケースもあったという。
こうした業者側の不当な請求を一つひとつチェックしたうえ、各課で行われていた無駄な重複投資も見直した結果、今年度、要求の出ていた約52億円の予算のうち8億9000万円の削減に成功した。井坂さんは「これまでチェックできていなかった行政の責任もあるが、詳しい資料を出さず、説明しようとしない業者にも問題がある。『役所はどうせ分からないだろう』という発想があるに違いない」と指摘する。