クリックするともっと大きな画像を表示できます 日立駅前広場には、工都日立のシンボルとして日立製作所が製作した原子力発電所用の大型タービンの試作機が、設置されています。
 直径5.4メートル、翼長1.3メートルあまりの巨大タービンは、その大きさのみではなく、精緻な製造技術で組み上げられ、日立の玄関口に大きな存在感を示しています。
 しかし、このタービン設置には当初より異論が唱えられていました。その主な理由は、タービンを作製した日立製作所は原発メーカーとしての基本的資質に欠けるという主張であったと記憶します。
 その批判がここに来て違った意味で噴出してきています。全国紙の報道によると、市民団体と共産党日立市議団が、「日立駅前の原発用タービン羽根モニュメントの撤去を求める申し入れ」を樫村千秋日立市長あてに行いました。申し入れ書は、中部電力浜岡原発5号機と北陸電力志賀原発2号機で相次いだタービン羽根破損トラブルに触れ、「原発のタービン羽根試作品が日立駅前にモニュメントとして飾ってあることは、誰よりも日立製作にとって恥ずかしいことであり、日立市にとっても体面と見識を著しく損なうもの」と、しています。
 こうした批判を聞くと、我がまちを愛するということはどういうことなのか、考えさせられます。確かに、今年に入って起きた2件のタービン損傷事故は、放射線漏れ等の最悪の事態には至らなかったようですが、電力事業者の操業計画に深刻な影響を与え、総額で1000億円以上の損害が発生するともいわれます。
 私は個人的な見解ですが、こうした深刻な状況の現在、日立の発展を支えた地元企業に対しても敵対的な視点ではなく、同じ町の住人、隣人としての視点で接することが大事ではないかと考えます。2度とこのような失敗を繰り返さず、「技術の日立」との信頼をもう一度取り戻してほしい、私は日立駅前のモニュメントを見るとき、そのような思いになります。
 日立再生のシンボルとして、あのタービンはそのまま設置し続けて良いのではないでしょうか。