9月5日、政府は公共サービスの担い手を官庁と民間の競争入札で決める市場化テストの基本方針を閣議決定しました。国民年金の保険料徴収や管理職経験者の再就職支援など9事業を対象とし、今年中に入札を開始。07年4月から事業が順次始まり、国民へのサービスを官民が競い合う体制が本格スタートすることになります。
 8月13日付けブログ「政府、11の事業で来年度から市場化テストを実施」で紹介した11事業の内、9事業が正式に市場化テストを行うことが決定され、「お役所仕事」に、民間企業を参入させることにより、サービス向上や事業の効率化を進めることを目指します。7月に市場化テストを進める「公共サービス改革法」を施行され、民間事業者が落札した場合、1〜3年程度のテスト期間を経て、問題がなければ完全に民間に移管されます。政府は年内にも対象事業を追加し、民間の参入機会を広げる考えです。
 年金保険料の徴収は、社会保険庁と民間が未納者からの徴収を増やすための提案や、徴収のための費用試算を示して競争します。再就職支援は、管理職や専門技術者に職業紹介する「人材銀行」やセミナー事業が対象となり、若者向けの職業体験事業、総務省の統計調査、登記業務なども入札で官と民が競うことになります。
 基本方針では、事業を落札した企業が下請けに一括して再委託する「丸投げ」は禁止しました。民間が落札した事業に携わっていた国家公務員は、他の業務に配置転換します。
 政府は入札で事業計画や費用を比べ、対象事業には、達成の度合いがはっきり分かる数値目標などの目安を設定します。入札で決まった事業者については、仕事の質などを事後、詳しく点検します。
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