霞ケ浦浄化や森林保全に活用、来年3月に県議会に条例案提出か
 茨城県は、森林整備や湖沼の水質浄化のための財源として、新たな県税「森林環境税」の導入を検討しています。
 橋本昌知事は「森林保全や霞ケ浦の浄化のため、早期に検討したい」と前向きな考えを県議会で示していますが、12月の県議選前には、具体的な使途や金額などの具体的な議論に入ることは避けています。
 県では、来年3月の県議会に条例案を提出し、2008年4月から導入したい意向です。
 森林環境税は、個人、法人の県民税にそれぞれ上乗せして徴収されます。個人は、年間500〜1000円、法人は定率で県民税の5〜10%になる見通しです。県の試算では、新税による年間の税収は個人から約6億5000万円〜13億円、法人から約1億4000万円〜2億8000万円となります。
 県が環境対策のための新税導入に踏み切る理由には、霞ケ浦の水質浄化が遅れていることや、森林の荒廃が深刻な状況にあることが挙げられます。05年度の霞ケ浦の水質は、汚れを示す化学的酸素要求量(COD)が1リットルあたり7.6ミリグラムで、測定開始の72年度から30年以上、国の基準(同3ミリグラム)をクリアできていません。流入河川周辺の住宅への浄化槽設置を推進するなど水質保全計画を進めるが、抜本的な改善策がないのが現状です。
 一方、森林整備も厳しい状況にあります。輸入材の増加による木材価格の下落などで林業を取り巻く環境が悪化しており、所有者だけによる森林整備が困難となっています。
 環境保全が目的の税は、高知県(03年度)をはじめ現時点で計16県が導入しています。神奈川県など3県はすでに条例を制定しており、07年度から実施する予定です。
 県には、現実味のある環境保全案や財政改革案を示すなど、導入意義が県民に理解される明確な説明が求められます。単に「環境を守る」だけでは、県民の納得を得ることはできません。
 具体的にこのような事業を行い、こうした成果を挙げるために、県民からこれだけの負担をいただきたい、との明確な説明が不可欠です。
○森林環境税の創設について
橋本昌県知事の記者会見より(2006/9/1)
毎日新聞:昨日、森林環境税の実現に向けての関係団体からの要望書が出たのですが、この導入について知事はどのようにお考えか、あるいは、検討はあるようですので、どんなスケジュールでお考えとか、方法とか、何か現時点でのお考えがありましたらお願いします。
橋本知事:まだスケジュールまで考えているわけではありません。ああいった形で大変熱心に森林保全に努めなければいけないという強い意見がありますが、一方では新たな県民負担を求めることになってまいりますので、その辺の調和といいますか、どういうふうにあわせて考えるかということについては議会と十分に相談していきたいと思っております。県議選を目前に控えていますので、その直前に森林環境税について云々ということはなかなか難しいと思います。