10月26日、公明党の政務調査会は、多重債務者の増加防止へ、貸金業規制の強化で利用者を保護することを目的とした貸金業法案(貸金業規制法改正案)を了承しました。今月31日に閣議決定され、この臨時国会に提出、成立する予定です。
貸金業法案のポイント
◎上限金利引き下げ
◎返済能力超える貸付禁止
◎借入額把握へ信用情報機関を整備
◎ヤミ金への懲役刑引き上げ

 貸金業法案では、出資法で定められた上限金利(29.2%)を利息制限法(15〜20%)と同水準の20%にまで引き下げ、両法の上限金利の間にあったグレーゾーン(灰色)金利を撤廃。20%を超える金利を設定した場合は刑事罰の対象とすることにしています。
 また、過剰貸付の抑制に向けた総量規制では、貸金業者に借り手の返済能力の調査のほか、1.一社からの借入残高が50万円超、2.総借入残高が100万円超――となる場合に、借り手の年収などを示す資料の取得を義務付けます。調査の結果、総借入残高が年収の3分の1を超える場合など、借り手の返済能力を超えた貸付は禁止します。
 さらに、信用情報の適切な管理など一定の条件を満たす信用情報機関を国が指定し、貸金業者が借り手の総借入額を把握できる体制を整備することとしています。
 ヤミ金融対策では、超高金利(109.5%超)の貸付や無登録営業などに対する罰則を強化し、懲役刑を5年から10年に引き上げます。貸付の際、借り手の自殺により保険金が支払われる保険契約を締結することも禁止しました。
 一方、貸金業者の参入条件については、必要な純資産額を5000万円以上(現行は、300〜500万円以上)に引き上げ、業界の健全性向上をめざします。
 上限金利の引き下げや総量規制は、公布から概ね3年を目途に施行されます。
 少額・短期融資に限って高金利を認める特例の導入や、利息制限法の上限金利区分の見直しは、公明党の主張を受け、当初の案から削除するとともに、金利規制のあり方については、法施行2年半以内に検討することとしました。