平成19年度予算編成で児童手当の乳幼児加算を具体的に検討
 12月8日、公明党が強く主張する児童手当の充実について、北側一雄幹事長と安倍晋三首相、塩崎恭久官房長官が会談し、乳幼児加算を実現する方向で具体的な財源調整を行うことで合意しました。
 現在、児童手当は、第1子と第2子が月5000円、第3子以降が月1万円。サラリーマン(夫婦と子ども2人の標準世帯)の場合、年収860万円未満の世帯に支給されています。
 政府の少子化社会対策会議が6月にまとめた「新しい少子化対策について」では、乳幼児加算の創設を盛り込み、07年度予算編成過程で財源の検討を進める方針を示していました。
 乳幼児加算で第1子、第2子の手当を倍増し、3歳未満は1万円とする場合、約1650億円(事業主820億円、国260億円、地方570億円)の財源が必要といわれています。
 公明党は、児童手当の拡充を一貫して主張してきました。4月にまとめた「少子社会トータルプラン」では、対象年齢の拡大や給付水準の倍増、低年齢層からの段階的な拡充を掲げました。
 児童手当は公明党の連立政権参加後、4回の制度改正で、対象人数が241万人(1999年度)から1310万人(2006年度)へと5.4倍に拡大されました。
 対象年齢は、3歳未満だったものが、今年4月から支給対象を小学校修了前(6年生)までに引き上げ。所得制限も緩和され、ほぼ10人中9人が受け取れるようになりました。
乳幼児向け児童手当を増額へ 尾身財務相表明
読売新聞(2006/12/8)
 尾身財務相は12月8日の閣議後の記者会見で、乳幼児(0〜2歳)向けの児童手当を07年度から増額する考えを明らかにした。07年度予算で、政府の少子化対策の目玉にする。現行の手当(月額5000〜1万円)を倍増する案を軸に検討しているが、財源が確保できない場合は増額幅が縮まる可能性もある。
 児童手当は現在、第1子と第2子が月5000円、第3子以降が月1万円。年収860万円未満(サラリーマンの場合)の世帯に支給されている。
 政府は7月に閣議決定した「骨太の方針06」で乳幼児がいる家庭に経済的負担の軽減策を講ずる方針を盛り込んでおり、これに沿って来年度から児童手当の「乳幼児加算」を設ける。
 尾身財務相は手当増額の財源について「シーリング(概算要求基準)の枠内で、既存経費の節減でやる」と述べ、児童手当以外の厚生労働省予算の削減を中心に財源を捻出(ねんしゅつ)する考えを示した。
 手当を倍増させる場合は約2200億円の財源が必要で、内訳は国が約360億円、地方が約770億円、企業が約1080億円。別経費の削減には厚労省が難色を示し、負担が大きい地方や企業の反発も強いため、確保できた財源によって増額幅を決める方向だ。
 政府内では、成人した扶養家族がいる世帯向けの所得税の扶養控除を縮小して児童手当の財源に回すことも検討されていたが、自民党税制調査会が難色を示していた。
 安倍政権は07年度予算で歳出削減を優先する方針を示しているが、出生率の低落傾向が止まらない中で児童手当の増額を見送れば、「少子化対策が後退した」との批判を浴びかねないと判断した。ただ、政府内には、手当増額が出生率向上にどの程度効果があるか疑問視する見方もある。