地球温暖化の影響で、北極海の氷が消えるといショッキングなレポートが、相次いで公表されました。
 一つは、12日5日、ドイツ北部のブレーメンで開かれた欧州の北極調査機関DAMOCLESの会議で、メンバーであるアルフレッド・ワーグナー研究所のエバーハルト・ファルバッハ氏が発表したもの。それによると、2080年までに北極海の氷原が完全に解けてしまう可能性があると警告されています。
 ファルバッハ氏は、状況が予想通りに進めば、2080年までに、夏季には北極海の氷原が完全に姿を消してしまうと述べました。現在、北極海の氷原は一部が解けたり、再び凍ったりして、季節によって面積を変えている。しかし、同氏の予想によると、数十年のうちに、北極海で恒久的に凍っている地域はなくなってしまうとされています。
 ファルバッハ氏は、そうなると影響は単に北極海のみにとどまらないと指摘しています。気候の変動は、例えば、北極のシロクマだけでなく、食物連鎖全体を脅かし、最終的には、人間が食べる魚にまで影響が及ぶと語っています。
北極海のシュミレーション 一方12日には、早ければ2040年に、夏の北極海には、氷がほとんどなくなる可能性がある、という研究成果を米国立大気研究センター(NCAR:The National Center for Atmospheric Research)が発表しました。
 近年、北極海の氷は、特に夏の終わりの氷が最も少ない時期には、かなり減少していますが、このままのペースで温室効果ガスが増え続けたら、20年後には、グリーンランドとカナダの北岸の一部を除いて、9月の北極海には氷がなくなってしまう可能性がある、としています。比較的ゆっくり減少したあと、急激に減少すると予測されています。
急激な減少の理由としては、1)氷のない海面は、氷よりも太陽光を吸収しやすいため、海面が広がるとますます暖まりやすくなること。2)地球規模の気候変動が海洋循環に影響を及ぼし、北極海に暖かい海流が導かれること。などが挙げられています。
 今回の研究では、今後、温室効果ガスの排出量の増加割合が抑えられたら、急激な氷の減少の可能性も低くなる、と結論付けています。社会の対応次第で、北極海の氷への影響を最小限に抑える可能性があるとしています。
 2O80年と2040年とでは、随分北極海の氷がなくなる時期の想定に開きがありますが、結果的に氷がなくなってしまうという事実を受け入れなくてはいけないということが非常に重要です。
 そして、温室効果ガス削減対策の成果いかんでは、そのスピードに強くブレーキをかけることが出来ます。
 反対にあるー定の基準を越えると、温暖化の流れは止めることが出来なくなり、遅かれ早かれ北極の氷消失という事態に一直線に進むことになります。
参考:北極調査機関DAMOCLESのHP
参考:Abrupt Ice Retreat Could Produce Ice-Free Arctic Summers by 2040(UCAR)