退職予定者4割に 夕張市職員、影響懸念も
東京新聞(2006/12/20)
 財政再建団体になることを決めた北海道夕張市で、職員の勧奨退職希望者が、予定を大幅に上回る89人に上っていることが20日、分かった。定年退職予定者や自己都合退職者を含めると、医療職を除く全職員の約4割、110人に上り、市の再建への悪影響や行政サービスの低下などが懸念されている。
 後藤健二市長が市議会で報告した。市は原則として全員の希望を認める方針。市役所内からは「まだ迷っている人もおり、年末年始に家族と相談して(事実上の締め切りとなる年明けには)さらに増えるのではないか」との見方も出ている。
 市は1日から希望の受け付けを始めた。定年退職者らを含め83人を予定していたが、給料の平均3割削減や退職金の大幅減額などが、職員の早期退職を促したとみられる。

 財政再建団体に移行する夕張市では、来春までに市職員の約3分の2が早期退職するとのことです。早期退職希望が多い理由は、大幅な人件費カット案が提出されたからです。平均30%の給与削減で、年収は42歳モデルで4割減となります。退職手当も段階的に減るため、生涯賃金は、今年退職した方が定年まで勤務するよりも多くなる職員が出てきます。
 公務員は「公僕」であるはずですが、財政が破綻すれば背に腹は代えられないということでしょう。
 公務員には雇用保険が掛けられていないので一般の会社員などのように失業時の保険がありません。その上、給料削減に耐えて働きたくとも、公務員は副業が禁止されているために、アルバイトなどをすることもできないとなると、職員の大半は早期退職の道を選ぶ他には選択肢がないのかもしれません。
 ただ、財政再建計画では、「現在、同程度の団体(普通会計)の約2倍いる職員数を平成21年度当初までに平均以下とし、平成22年度当初までに同程度の市町村(消防職を除く。)の最小の規模にします。人口の減少に沿って、さらに削減を進めます」と記載されており、06年4月現在で309人いる一般職職員は、150人以下とする目標ですから、110人の希望退職者数は、想定内ということです。
 職員数がどうしても不足するならば、国と北海道、周辺自治体から出向させ、臨時職員を雇用して再建に当たらせればいいわけです。財政破綻という最悪のケースですが、夕張市からは様々な具体例を、全国の自治体が学ぶこともできるはずです。