橋本昌県知事は、2月8日の定例記者会見で地球温暖化対策の一貫として、森林間伐について新たな取り組みを検討する意向を表明しました。以下、知事記者会見の概要を県のホームページより転載いたします。
NHK:今年の暖冬も含めて、地球温暖化に対する懸念がかなり高まってきていると思うのですが、特に政府はバイオエタノールの推進をしていこうとしています。茨城県では、バイオエタノールも含めまして、地球温暖化防止、つまりCO2の排出削減についてどのような戦略をもって考えていこうと思っていらっしゃるのでしょうか。
知事:バイオエタノールについては、ブラジルが一番進んでいるのですが、あそこは車の半分以上がバイオエタノールだけで走れる状況になっている。日本の場合はまだE3とかE10とかE20とか(のどれを導入するかなど)を検討している段階で、かなり遅れた状況になっております。
 これについて、今、沖縄のほうで高糖度のサトウキビができないかとか、いろいろな実験をやっておりますが、日本の場合には気候などの関係もあるので、私はそう簡単に同じようにはできていかないのだろうと思っております。どこにバイオエタノールの原料を求めるかという問題なども出てくるでしょうし、また、ほかのものがないかということも問題になってくるだろうと思っております。
 例えば、バイオマス発電という点では、本県の場合、例えば、ひたちなかで4万1,000キロワットのバイオマス発電が始まっている。さらには、鹿島のほうでも2万3,000キロワットだと思いますが、こういったものが始まろうとしておりまして、バイオマス発電などの分野では茨城県は進んでいる状況にあります。また、ご承知のとおり、風力発電も、県内、特に波崎地区を中心にたくさん立地しているところであります。
 さらに、今、私どもとして取り組まなければいけないなと思っていますのは、CO2の削減目標6%のうち3.9%という大きなウエートを占めている森林の炭酸ガス吸収作用について、どういう形で県としても積極的に取り組んでいけるかが大きな課題になってくるのだろうと思っています。
 それについては、先般の国の補正予算、あるいは来年度の当初予算の中で、たしか750億円(正確には765億円)ぐらいを間伐関係で特別な予算として組まれているところでありますので、それなどについても本県として積極的に導入していくようにと職員に指示しているところでありまして、来年度はモデル的な間伐を5市町でやっていきたいと思っております。
 そういう中で、間伐に対する助成は出ていますので、この間、林野庁の職員が説明に来られたので、できたら末端で間伐材を使う部分にもある程度助成ができないかということをお願いしておきました。間伐材の運搬費が大きな割合を占めてくるのですが、これについては国のほうで助成はなかなかできないというお話でしたので、そういったところを埋めるような対策があるかどうかということも、今、いろいろな団体から森林環境税的なものをつくってはどうかという意見もありますので、そういうものの創設も視野に入れながら、これから勉強していきたいと思っています。
茨城県内の大規模バイオマス発電施設
北越製紙ひたちなか工場
4万1000kw
建設廃材や間伐材等を燃料とするバイオマス発電ボイラーが、平成18年6月より稼動。
神之池バイオエネルギー(中国木材の子会社)
平成20年5月の稼働を目標に、神栖市内の鹿島工業地帯に2万3000kw規模の木質バイオ発電施設を建設予定。

京都議定書森林吸収目標達成に向けた国の対策
 京都議定書の盛り込まれた、CO2の削減目標6%の内、3.9%(1300万炭素トン)は、森林吸収による削減目標となっています。国の試算によると、この目標を達成するためには、平成19〜24年度の6年間において、毎年20万haの森林追加整備が必要であることが判明しました。
 そこで、国は平成81年度の補正予算と19年度予算に、23万ha分の整備に必要な予算765億円を追加計上する予定です。
 間伐を進めるためには、単に間伐材を切り倒しだけではなく、それをどのように搬出し、バイオエネルギーなどとして活用するかといった新たなシステム作りが必要となります。