日立市は、天ぷらや揚げ物などに使った食用油を、バイオディーゼル燃料(BDF)に再生して公用車に使用するリサイクル事業に乗り出す事になりました。燃料化への取り組みは県内初めての試みとなります。
 BDFは軽油に比べ、二酸化硫黄や黒煙の排出が少なく、全国的に利用が広がっています。この夏、7月から3カ月間、実証実験を行い、実験後に廃食油の回収方法などを検討し、早ければ2008年度に実用化する計画です。
 日立市は、平成18年度、廃食油について、家庭や公共施設などからの排出量、排出方法を調査しました。その結果、200世帯の家庭は、月平均で一世帯当たり約0.5リットル排出しており、ほとんどが固化剤や新聞紙などに染み込ませ、可燃ごみとして処理しています。保育園や老人福祉施設、学校給食共同調理場など16施設も月平均53リットルを廃棄処分しています。ホテルや飲食店などは、産業廃棄物として処理業者に委託しています。
 日立市ではこの調査結果を踏まえて、市内には回収可能な廃食油があり、回収すればBDFとして十分、活用できるととの結論に至りました。
 実験は7月から9月まで3カ月間、清掃センター敷地内で実施します。燃料精製装置をレンタル、16の公共施設より回収した廃食油を燃料化する製造実験や品質を研究するとともに、実際に清掃センターのディーゼル車に燃料として使い、試走させます。日立市では、この実証実験に139万余りを計上しました。
 実験が成功すれば、廃食油の回収方法の検討段階に入り、障害者授産施設が回収、漁船などでの活用といった具体的な施策を、今後、具体的に検討することにしています。日立市では、回収が順調に進めば、2年後には実用化したいとしています。
参考:京都市バイオディーゼル燃料化事業
 京都市では、地球温暖化防止京都会議(COP3)の開催に先立ち、平成9年11月から、廃食用油から精製した 環境負荷の小さいバイオディーゼル燃料(BDF)をごみ収集車約220台に利用しています。さらに、平成12年4月からは 市バス約80台の燃料としての使用しています。
 現在年間約150万リットルのBDFを使用することにより、同量の軽油の使用により発生する年間推定約4,000トンの二酸化炭素排出を削減してきました。
 この事業においては、平成9年8月からは家庭系の廃食用油のモデル回収を開始し、順次回収拠点を拡大し、現在、市内850箇所以上の回収拠点で年間約13万リットルを回収し、BDFの原料として再生利用しています。

参考:バイオディーゼル燃料(BDF)を検索して表示する