一般競争入札 5000万円以上に引き下げへ 県
産経新聞(sankeiWEB 地方:茨城版2007/4/11)
 全国的に官製談合が相次ぐ中、県は4月9日、県発注公共事業の一般競争入札の下限について現行の1億円以上から5000万円以上に引き下げる方針を固めた。県入札制度検討委員会(委員長・角田芳夫副知事)で近く正式決定する。6月に平成19、20年度の建設工事入札参加資格者名簿を更新する予定となっており、6月1日から実施する。将来的には1000万円以上に引き下げることを視野に「当面は段階を追って行う」(県幹部)ことになった。
 総務省と国土交通省は先ごろ、公共事業の談合防止を目的に1年以内に都道府県の場合、1000万円以上に引き下げる報告書をまとめた。
 これを受け、県は引き下げ幅を検討した結果、一気に1000万以上に引き下げた場合、「資格要件の設定や技術審査などの事務量が膨大となる」(橋本昌知事)懸念が出た。
 その上で、近県の状況を参考にした結果、18年10月時点で24億1000万円以上だった栃木県、3億円以上だった群馬県が4月1日から、それぞれ5000万円以上に大幅に引き下げたことから、本県も、今年度から5000万円以上に引き下げる方針となった。
 県は官製談合の批判を受け、18年度に本庁発注のすべての工事について、2億円以上から1億円以上に対象を拡大した。金額的には全体の約3割を占めているが、件数的には全体で土木部発注工事約2500件のうち60数件にとどまっており、事務的な負担は大きくないという。
 ただ、1000万円以上に引き下げた場合、約2500件中、約1400件にも達するため、「業者の状況や入札条件をどうするか適切に設定するとなると事務量が相当数増え、今の土木事務所の人員態勢では対応できない」(県幹部)こともあり、激変緩和措置の観点からも、当面5000万円以上とした。
 5000万円以上に引き下げた場合でも、工事金額では全体の50数%が対象となる。このため、大手業者や資金力の豊かな業者が公共工事を独占してしまう懸念もあり、県では地元業者育成も念頭に置き、「競争性を損なわない適度な地域要件の設定をいろいろ議論していく中で検討していく」(橋本知事)考えだ。

 井手よしひろ県議は、3月定例県議会の土木常任委員会で、「一般競争入札の1000万円以上への拡大」について、県の対応を質しました。
 この日の常任委員会では、自民党県議を中心に建設業界の厳しい現状を見ると、一般競争入札の拡大には慎重になるべきだとの意見が多く出されました。その中で、「地方自治法の原則は250万円以上の工事は、すべて一般競争入札で行うと言うことであり、一刻も早く全国知事会が提案した1000万円以上の物件に関しては、一般競争入札を導入すべきである」と強く主張しました。
 今回の措置は事務的な負担軽減のための暫定措置と理解します。具体的にいつ1000万以上への拡充を行うのか、その工程表を具体的に示す必要があると思います。

 4月25日、茨城県の「入札・契約制度検討委員会」が開催され、一般競争入札の対象金額を一件1億円以上から4500万円以上に拡大することなどが決定しました。
 詳しくは、以下の「茨城県の公共工事:4500万円以上は一般競争入札に」を参照下さい。