5月16日、厚生労働省は、野犬や飼い主不明の犬の処分について、できる限り殺処分を行わず新たな飼い主を見つけるよう都道府県や政令市などに文書で通知しました(狂犬病予防法に基づく抑留業務等について)。
 これまで、厚労省は事故防止や狂犬病対策などの立場から、人の安全・健康を守る立場を優先しており、こうした動物愛護の視点からの指導は異例のものです。
 茨城県の殺処分の現状は、2005年度、全国最多の7900頭に上り、新しい飼主に譲渡された犬は184頭に止っています。(迷い犬で飼い主に返還されたのは93頭)
 処分頭数は毎年減っているものの全国最多で、原因をたどると飼い主のモラルやペットとの共生のための環境整備の遅れに行き着きます。
 譲渡のためには犬の健康状態や生長度合い、犬種などの様々な制約があり、すぐに頭数を増やすことは難しい現状があります。
 県動物指導センターは、飼主からの引き取り手数料を、2004年10月から有料化するなどして、安易な処分が行われないよう対策を講じています。
 今回の通知にあった保護期間については、茨城県は1979年度から、狂犬病予防法が定める2日間を2日延長しており、収容から5日目以降に処分を行っています。(県は今回の通知を受けて、これ以上の保護期間の延長は検討していないということです)
 さらに、01年度からは迷い犬の情報をネットで公開し、飼い主や引き取り手の便宜を図っています。
 また、県は「里親バンク」を設けて譲渡を橋渡ししていますが、利用件数は減少傾向にあります。
 不幸な殺処分を減らすためには、望まない子犬を産ませないための避妊手術の普及促進や放し飼いをしないなど正しい飼い方の啓発。飼い犬が逃げ出したときのため迷子札やICチップの普及、里親制度をボランティアの協力を得ての充実など、ペットとの共生を進める環境の整備を一層進める必要があります。
参考:茨城県動物指導センター