6月14日開催された県議会財政再建等特別委員会で、地方税の徴税率の低い市町村には、県からの補助金を削減する方針が、総務部長より示されました。
 県税徴収率は全国下位レベルの低迷状況で県財政への影響が大きいことから、実際に徴税に当たっている市町村に、実質的な「罰則」を課すことで向上を促すのが狙いです。
 既に制度の具体的検討に入っており、本年度の徴税実績ももとにして、早ければ再来年度(2009年度)から導入する考えです。
 道府県の補助金交付制度にこうした基準を設定するのは、全国的にも初めての試みとなります。
 市町村が徴収している05年度の個人県民税徴収率の県内平均は全国平均を2.55ポイント下回る88.94%です。徴収率が県内平均を下回っているのは19市町村です。これらの徴収率が平均レベルに向上すると仮定すると、県の税収は約6億円の増収となります。
 県単補助金は現在、徴税率の高低に関係なく同一ルールで交付されています。06年度の交付額は05年度の徴税率上位だった常陸太田市(94.54%)が4億9000万円、東海村(94.44%)2億2000万円、五霞町(94.29%)3000万円だが、下位の神栖市(77.58%)も3億9000万円、大洗町(77.61%)1億円、茨城町(81.44%)1億5000万円となっており、徴税率に17%もの格差がみられます。
 市町村向け県単補助金は、合併の影響で特例交付金などが膨らんだ05年度の169億円をピークにその後減少しており、本年度は118億円に上っています。
 一方、05年度の県税全体の徴収率は全国平均を1.1ポイント下回る95.8%で、都道府県別で39位と低い現状があります。このため県は全国上位水準への徴収率向上を目指し、茨城県租税債権管理機構を設置したり、税務職員を市町村に派遣するなど対策に取り組んでいます。
 徴税率に応じた補助金削減は、危機的な財政再建へ向けた県単独補助金縮減の一環です。しかし、県単の補助金は市町村合併を進めるために創設した合併特例交付金など、政策的に交付されているものが多く、どの交付金を減額の対象とするのかといった議論の中では、市町村の反発が出る恐れもあります。