インターネット上の仮想空間に全世界で725万人が登録
参考写真 インターネット上の仮想空間、「セカンドライフ」の日本語版がこの夏オープンします。すでに、登録者は世界で725万を超えています(2007/6/17現在)。日本語版が正式オープンすると、大量の日本ユーザーが流入すると考えられます。
 ユーザーはまず「セカンドライフ」のホームページ(http://secondlife.com/world/jp/)にアクセスし 簡単な登録を済ませます。そして、ソフトウエアをダウンロードし、コミュニティーに接続し、ネット上に現れた、自分の分身をキーボードを捜査しながら、仮想空間を歩いたり走ったり、空中遊泳したりします。ところどころ、見かけた人達に話しかける(チャット)こともできます。英語や日本語、韓国語など世界の言葉が飛び交っています。
 「セカンドライフ」では、商品やサービスを売り買いすることもできます。しかもこの世界の通貨「リンデンドル」は現実のUSドルとも交換可能なので、現実の経済活動も行われています。
 収入を得るためには職業紹介所もあり、雇用されて給料を得ることもできます。起業家となって、新たなビジネスを起こすこともできます。
 ここで活動するための自分の分身は、容姿、性別、服装などを自由に設定することができますが、じっさいに格好いい形にするにはある程度の技術が必要です。そこでさまざまなデザインの服が売られており、それを買うことで自分が望むようなスタイルをつくっていくことができます。服やアクセサリーを売っているのは、多くがこの世界に暮らす一般の人々です。セカンドライフでは、この中でデザインしたものについて所有権が認められるので、これを売ってお金を得ることが可能なのです。
 もっと本格的にビジネスをしたければ、不動産のデベロッパーになるという手もあります。セカンドライフを運営するリンデン社から土地を買い、その土地を開発して貸し出すのです。もちろん土地も住まいも仮想のものですが、借り手はその不動産に対して賃料を払ってくれますから、成功すればビジネスとして成り立ちます。
 現実の企業も、イメージアップや市場調査などのために、この世界に参入しています。たとえば、あるスポーツシューズメーカーはセカンドライフにショップを持っており、カラーなどの組み合わせが自由な靴(この世界で履くための)を販売しています。メーカーでは、そのオーダー状況をマーケティングの資料として活用し、現実世界での製品にフィードバックすることも考えているようです。
 すでにワーナーブラザーズ、アディダス、トヨタ、IHS(旅行代理店)など企業も「セカンドライフ」内に拠点をつくり、ブランドのオブジェを提供して住民と交流をはじめています。
アダルトやカジノサイトなど様々な問題をはらむ
 セカンドライフの経済活動は月に10%の割合で伸びており、来年には1兆円規模になるともいわれています。 それに伴ってさまざまな問題も浮上してきました。
 たとえば現在セカンドライフ上の所得には消費税などの税金がかかっていないのですが、これをどうするかという問題。また大金が動くようになるとマネーロンダリングに利用される恐れはないのかということも考えられます。
 また、「セカンドライフ」にはカジノやアダルトサイトもあり、これらが各国の法律に抵触する場合、なんらかの規制を考えなければなりません。現在のバージョンでは、未成年でも自由にそうしたサイトに行き来できてしまいます。アダルトサイトでもチャットも自由にできますし、無修正の写真も掲載されていました。
 さらに、こうした仮想空間がお金やチャット、写真やビデオといった現実社会につながっているという「セカンドライフ」の世界は、その空間にはまり込んでしまう人がでないか、大いに心配です。仮想の現実の境界が分からなくなってしまい、実感がないまま大金を浪費してしまったり、犯罪の温床となったりしないか、その危険性をしっかりと認識する必要があります。
 ネット社会の今を知るために、一度「セカンドライフ」を体験することをおすすめします。
参考:セカンドライフ(日本語版)