コムスン介護報酬不正 仙台市、返還請求1900万円に
朝日新聞(2007/6/14)
 仙台市内などにあるコムスンの訪問介護事業所が介護報酬を不正請求し、受給していたとして、仙台市は13日、コムスン東北支社に対し介護報酬約1900万円の返還請求を行った。
 市によると、不正請求があったのは、仙台市内などの7事業所。介護タクシーでの病院への通院介助サービスで、実際には「乗降介助」をしていながら、より報酬の高い「身体介護」として請求額を算定したり、掃除などの生活援助でも、介護保険で認められていないサービスを行い、その報酬を求めるなどしていた。
 また、宮城県では仙台市以外でも、27市町村に計約1400万円の報酬返還がコムスンから行われる見込み。県によると、仙台市以外で不正請求があったのは14事業所。コムスンは各事業所でさらに自主点検を行った後、各自治体に報酬を返還する。

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 コムスンの不正請求問題、それに続く事業撤回問題が介護事業者に大きな波紋を広げています。今月だけでも、訪問介護を行っている地元事業者から3件の相談を受けました。
 その中でも深刻だと感ずるのは、乗降介助サービスの現実です。平成15年4月より、訪問介護の報酬区分として「通院等のための乗車または降車の介助が中心である場合」が設けられました。乗降介助は原則として100単位のサービスですので、事業者に1000円、利用者の自己負担が100円ということになります。
 また、利用者が大きな病院に通うときや検査などを行う場合は、病院内での介助が発生します。院内介助は、「原則として院内スタッフ(介護士や病院のヘルパーなど)により対応されるべきものである」とされて、原則は身体介護には算入できません。しかし、実際は病院のスタッフでは、そこまでの対応はできず、病院内の移動、衣服の脱着、検尿など様々な介助が必要になります。こうした院内介助は、「場合によっては算定の対象となる」とされ、ある程度広く認めてこられました。
 その状況が、コムスン問題で大きく変わっています。ケアマネージャによって、院内介助の対応が大きく異なってきてしまっていると言われます。市町村の介護保険窓口では、この「場合によって算定対象となる」という厚労省の通達の具体的な事例等を全く明示していません。例えば、病院スタッフが院内介助をできないとことを書面で確認すれば、算定対象にできるといった、基準作りを求める声があります。
 一人で病院に行くことができない要介護者にとって、乗降介護がなくなればいのちに関わる問題となります。移送サービスを提供する事業者にとって、乗降サービスの100単位だけでは成り立たないことも事実です。この両者の関係を整理するためにも、行政の積極的な判断が必要です。