中央病院のがん治療体制整備、友部病院新築費などを計上
 県は、9月5日開会の9月県議会に提案する総額49億円の一般会計補正予算案の概要を県議会の各会派代表に示しました。
参考写真 それによると、永年の課題であった県立友部病院の新築や中央病院のがん治療体制整備などが認められるなど、医療分野に重点的に予算が配分されました。施設の老朽化が進み建直しが懸案となっていた県立友部病院を全面改築するための設計費5500万円が計上されました。友部病院は、精神科救急、合併・薬物中毒対策や児童思春期精神病対策などが強化され、同時に経営の抜本的効率化も図られることになります。改築工事は2008年度に実施設計を行い、09年度に工事に着工、新病院は11年度に開業する計画です。総事業費(4年間の継続事業)は、60億円余りとなります。
 また、県立中央病院のがん診療施設の設計費には6500万円を盛り込みました。がんの放射線治療体制を強化する目的で、リニアック1台を増設し、「放射線治療センター」を設置することになりました。また、化学療法(抗ガン剤治療)の機能を拡充することになり「化学療法センター」を整備します。中央病院をがん治療の拠点として行く方向性が明確になりました。さらに、近年患者数の増加が続く人工透析患者に対応する「人工透析センター」(20床)も整備することになりました。リニアックの整備などは2009年度までに行うこととしています。関連事業費の総額は44億円を見込んでいます。
参考写真 地域の活性化策では、2008年度の供用開始を目指して東海村で建設が進む大強度陽子加速器研究施設(J―PARC)の産業利用を進めるため、産官学の共同研究施設を整備することになりました。総事業費は11億円で、東海村の旧NTT茨城研究開発センターの建物と土地を取得、5棟の内1棟(地上4階建て)を改修してJ―PARCの利用者や東京大学、茨城大学の大学院や企業の受け入れ施設として整備します。2008年度のオープンを目指し、今年度は調査費として1300万円が充てられます。
 2009年度の開港を目指し建設が進む「茨城空港」関連では、空港ターミナルビル建設にあたる県開発公社向けの貸付金として1億5000万円が計上されました。ターミナルビルは今後3年間で計27億円の総事業費を計画しています。
 また、常磐道でのノンストップ自動料金収受システム(ETC)専用インターチェンジの社会実験を、石岡市と小美玉市の境界部で行うための費用として4億1000万円を計上しました。
JCO事故の基金を放射線治療の充実と陽子加速器共同研究施設に活用
 また、中央病院整備とJ―PARC共同研究施設整備の財源として、JCO臨海事故に際して国から交付された原子力安全等推進基金が活用されることが決まりました。
 橋本昌県知事の4期目の折り返し点となるこの9月議会に、これまで先送りされてきた重要課題の内、県立病院の整備と原子力安全推進基言の活用の2点が大きく前進したことになります。この二つは、共に関連性があり、井手よしひろ県議は、9月議会で代表質問や予算特別委員会での質疑で議論をより深めてまいります。
(写真上:新築が決まった友部病院、写真下:2台目の導入が決まったリニアック(放射線治療器))