利用客は順調な伸び、開業時より8万人増
 8月24日、つくばエクスプレス(TX)は開業2周年を迎えました。TXを運行する首都圏新都市鉄道によると、今年度(4〜7月)の乗車人員は、1日平均で23万人を超え、開業時より約8万人増加しました。
 開業した2005年度の平均乗降客は、15万700人。06年度平均は4万4600人増の19万5300人。今年4〜6月は各月とも23万人台で、学生・生徒が夏休みの7月も06年度を3万3100人上回る22万8400人に上っています。
 今年秋以降、沿線で大規模マンションの完成が相次いで予定され、将来の安定的な経営体制を構築する上で指標にしていた開業5年目での27万人達成が早まる可能性もあります。定期券の利用者は全体の6割を占めており、私鉄各社と同程度の水準となりました。
 一方で、県内6つの駅間の利用客の格差に問題が出始めています。7月の駅別でみると、県内の6駅では、守谷駅が最多の1万8400人で、つくば駅の1万2900人が続きます。みらい平駅、みどりの駅、研究学園駅がいずれも1800人で、万博記念公園駅は沿線最少の1200人と低迷しています。05年度平均と比較した増加幅は、守谷駅が6200人(33%増)、つくば駅1800人(14%増)、みらい平駅900人(50%増)、みどりの駅と研究学園がいずれも800人(44%増)、万博記念公園駅500人(42%増)となっていまます。快速電車が停車せず、区間快速や普通電車の運転本数が少ない4駅(研究学園、万博記念、みらい平、みどりの)の利用客増が課題となっています。
 ただし研究学園駅には、つくば市役所の移転が決まり、2008年秋には北関東最大のショッピングセンター「つくばSC」がオープンする予定で、駅前の大型施設の充実ぶりが際だっています。つくばSCは、大和ハウス工業が建設し、面積約14万5000平方メートル、店舗面積は約8万5000平方メートルとなる見込です。食品スーパーや大型書店、ブランド店、シネマコンプレックス(複合映画館)、結婚式場、銀行店舗、医療モールなど出店企業はバラエティーに富んでいます。また、つくば大発のベンチャー企業「サイバーダイン」社も進出し、サイバーダイン・スタジオも入店し、ロボットスーツの最新テクノロジーや次世代型ロボットなどを紹介します。
 TXでは、来年秋には、つくば駅まで運行できる交直流型車両を4編成(1編成6両)増強して利用者増に努めることとしています。
東京駅直結のためにも一日28万人の利用客確保を
 TXはこれまで、車両内でのインターネット接続サービスや、早期地震警報システムの導入など、利便性の向上や安全性の確立に努めてきました。今後、目標の27万人達成に向け、さらに利便性を向上させる考えです。一日平均乗車27万人の目標は、事業費が約1000億円と見込まれる東京延伸実現へ向けた必要条件といわれています。
 沿線各市町村や県の悲願ともいえるTX東京乗り入れに向けても、利用客増が正念場となってきました。