参考写真 9月5日、自民・公明の与党肝炎対策プロジェクトチームは、国会内で会合を開き、C型肝炎患者のインターフェロン治療について、来年度から公費助成を行う方針を決めました。助成額や対象範囲など、詳細は、年末の予算編成に向けて決定します。さらに、B型肝炎や、肝がんにまで進行した患者への助成についても、今後検討を進めることにあんりました。
 また、会合では、肝炎対策について、来年度予算概算要求に盛り込まれた項目や、単独で助成を行っている自治体の取り組みなどについて、厚生労働省から説明を受け、今後の対策について議論しました。
 厚生労働省の調査によると、C型肝炎患者は約52万人、症状が現れていないウイルス感染者は150万〜190万人と推定されています。インターフェロン治療は、肝炎の肝がんへの進行を防ぐのに有効とされ、現在約5万人が治療を受けていますが、高額な医療費が必要なため、患者団体などから支援や助成を求める声が上がっていました。
 また、患者の多くが血液製剤(フェビルノーゲンなどの止血剤)から感染しているための、国や製薬会社を相手に賠償訴訟が起こされています。この薬害肝炎訴訟は、国や製薬会社の過失責任を一部認める司法判断が相次いでいます。
 国の支援に先立って自治体では、独自の助成策をすでに実施しているところもあります。例えば、10月から始まる東京都の事業では、1年間の助成期間で、インターフェロン治療に関する費用について、入院・外来ごとに、毎月一定額を超えた費用について助成。住民税非課税世帯の患者については医療費の自己負担額を全額助成することにしています。
 井手よしひろ県議は、この問題について2006年7月に患者から相談を受け(「フィブリノゲン」によるC型肝炎について相談を受ける)、党所属の国会議員らに速やかな対応を要望していました。さらに、今年1月には薬害肝炎訴訟原告・弁護団から要望を受け(井手県議ら薬害肝炎訴訟原告・弁護団から要望聴取)、県議会を始め、県内の各議会でウィルス性肝炎の対策を求める意見書の採択を求めました。こうした活動が大きな広がりを持ち、3月22日には、茨城県議会で「ウイルス性肝炎対策の推進を求める意見書」が全会一致で採択されました(「ウイルス性肝炎対策の推進を求める意見書」を全会一致で採択)。また、同様の意見書が水戸市、日立市、取手市などでも採択されています。
(写真は、与党肝炎対策プロジェクトチームの会合の模様)

C型肝炎治療、高額インターフェロンに助成へ…政府・与党
読売新聞(2007/9/5)
 高額な患者負担が課題となっていたC型肝炎患者のインターフェロン治療について、政府・与党は5日、来年度の予算要求に公費助成を盛り込む方向で検討することを決めた。
 C型肝炎の感染者は全国で150万人と推計されている。政府・与党では、B型肝炎、進行して肝がんになった人に対する治療費の公費助成についても今後、検討する方針。
 ウイルス性肝炎の救済策について検討している「与党肝炎対策に関するプロジェクトチーム(PT)」(座長=川崎二郎・元厚生労働相)が5日開かれ、年末の予算編成までに予算規模や助成対象の範囲、具体的な助成方法などを詰め、与党として公費助成案をまとめる方針を打ち出した。川崎座長は「C型肝炎では、新たな感染者が増えているわけではない」として、時限的な予算措置とする可能性もあると説明した。
 厚労省によると、インターフェロン治療は、C型肝炎患者の6〜7割に効果があり、よく効くタイプでは9割以上が完治するという。治療費は通常、1年間で300万円弱。このうち患者の自己負担は80万円程度とみられ、治療自体をあきらめる人もいる。
 また、川崎座長は、大阪、福岡、東京、名古屋の4地裁で国側一部敗訴の判決が相次いでいるC型肝炎訴訟について、「(4地裁の)判決内容は分かれているので、仙台判決の結果を与党として注視する必要がある」とし、7日に予定される仙台地裁判決の内容を見た上で解決策についても検討するとした。
 肝炎を巡る訴訟では、薬害肝炎全国原告団が3月末、全面解決を求める安倍首相あての要請書を下村官房副長官(当時)に手渡し、6月末にも塩崎官房長官(同)に早期の対策を要請。安倍首相も6月、新たな対策や訴訟問題についての検討を厚労省に指示していた。
 厚労省は、来年度予算の概算要求で肝炎対策として、検査体制の強化など総額約79億円を盛り込んでいるが、首相指示の「新たな対策」については、今後の予算編成過程で検討するとしていた。