9月11日の県議会代表質問での、井手よしひろ県議の質問内容を、順次ご紹介します。
1 核廃絶への基本認識と取り組みについて
 戦後60年以上が過ぎ、戦争の記憶が薄れつつあります。いまや戦争を体験した戦前生まれの世代の割合は約4分の1にまで減り、広島、長崎の被爆者の平均年齢は75歳になろうとしています。戦争や被爆体験を直接聞くことができる機会は今後、ますます減っていきます。
参考写真 だからこそ国民一人一人が戦争体験の風化に立ち向かおうとの決意と行動が大切になります。歳月が過ぎ去ろうとも、戦争の残酷さ原爆の悲惨さを次世代に語り継ぎ、世界に発信していく努力をさらに強めていかねばなりません。
 こうした状況の中、昨年10月に北朝鮮が核実験を発表したことや、イランの核開発疑惑など、核をめぐる国際社会の環境は厳しさを増しています。
 一方、国内に目を向けると、日本の核武装も「議論されてもいい」と公言する政治家が現れ、参院選前には久間元防衛大臣が日本への原爆投下を「しょうがなかった」と発言するなど、憂慮すべき事態が起こっています。
 核兵器保有を国家戦略上の優先課題と考える指導者や、「核武装論」を唱え「しょうがない」と発言する政治家の考え方の背景には、核兵器を現実の存在として受け入れる「核の容認」「核との共存」の考えがあります。これは、唯一の被爆実体験を持つ日本人としては全く受け入れられない立場です。
 被爆国・日本は、核兵器の非人道性と残虐性を世界に訴え、核廃絶へ強いリーダーシップを発揮していくべきです。核兵器の使用はいかなる理由があっても許されぬ「絶対悪」であるとの思想に基づき、断固たる決意で核廃絶めざし闘っていく必要があります。
 そのために、まず足元から核廃絶の思想を広めていかなくてはなりません。戦争や核兵器の恐ろしさや残虐さを、次の日本を、次のいばらきを担う子どもたちに伝える必要があります。そのために、「核兵器は絶対悪であり、この世界から無くして行かなくてはならいものである」ということを、しっかりと教えることは、われわれ大人の重要な責務であります。
 わが県においては、高校の教育課程で道徳が必修化されましたが、平和に関する問題や原水爆禁止への考え方については、残念ながらあまり触れられていません。
 そこで、本県における核廃絶への橋本知事のご所見と平和教育への取り組みについて、まず、お伺いしたいと存じます。
橋本知事:核兵器は、いかなる理由があっても絶対に許されるべきものではない。
 先の大戦において、広島・長崎への原子爆弾の投下により、多くの尊い命が一瞬にして奪われ、今なお、耐え難い後遺症に苦しんでいる方もおられます。
参考写真 広島・長崎の悲劇は、再び繰り返してはならないものであり、我が国は世界で唯一の被爆国として、核兵器の廃絶を世界に向けて強く訴え続けていくとともに、国際社会の先頭に立ち、平和で安全な世界の実現に向け、全力で取り組んでいく必要があります。
 再び悲惨な戦争は繰り返してはならないということを次の世代に伝えていくことが、我々に課せられた重大な責務であるとの思いを強くいたしております。
 特に核兵器は、いかなる理由があっても絶対に許されるべきものではありません。
 私は、再び戦争の悲劇を繰り返さないためには、子どものうちから一人ひとりが我が国の歴史を理解し、戦争の悲惨さや命の尊さ、平和の大切さについて、しっかりと認識することが重要であると考えております。
 そのため、小中学校では、戦争を体験された方を学校に招き、戦争の悲惨さなどについての話を聴いたり、高等学校では修学旅行で広島や長崎、沖縄を訪れ、原爆の恐ろしさや戦争の悲惨さを直接見たり聴いたりすることで、児童生徒が二度と戦争を起こしては去らないということを感じ取り、平和の尊さを学んでいるところであります。
 さらに小中高を通して、道徳の授業において、命を尊重する心を育てるとともに、戦争や平和について考える機会を設けております。
 また、平和を実現するためには、世界の国々との協調・協力が大切でありますので、他国の文化や隼活を調べる活動や、外国人留学生との交流を通じて国際協調の重要性を理解する学習を行っております。
 平和は、県民はもとより人類共通の願いでありますので、今後とも常に念頭において県政を推進してまいりたいと考えております。