参考写真 10月4日から6日の2泊3日の予定で、井手よしひろ県議は水戸市選出のたかさき進県議(公明党)とともに、北海道の政務調査を行いました。第1日目の午後、夕張市農業協同組合を訪れ、堀井千秋営農部長、木下誠営農推進課長より、「夕張メロン」のブランド戦略について、説明を聴取しました。これには、県北海道事務所の高橋敏夫所長も同席しました。
  夕張メロンは、正式には「夕張キングメロン」といい、「スパイシーメロン」(父)と「アールスメロン」(母)を交配した一代雑種(F1)の赤肉メロンです。最高級のメロンとして知られ、初セリでは札幌市内の百貨店が価格を競り合い、一つ100万円を超える商品もあることで有名です。
 夕張でのメロン栽培は、大正12〜13年頃までさかのぼることができます。昭和5年ごろには、数種の栽培も試みましたが、十分な糖度が得られずに立ち消えとなりました。
 戦後の夕張農業は、雑穀・豆類・一般野菜中心の経営で農業所得も低く、当時全盛であった炭坑などでの農外収入によって生計が立てられていました。こういった時代背景のもと自立安定を図ることが困難なことから、夕張市の狭い地形では収益性の高い農作物を生産するしかなく、メロンの栽培が真剣に見直されることとなり、新しい品種の研究、育成が再開されのは昭和30年代の半ばでした。
 昭和35年4月、17件の農家有志により夕張メロン組合が設立され、数々の試験栽培を繰り返し、現在の夕張メロンが作り出されました。
 以来、夕張メロンは、種の管理、作付、栽培、撰果、出荷、加工品の流通と、生産組合と夕張市農協が一元的に取り組んだ結果、昭和40年から50年ごろには北海道を代表するメロンの銘柄となりました。
参考:夕張市農業協同組合のHP
JA 「夕張メロン」のブランドの強さは、農協が出荷全量を管理する体制を確立したことによります。「夕張メロン」「夕張キングメロン」というブロンド名も、農産物としては一早く昭和54年に商標登録されています。厳しい組合員規約を制定し、徹底した品質管理を行っています。規格品外は決して出荷することはなく、組合員が個人的に商品を販売することも絶対にありません。
 「夕張メロン」は一代雑種であるため、その種から栽培することは出来ません。親から種を採取し、管理するのは夕張市農協の重要な役目です。この種は、メロン組合員以外には門外不出で、農協の種子保管庫で厳重に管理されていました。
 現在のメロン組合の組合員数は153名。高齢化も目立ちますが、50名以上の若手後継者もおり、生産の継続は十分に可能です。平成18年のメロンの作付け面積は310ヘクタール、生産量は5100トンあまり、生産額は約29億4100万円です。農家の売り上げは約2500万円程度であるということでした。
 「夕張メロン」は、徹底したブランド管理戦略の中から生まれました。反面、このメロンをより多くの農家が生産し、利益を得ることは出来ません。150件あまりの農家によって丹誠込めて作られることに、その価値があることを再確認しました。
 お忙しい中、貴重なお話を伺うことが出来た夕張市農協の皆様に深く感謝申し上げます。