参考写真 10月5日、井手よしひろ県議とたかさき進県議は、北海道旭川市の市立旭山動物園を訪れました。小菅正夫園長、那須秀昭主幹など幹部職員より、「行動展示」によって、全国一の入園者数を誇る旭山動物園の経営状況や市の財政との関わりを中心に調査しました。
 旭山動物園は旭川市立の動物園で、会計上は市の特別会計で運営されています。2006年度に304万人が入園する人気で、動物園特別会計は、職員の人件費なども含めても2年連続で黒字を計上しています。通常は、第3セクターなどが経営する場合でも、一般会計からの繰り入れや人件費を一般会計で持つ例がほとんどです。300万人を越える来園者と有料の来園者の比率が高い旭山動物園の特徴となっています。
参考写真 旭山動物園では、開園30周年を契機に平成9年から毎年、計画的な展示施設の整備を行ってきました。
 その整備費用は市の動物園特別会計による起債によって賄われ、総額は約28億円にのぼります。2026年度まで返し続ける計画で、市の財政状況が厳しい中、市議会には今後の改築に慎重な意見もあります。
 「今は黒字。でも、新たな施設を造るめどは立っていません」との幹部職員の声がマスコミに掲載されていました。2008年夏に出来る「オオカミの森」以後の建設計画は、まだ具体的に決まっていません。
 1967年の開園以来の施設である「総合動物舎」は、40年の歴史の中で鉄筋コンクリートの壁は所々はげ落ちています。視察した当日も、人手は新しい施設に集まりがちで、動物園全体ではまだまだ投資をする必要がたくさんあるようです。
 こうした状況を受けて、今年9月、旭川市では動物園の施設増設や動物購入などを目的に「旭山動物園施設整備基金」を設立しました。方針を固めた。動物園のための基金は国内でも極めて珍しいといい、市は九月中旬開会の定例市議会に関係条例案を提出する。動物園特別会計の2007年度の剰余金は約2億円を原資として、市民や企業の寄付金など総額約2億2000万円を積み立てます。来年度からは、動物園特別会計の剰余金の50%以上を基金に回すことにしています。
 基金の使い道としては、2008年夏の公開を目指す「オオカミの森」の建設費(総額約2億2000万円)に充てます。 今後の整備については、小菅園長が開園40周年の挨拶に次のように綴っています。
開園40周年 そして、未来の子供達へ。
旭山動物園園長 小菅正夫(旭山動物園のホームページより
参考写真 さあ,明日からは50周年へ向けての第一歩が始まります。理想の動物園へ向けての歩みは止まりません。ペンギンやホッキョクグマ,アザラシたちと旭川とを結ぶ石狩川水系淡水生態館ができなければ,“世界中の動物たちを救うために,旭川の自然を大切にしましょう”という旭山動物園からのメッセージは完結しません。
 また,旭川の子どもたちを,地球が産み出した奇跡の動物であるゾウという動物を実際に目にしないまま大人にしてしまっていいのかを考えなければなりません。ゾウの前に立つ時,人は誰でもその存在感に圧倒されます。そんなゾウを通じて,純真な子どもたちの心に,多くの生きものに対する畏敬の念が芽生えることが,人間として生きていく上でとても大切なことだと思います。ただ,これまでの飼育方法でゾウは飼えません。ゾウにゾウらしく暮らして貰うためには,ゾウを群れで飼育することが絶対に必要です。
 その他にも,キリン,シマウマ,ダチョウなどが共生するアフリカ生態園,ワシ,タカ,フクロウの森,さらには昆虫の世界,ネズミの世界,などなど永遠のテーマ「伝えるのは命」に向けた夢は広がり続けます。
 そうです,動物園に完成はありません。それは子どもたちの夢と同じように無限に続くのです。その夢を一緒に見てくれる旭川の子どもたちがいる限り・・・。

 日立市にも市民の宝である「かみね動物園」があります。旭山動物園よりも10年先輩のかみね動物園は今年、50歳の節目を迎えました。地理的、気候的な条件は決して旭山動物園には負けていません。「職員と市民との協働で、かみね動物園もやればできる」そんな可能性を旭山動物園は教えてくれているような気がしました。
参考:旭山動物園のホームページ
旭山動物園の平成9年度以降の主な展示施設整備状況
平成9年度「こども牧場」
H9年4月オープン
特徴:人と動物とが仲良くふれあえる空間
延べ面積:192m2
整備費:9917万円
「ととりの村」
H9年9月オープン
特徴:フライングゲージ
区画面積:2,890m2高さ:14m
整備費:8604万円
平成10年度「もうじゆう館」
H10年9月オープン
特徴;空中にせり出した檻、回遊式展示により見学
床面積:611m2
放飼場:918m2
整備費:5億9390万円
平成11年度「さる山」
H11年7月オープン
特徴:様々な角度から見学が可能(低位置から高位置にかけて、 螺旋状のスロープを上ることによって見学可能)、サルの卓越した運動能力を体感
床面積:225m2
放飼場:330m2
整備費:2億3368万円
平成12年度「ぺんぎん館」
H12年9月オープン
特徴:360度見学可能な水中トンネルによる水中透視展示 スキューバーダイビングによる水中給餌
床面積:631m2
放飼場:154m2
整備費:4億6053万円
平成13年度「オランウータン空中運動場」
H13年8月オープン
特徴:2本の塔を13mのロープで繋ぎ、高さ17mを空中散歩
擬木:17m
空中ジャングルジム:直径5m球体
整備費:4327万円
平成14年度「ほっきょくぐま館」
H14年9月オープン
特徴:展示ゾーンの構成が変化にとむ 独創的な展示方法により観察が可能。堀を利用し、無柵放飼場・カプセル窓を利用し身近な観察
床面積:1,187m2
放飼場:428m2
整備費:7億1434万円
平成16年度「あざらし館」
H16年6月オープン
特徴:上下左右自由に泳ぎ回るアザラシが観察できる (マリンウェイ)
床面積:999m2
放餌場:266m2
整備費:6億805万円
平成17年度「くもぎる・かびばら館」
H17年8月オープン
特徴:共生展示がみられる画期的な施設
延床面積:191m2
屋外放飼場:112m2
整備費:5785万円
平成18年度「ちんばんじ−館」
H18年8月オープン
特徴:地上5メートルのスカイブリッジで樹上で生活する チンパンジーを観察できる施設
延床面積:1,118m2
屋外放飼場:449m2
整備費:6億5675万円