参考写真 10月12日、ノルウェーのノーベル賞委員会は、ドキュメンタリー映画「不都合な真実」などを通じて地球温暖化の危機を訴えてきたアル・ゴア元米副大統領と、温暖化問題の影響や対応策について報告する国連組織「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC、事務局ジュネーブ)の双方に2007年のノーベル平和賞を授与すると発表しました。
 授賞理由について「人間の活動に起因する気候変動についての知識を広め、必要な対応策への基礎を築くよう努めた」と説明しています。また、大規模な気候変動は資源の争奪戦を起こし「紛争や戦争の危険性を増大させる」と警告、温暖化問題を最大限深刻に受け止めて「今、行動が必要」と訴えています。
 この発表を受けてゴア氏は「大変名誉な受賞だ。賞金は、環境危機を緊急に解決するため国内外の世論づくりに貢献してきた非営利団体に全額寄付する」(日経新聞の記事り引用)との声明を発表しました。パチャウリIPCC議長は「IPCCに貢献した科学者や支援してくれた政府関係者全員の受賞だと思う」(同)と語りました。
 ゴア氏に対しては、米国内の自宅が余りに贅沢で資源の無題使いだという批判や映画「不都合な真実」が科学的に誤った内容に基づいて制作されているといった批判があります。しかし、こうした批判を際し引いても、気候変動への警鐘を大きく打ち鳴らした功績は大きいと思います。
IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)とは
 国際的な専門家でつくる気候変動に関する政府間機構のこと。地球温暖化についての科学的な研究の収集、整理のための、国連環境計画(United Nations Environment Programme:UNEP)と国連の専門機関である世界気象機関(the World Meteorological Organization:WMO)が1988年に共同で設立しました。現在は、地球温暖化に関する最新の知見の評価を行っている組織です。
 本来は、世界気象機関(WMO)の一機関であり、国際連合の気候変動枠組条約とは直接関係のない組織であったが、条約の交渉に同組織がまとめた報告書が活用されたこと、また、条約の実施にあたり科学的調査を行う専門機関の設立が遅れたことから、IPCCが当面の作業を代行することとなり現在に至っています。IPCC自体が、各国への政策提言等は行うことはありません。国際的な地球温暖化問題への対応策についえて、科学的な裏付けを行う組織として、大きな影響力を持っています。