都市と地方の税収格差是正へ向け、地方法人二税(法人事業税・法人住民税)の配分見直しが、喫緊の課題となっています。
 地方法人二税は、各企業が事業所を置く自治体に対し、事業所数や従業員数に応じて課税されています。このため、大都市の本社などが置かれている都市部に税収が偏り、総務省などによると人口一人当たりの同税収額(2006年度)は最も多い東京都と長崎県では6.1倍、茨城県とは3.0倍の開きがあります。このままでは、この開きはさらに拡大する傾向があります。。
 このため、新たな配分方法として、々颪一括徴収し、各自治体に配る⊆治体同士で調整する−などの案が検討されています。国の一括徴収では自治体の人口や面積などを基準とした再配分案があり、地方消費税の充実とセットでの見直しを求める意見もあります。
参考写真 井手よしひろ県議は、9月11日に行った代表質問でこの問題を取り上げ、地方の声を橋本昌知事が国に強くアピールするよう求めました。
 橋本知事はこうした動きを受けて、10日の定例記者会見で「地方法人二税は東京に集まりすぎていて、企業の活動実態を反映していない。法人事業税の配分基準では製造業は従業員数とされているが、地方では従業員数は減っていても生産はどんどん盛んになり、(出荷額などは)何倍も伸びている」と指摘しました。従業員を削減しながらも、技術革新や事業の効率化などによって生産を活発化している企業の地方での活動実態を反映していないと批判しました。
 併せて、「ふるさと納税」については「格差是正にはほとんどつながらない」として、あらためて反対する姿勢を強調しました。
 茨城県の法人二税は1991年度の1500億3000万円をピークに2002年度には720億3000万円まで落ち込みました。その後、回復基調に乗り、2006年度は1338億9000万円まで盛り返しています。しかし、県財政は三位一体の改革による地方交付税の大幅削減の影響で、08、09年度合わせて1000億円の財源不足が見込まれ、財政再建の正念場を迎えています。
(写真は、県議会代表質問で都市と地方の格差について質問する井手よしひろ県議:平成19年9月11日)
県議会代表質問での井手よしひろ県議の質疑(2007/9/11)
 7月29日に投開票が行われた参院選は、自民・公明の与党に対して大変厳しい結果となりました。
 その要因の一つに、都市と地方の格差の拡大の問題があります。小泉首相、安倍首相と続いた改革の課程で、地域間格差が拡大し、地方や農村が疲弊(ひへい)し、そこに住む住民、特に高齢者などのいわゆる生活弱者の不安が増大しています。
 都市と地方、特に東京とその他の地方との格差の拡大は、ジニ係数などの統計学的な分析結果以上に深刻になっていると言わざるを得ません。様々な指標が東京一極集中、一人勝ちの実態を雄弁に物語っています。
 例えば、一人当たりの県民所得の推移をみてみたいと思います。平成8年度の茨城県の一人当たり県民所得は314万8千円でした。統計がまとまっている直近のデータである平成16年度は292万9千円と、約7%も減少しています。
 一方、東京都は428万2千円であった一人当たり県民所得が、455万9千円と約6.5%上昇しました。その結果、茨城県と東京都との所得の格差は、平成8年度が茨城を1とすると東京は1.36倍であったものが、平成16年度は、1.56倍に広がっています。
 こうした格差拡大の背景には、地方自治体の基幹税である法人2税の格差があります。現行の地方税制では、大企業が拠点をもつ自治体に税収が集中する仕組みで、その結果、東京など都市部と地方の差は大きく広がっています。
平成17年度の住民一人当たりの法人2税の税額は、東京が15万9856円ですが、本県は、5万3049円と3倍以上の格差が出ています。最低の長崎県とはその格差は、何と6.5倍に広がっています。
 国が進める政策が、地方の活性化につながらず、格差の拡大に拍車を掛けている事実を否定することは出来ません。
 反面、民主党は参院選で格差是正を掲げ、子ども手当の創設、農家への戸別所得補償制度など15兆3000億円の新規施策をマニフェストに盛り込みました。財源を行財政改革で確保するとして、補助金の地方への一括交付や特殊法人・独立行政法人の原則廃止などで捻出すると主張しています。しかし、地方財政にとっては、現状の消費税を年金目的税にするなど、地方消費税の重要性をまったく無視した政策であります。地方への補助金を一括交付金化することで、1兆円余りを削減するとしていますが、これは地方にとって、むしろ死活問題であるといわざるを得ません。
 参院選の結果をもってしても、政府の都市と地方との格差を縮めるための具体的方策は明確になっていません。対する野党の政策も絵に描いたもちでは、われわれ地方に生活する者にとって、何を希望に生きていけばよいのかと、深いため息が聞こえてきます。
 このように閉塞的な現状をみるとき、県を中心とする地方自治体そのものが国や国民に対し、現状を打開するための具体的な声を今まで以上に上げなくてはなりません。そして、そのキーパーソンこそ、わが県においては橋本知事であることは論を待ちません。
 そこで、知事にお伺いいたします。待ったなしの都市と地方の格差是正のための方策、地方の活性化のための方策について、知事はどのような提案やビジョンをお持ちでしょうか。そして、それを国やより多くの国民にどのように訴えようとされるのかお尋ねいたします。

橋本知事の記者会見での一問一答(2007/10/10)
茨城新聞記者:関連して、改めて伺うのですが、垂直的な税源移譲も含めて、水平的な税源調整を知事としては、どういう方策で、どのようにあるべきと。
橋本知事:今の状況は、例えば法人事業税や法人住民税などを見ても、東京都に集まりすぎていて、法人の活動実態を反映していないと考えております。法人事業税の分割基準について、製造業では従業者数とされていますが、従業者数でいうと、地方での生産はどんどん盛んになり、(製造品出荷額等は)何倍にも伸びているのにもかかわらず、地方の従業者数は減ってしまっている。そして、一方で、営業などの部門の人が増えている。働いている実人員も減っているし、生産現場の従業者数の割合が非常に少なくなっているにも関わらず、分割基準を従業員数だけとしておいていいのだろうかということが一番大きな問題になってくるのではないかと思っております。
 後から資料提供してもいいですが、製造品出荷額等は何倍かに伸びているにも関わらず同じ期間に従業員数は減っているいうデータはすぐつくれますから、それをみてもらいたいと思います。