参考写真 子育て家庭をサポートする「いばらき子育て家庭優待制度」が、10月21日からスタートします。
 この制度は、18歳以下の子供と妊婦がいる家庭に「いばらきキッズ・カード」を配布し、提示があったスーパーやレストランなどの協賛店では、「買い物代金を5%値引きする」など、協賛店が独自に設定したサービスが受けられる仕組みです。県内1366店でサービスを利用できます。
 対象は県内の約31万2000世帯。カードは保育所や幼稚園、小中高校を通じて15日から配布が始まっており、末の子が18歳の誕生日を迎える日まで使用できます。
 協賛店は、スーパー、眼鏡店、和菓子店、ドラッグストアなどの小売店、自動車修理、銀行、理美容店のほか、ホテル、旅館、観光施設などさまざま。水戸市が最も多い174店、続いて日立市が117店、大洗町が87店、つくば市が82店などとなっています。
日立市内の協賛店と特典の一例
カスミ各店毎月第3日曜日、計1000円以上の買い物客を対象に買い物代金を5%割り引きます。
セイブ各店毎月第3日曜日、買い物代金を5%割り引きます。
ケーズデンキ店舗指定の消耗品が表示価格より5%引き。
いわきヤクルトセンターに来店し、1000円以上お買い求めいただいたお客様に、「ヤクルト400」を1本プレゼント。
ガスト各店お食事注文のお客さまに限りドリンクバーの無料提供(ご家族5名様まで)全店舗第3土曜日のみ実施。
ちゃあしゅう屋3世お食事の10%割引き。
プレビボウル会員カードを提示いただいたお客様には、1ゲームのプレイ料金をサービス。
ホテル天地閣宿泊料金1,000円引、ソフトドリンク券1人1枚。
ネッツトヨタ
茨城トヨタ
車の車検、点検、修理の工賃5%割引。部品5%割引。
助川カメラカラー同時プリント、デジタルプリント10%引。

 この制度は、井手よしひろ県議らが提唱した石川県の子育て支援策などをモデルに導入されました。石川県は06年から3人以上の子供を持つ世帯を対象にしていますが、茨城県は子どもの人数を問わない点が特徴です。
 詳しい情報は「いばらきKidsClub」のホームページをご覧下さい。
【ゆうゆうLife】子育て支援 知恵絞る官民(下)広がる優待事業
msn産経ニュース(2007/10/24)
 スポーツ洋品店で、「プレミアムパスポート」を提示して買い物する松崎和代さんと娘たち=金沢市 子供のいる世帯に、企業や商店が商品などを割引する「優待事業」が全国で広がっています。家計の負担を軽くし、地域に子育て支援の機運を高めるのが狙い。17年度に石川、奈良、愛媛3県で始まったのを皮切りに、今年度末には全都道府県の8割に当たる38府県が導入予定で、県域を越えたサービス提供も始まっています。(横内孝)
 金沢市の主婦、松崎和代さん(32)は、10歳を筆頭に4人の子を育てる。この日、市内のスポーツ用品店「SPORTS DEPO金沢店」で緑色のプレミアムパスポートを提示し、長男(8)の靴を買った。表示価格の5%引き。「カードがあると助かります。日帰りの温泉施設でも使えるので、よく利用します。使えるお店が増えると、もっとありがたいですね」
 優待事業で成功モデルとして知られるのが、石川県が平成18年に始めた「プレミアムパスポート事業」。対象は3人以上の多子世帯で、8月末現在、県内で約1800の店舗が協賛する。
 谷本正憲知事の大号令で検討が始まったのは17年。国が「次世代育成支援対策推進法」で自治体、企業の役割を定めた年だ。
 子育て世代が求める最大の施策は経済支援だと、県民意識調査で分かってはいたが、県の懐具合は豊かでない。企業の力を借り、地域ぐるみの子育て支援ができないか。結果、生まれたのが優待サービスだった。
 ヒントは「フランスが3人以上の子がいる世帯に支給している大家族カード」(森新一郎・前厚生政策課長)という。「企業にも、社会的評価が高まるなどのメリットがある」(重永将志・こども政策課長)とする。
 事業開始から2年足らずで、その輪は全国に広がった。沖縄県の担当者はブームについて、「ほとんどの自治体は今、財政的余裕がない。少ない予算で大きな効果が期待できる」と指摘する。
 こうした優待事業は、青森県から鹿児島県まで、全国で広がる。検討中の北海道、秋田県、宮城県、沖縄県などを加えると、20年度末に40超の自治体が実施の見通しだ。
 子育て世帯にパスポートなどを配り、協賛店舗で商品を購入すると、割引、特典などが受けられる仕組み。対象家庭は当初、「3人以上の多子世帯」とする自治体が多かったが、18年度以降は「1人以上」が大半。対象年齢も18歳未満が多数を占め、山形県、茨城県、栃木県、京都府など、妊婦を対象にした動きも広がっている=表。
 優待内容は協賛の企業任せ。「全商品10%割引」「買い物スタンプ5倍」「住宅ローンの金利0.2%優遇」など、多彩だ。優待実施日も「毎日」というところや、毎月第3日曜日の「家庭の日」とするところなど、店舗によりまちまち。
 自治体は企業に店頭表示用のステッカーを送付。ホームページや冊子などでPRに協力したり、入札や融資の際に優遇する自治体もある。
 課題は、いかに協賛企業を増やすか。静岡県は協賛店が約4200店と最多だが、“第一の関門”とされる1000店に満たない自治体が少なくない。優待サービス導入をためらう、ある自治体の担当者は「協賛企業が地域によって偏り、どこに住んでいるかによって、住民がサービスを利用する機会が公平にならない恐れがあった」ともらす。
 協賛店舗の数は、住民サービスに直結するだけでなく、地域に子育てを支える機運がどれだけあるかのバロメーターでもある。旗振り役の自治体職員には、政策立案能力だけでなく、営業力が問われているといえそうだ。
      ◇
 県域を越えた連携も広がる。九州7県は昨年度、統一マークを使用し、相互利用を開始。今年11月には島根と鳥取の両県、来年度以降には石川と福井の両県が、お互いに優待を受けられるようにする。島根県の担当者は「一自治体では限界がある。もっと利便性を高める仕組みが必要」とする。
 四国4県のほか、「関西広域機構」(福井、徳島を加えた2府7県)も、連携の検討を始めた。
 勢いづく優待事業について、日本総合研究所の池本美香主任研究員は「事業所には一見、負担増に映るが、顧客が増えるメリットもあり、仕掛けとしては面白い。『日本社会は欧米に比べ、子育て家庭にやさしくない』との声をよく聞く。協賛の輪が広がることは、地域、社会全体に子育てに優しい雰囲気を醸成することにもなる」と話している。