参考写真 10月9日の衆院予算委員会で、公明党の斉藤鉄夫政務調査会長は、福田政権として取り組むべき喫緊の課題に、受給額の低さが指摘される国民年金の充実を求めました。
 国民年金は、20歳から60歳までの自営業者や学生などが加入を義務付けられ、今年度は月額1万4100円の保険料を納めることになっています。40年間納めた人は満額の老齢基礎年金、月額6万6000円(現時点)を支給されることになります。しかし、未納期間があれば、その分だけ受け取る年金が少なくなります。これが「低年金」問題です。一方、納めた期間が受給資格の25年を満たさない場合、年金を全く受け取ることができない「無年金」の状態となってしまいます。
 国民年金の老齢年金は約2100万人が受給していますが、このうち受給額が年間48万円以下の人が25%を占めています。つまり、4人に1人が月額4万円以下しかもらっていないことになります。これでは、年金で生活していくことはできません。
 「国民年金は生活保護よりもらえる額が少ない」との声も上がっています。確かに、単身の高齢者世帯の生活保護費は月額約8万円(都市部)で、老齢基礎年金の満額支給を上回っています。
 そもそも生活保護と年金は、同じ土俵で比較できるものではありません。しかし、25年以上保険料を納めた年金受給者から見れば、割り切れない感情が残ります。地道に40年間年金を納めても生活保護より受給額が少ない現実は、いま保険料を支払っている現役世代にも深刻な影響を与えています。
追納は2年から5年に延長を
 このような事態に対して、公明党は給付の上積みにつながる改善策を提案しています。その一つが、保険料納付期間の延長です。保険料の納付は2年間で時効になります。これを5年間に延長し、追納できるようにすれば、年金の受け取り額が増えます。25年の受給資格がわずかに足りない人は無年金にならずに済みます。
 また、国民年金に給付を上乗せできる国民年金基金をさらに利用しやすい制度に改めることも必要です。現在は60歳未満の加入しか認められていませんが、加入年齢の上限を引き上げる見直しを行えば、受給額アップにつながります。掛け金の小口化も図るべきです。現行の国民年金基金は、20歳男性で月額9000円の掛け金で月額3万円の上乗せができます。これを月額6000円程度、上乗せ分は2万円程度に下げれば、加入しやすくなります。こうしたきめ細かな配慮が欠かせません。
低所得者を対象にした加算制度の議論必要
 抜本的対策としては、低所得者を対象にした給付の加算制度も検討すべきです。ただ、政府は、生活保護レベルに引き上げるには5000億円を超す財源が必要と試算しています。政府・与党は、財源問題を含め、低年金、無年金対策にしっかり取り組んむ必要があります。「ねじれ国会」の現状を考えれば、参院第一党の民主党の責任も問われます。「国民のために」との視点に立ち、与野党が同じテーブルに着いて建設的な議論を交わすべきです。
(写真は、国営ひたちなか海浜公園のイエローコスモス)