全国順位:小学校35位、中学校33位
 10月24日、全国の小学6年生と中学3年生を対象にした全国学力・学習状況調査結果(全国学力調査)の結果が公表されました。
 これは文部科学省が、今年4月に実施したもの。国語、算数(中学は数学)の2教科で、基礎的な問題Aと応用的な問題Bとに分け、全国テストを来ないました。また、同時に「朝食は食べているか」「一日どの位勉強するか」などといった学習環境のアンケート調査間実施、児童生徒の学習成果と環境を多面的に分析しようとしたものです。
 茨城県の平均正答率は、小学校では73.3%で、全国順位35位と全国平均(74.6%)を1.3%下回りました。中学校では、73.1%で、全国順位33位と全国平均(74.2%)を1.1%下回りました。しかし、実際の正答数の差は1問以内で、学習成果に大きな開きがあるとは認められませんでした。
学習指導の手引き書作成へ
 全国学力調査結果が発表されたことを受けて、県は検証改善委員会を設置し12月までに学習指導の手引き書となる「学校改善支援プラン」を策定、各学校に配布することにしています。
 各教科の各設問ごとに、どのような間違いが多かったのか、全国と比較してどうだったのか、良かった分野はどのような指導があったのか、悪かった点はどこが問題だったのかなどについて、学校に対する調査を加え、さらに児童、生徒の生活、学習環境などの調査結果とも合わせて分析した上で、児童、生徒の学力を強化するための手引き書を作成するとしています。
結果公表:市町村毎に対応に差
 朝日新聞社が県内44市町村の学力調査結果の公表について方針を調べた結果、市の平均などを「一切公表しない」としたのは30市町村に上りました。「平均正答数は公表しないが、結果の分析内容は公表する」とした市町村が5、「開示請求を条件に公表する」としたのが3、検討中が6でした。
 結果を非公開にする市町村の多くが「地域間格差、学校間格差が分かってしまう」としています。
 一方、公表するのは高萩、常陸大宮、鹿嶋、潮来、坂東の5市。坂東市は結果をネットで公表し地域全体での活用できる方策を検討しています。
参考:平成19年度全国学力・学習状況調査 調査結果について

全国学力テスト 結果をどう活かすかが大事
公明新聞(2007/11/7)
教育は“子どもの幸せ”最優先に
 基礎的な知識はあるが実生活での活用は苦手。先月24日に公表された全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の結果では、子どもたちのこうした傾向が浮かび上がった。
 今回のテストに参加したのは、国公私立の小学6年生と中学3年生で、全員対象のテストは中学生が43年ぶり、小学生は初めてとなる。国語と算数・数学の2教科で基礎力を問うA問題と応用力をみるB問題を課し、国公立と私立の6割に当たる約221万人が参加した。全国平均の正答率は、A問題は小学国語、算数と中学国語がいずれも82%、中学数学は73%。B問題は中学国語の72%を除き、すべて60%台前半だった。このほかにも、学習環境や生活習慣などの調査が行われ、膨大なデータが集められた。
 調査の対象を全員とすることについては、過度の競争を煽る、学校の序列化を招きかねない、サンプル調査で代替できる、などの慎重論があった。文部科学省も、実施に当たり、詳細な結果の公表は控えるよう求めており、指摘に配慮した様子がうかがえる。
 一方で、予定されていた公表の時期が2カ月遅れたことは看過できない。それぞれ最終学年となる小学6年生、中学3年生にとって、調査結果を生かすための残された時間は長くない。文科省には、誠実な対応が求められている。
 テストと併せて実施した生活習慣や学習環境などの質問調査では、家庭での学習時間や読書時間の増加がみられた。また、朝ごはんを食べる子どもが増えたことも示された。全体的に地域差は過去に比べて縮小したものの、一部で地域の教育格差や家庭の経済力が子どもに与える影響を示唆する結果も示されている。今後は、調査結果を踏まえ、子どもたちの実情に即した適切な施策を展開することが課題となる。
 調査の背景には、「ゆとり教育」の見直しを求める声が一因として存在する。ゆとり教育の導入以来、学力や学習意欲の低下を指摘する声は絶えず、ともすれば「ゆとり」が「たるみ」につながり、運用面で課題を抱えていたことは否定できない。弱点として表れた“知識の実生活での活用”は、本来、ゆとり教育でこそ育まれるべきものといえる。「詰め込み教育」に対する改善策として提案された、ゆとり教育は、学ぶ力や考える力など「生きる力」を育むことをめざしたものであり、この理念自体は今でも色褪せてはいない。教育行政の方針転換に当たっては、学力のみに拘泥せず、ゆとり教育を総合的に検証した結果を反映させる必要がある。
 一連の教育改革の流れの中で、中教審(中央教育審議会、文科相の諮問機関)は主要教科の授業時間増加などを盛り込んだ答申をまとめる意向のようだが、教育行政が、安易な学力偏重に後戻りするようなことはあってはならない。
課題は学力以外にも
 教育現場が直面する課題は、学力だけではない。いじめは一過性の問題ではなく、継続的な対策が求められる。不登校対策や子どもたちの豊かな心を育む体験学習の推進も重要だ。
 学力であれ、いじめであれ、教育問題を論ずる時、常に最優先すべきは、子どもの幸せであり、子どもたちの“幸せになる力”を引き出すことこそが重要だ。今回の調査は薬にも毒にもなり得る。具体策の展開には心して取り組む必要がある。