厳しい財政状況を受け年間2000万円以上を節約
 茨城県議会では12月議会で、地方議員が議会に出席した際に支払われている費用弁償を、大幅に減額することになりました。
 県議会飯野重男議長は、11月21日までに県議会の主な会派の代表者に費用弁償の見直しについて、12月議会に議員提案する削減案を説明しました。各会派からは反対する意見は出なかったということです。
 費用弁償は「議員の報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例」の別表で規定されており、現在は自宅と県議会の距離が20キロ未満の議員で1日あたり1万3300円、20キロ以上50キロ未満で1万4800円、50キロ以上で1万6300円と3段階で支給されていています。
 現在、検討されている新たな案によると、日額を20キロ未満で5000円、40キロ未満6500円、60キロ未満8000円、80キロ未満9500円、80キロ以上1万1000円と5段階に細分化し、金額も実際の交通費に近づけたものとします。
 県議会事務局によると、現行では、全議員が本会議などに出席すると1日あたり98万3200円の費用弁償が必要ですが、新らたな基準では53万1500円と、46%削減されます。2006年度1年間に支給された費用弁償は約4905万円にのぼり、今回の改正で年間2000万円以上節約できることになります。
 公明党は、以前より交通費の実費相当額に改正すべきでると主張してきました。今回、最大会派である自民党会派内の意見集約ができ、議員提案として県議会に提出できる運びとなりました。改正案は、12月議会に提出され、来年3月の議会から適用される見込みです。
 なお、井手よしひろ県議の場合を試算すると、今まで1日1万4800円であったものが6500円に減額されます。
県議の費用弁償、大幅削減へ
朝日新聞(2007/11/23)
 県議が議会に出席した際に交通費や日当として支払われている費用弁償を大幅に減額する方針であることが、22日わかった。年間約5千万円かかっていたのを、2千万円以上節約しほぼ半額にする。県財政が危機的状況のなかで給与の「二重取り」との批判をかわし、歳出削減の姿勢を示すねらいだ。削減案を12月定例会に提案し、来年1月にも実施する。
 費用弁償は「議員の報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例」の別表で定められており、現在は自宅と県議会の距離が20キロ未満の議員で1日あたり1万3300円、20キロ以上50キロ未満で1万4800円、50キロ以上で1万6300円と3段階で支給されている=表。
 3、6、9、12月の年4回の定例会では、10〜25日前後の会期中に、土、日、祝日を除く日数分を会期末にまとめて支給しており「閉会日に20万〜30万円の現金を封筒で手渡される」(県議)という。
 削減案は議長提案で、50キロ以上が35人と半数以上の議員が上限に張り付いていることから、距離区分を20キロ未満から20キロごとに5段階に細分化し、各段階の議員の人数を分散させた。
 また、日額を20キロ未満で5千円に減額し、以後40キロ未満6500円、60キロ未満8千円、80キロ未満9500円、80キロ以上1万1千円と1500円ずつ加算する。
 現行では、全議員が本会議などに出席すると1日あたり98万3200円かかる計算だが、新しい基準では46%減の53万1500円で済む計算だ。県議会事務局によると、06年度1年間に支給された費用弁償は約4905万円にのぼり、今回の改正で年間2千万円以上節約できる計算だ。
 県議会自民党の議員会で飯野重男議長が、削減案を説明した際には異論は出ず、他会派も改正に前向きの意向だ。
 全国の都道府県議会でも、費用弁償を交通実費に近づけようという動きが広がっている。千葉県は7月に実費支給に切り替えたほか、佐賀県も交通実費に3千円加算にした。このほか、交通実費や交通実費に日当を加算する形に改めたのは、神奈川、長野、静岡、三重、京都、鳥取、大分などとなっている。
<費用弁償>
 地方議員が本会議や委員会に出席した際に日当や交通費として、議員報酬や政務調査費とは別に支払われる。地方自治法に基づき、各自治体が条例で額などを定めているが、交通費など実費を大きく上回る額が一律支給されている例が多く「報酬の二重取り」といった批判が強い。地方議員が名誉職で無給が当然とされた明治時代、実費を支払ったのが始まりとされる。
大森彌・東大名誉教授(行政学)の話
 もともと、戦後、議員に報酬を支給することにしたとき、従来の費用弁償との関係を議論せず、そのまま持ち越した。いまでは、一種の既得権益化しており、「応召旅費」的な日額は廃止し、交通費などの実費支給にすることが妥当だと思う。