モラル基本条例 議論白熱
読売新聞(2007/12/13)
良い世の中作る意識を醸成
基本的人権侵害につながる

参考写真 自民党議員が提案した「いばらきの快適な社会づくり基本条例(モラル基本条例)」案をめぐり、12月12日の県議会総務企画委員会で白熱した議論が繰り広げられた。
 条例案は「規範意識の低下や欠如で、多くの県民が迷惑や不快と感じ、危険を覚える行動が増加している」とし、知事以下、官民が一体となった推進会議を新設し、迷惑行為への規制のあり方などを協議するよう求めているが、村上達也・東海村長が「政治家が市民にモラルを垂れるのは逆ではないか」と批判し、自民党県連が抗議するなど、議場外でも物議を醸している。
 この日の委員会では、大内久美子委員(共産)は「個人の尊厳や思想信条の自由があり、条例を制定する必要はない。
 条例でモラルを縛るのは憲法に定めた基本的人権を侵すことにつながる」と述べ、反対の論陣を張った。
 これに対し、石川多聞委員(自民)らは「無責任が横行する申、お互いが努力して良い世の中を作ろうという主体的な意識を醸成するのに役立つ」と反論。
 結局、条例案は自民、民主、公明の賛成多数で本会議に送られることが決まった。

 12月県議会に自民党県連より議員提案された「いばらきの快適な社会づくり基本条例」は、12日、所管の総務企画委員会で質疑が行われました。本格的な初の議員提案による条例案とあって執行部との質疑に先立って、常任委員会のメンバーと提案者の代表を務める鶴岡正彦自民党県連政務調査会長との間で、白熱した質疑が交わされました。
 冒頭、説明に立った鶴岡議員は、「今回、提案するに当たり本条例を通称『モラル基本条例』と説明したことから、『モラル』という言葉を個人の心のあり方のように過敏に捉えられ、誤解を受けている感じがいたします。『モラル』とは日本語で言えば『道徳』でありますが、『道徳』とは、国語辞典にあるように『人のふみ行うべき正しいみち』であり、学校でも行われているのを見ておわかりのとおり、これは個人の内心とは別問題であります。判例でも、憲法の保障する『思想及び良心の自由』には、『一般道徳上、常識上の是非、善悪等の判断を含まない』としております。まして、説明したとおり、特定の思想などを強制したり、排除しようとするものでは全くありません。しかしながら、誤解を招くおそれがありますので、この通称は、使用しないことといたします」と語りました。
 その後、この条例が県民や事業者への強制的な意味を持つものなのか、検討委員会は現在ある様々な機関に「屋上屋を架す」ものにならないか、条例でモラルを縛るのは憲法に定めた基本的人権を侵すことにつながるのではないか、といった質問が次々に出されました。自民党の委員からは、「画期的な条例であり、全国の範となる」といった意見も出されました。
 質疑の結果、賛成多数で委員会としては条例案を承認し、19日の本会議に送付しました。